2019-01-12

今夜の松花堂弁当。

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-山咲梅太郎「姉まん。」海王社 ISBN:9784796412353
話○ 抜○-△ 消小 総合○

エロ漫画家を生業とする姉の技術向上に協力すべく主人公は多彩なシチュを2人でガチハメ実践中編4話&変態漫画家姉弟相姦スピンオフ2話+独立短編3本+ムック本解説ショート漫画。軽妙なノリのその裏で問答無用アブノーマルファックを読者の脳裡へ乱射するマニアックエロスてんこ盛りの作者最新刊は通算17冊めのコミックスだ。
デビュー当初はホンワカ素朴なライトエロでスタートしたのがいつしか禁忌に彩られたドロドロ近親相姦を中心に描くようになってとその作風の極端な変遷ぶりは業界でも有数の存在。とくに強烈な意気ごみとそれにふさわしく異様に目の詰んだ情交描写とで丹念に練り上げられたインセスト暗黒絵巻たる前単行本「鵺は夜に鳴く 淫獄の檻」(オークス刊/2014年)の熱量には圧倒されたものだ。もっともそこで作者も疲労困憊したのか以後は作品産出ペースがガタッと落ち、この新刊リリースまでじつに5年近いインターヴァルが空くことに。とはいえこうして戻ってきてくれただけでも大昔からのファンとしてはありがたい限りですよ。
そんな情念うず巻く前作から一転タイトルも能天気なこちら、いきなり全裸でM字開脚しまんこくぱぁの非常にキャッチーな表紙でまずツカミはOK。萌え系のはしりみたいなポップ&キュートな作画はさすがにいくらか古めかしさはあるものの最新トレンドに合わせ画面処理などはアップデイトされており極端な違和感はない。いまどきサンプル画像もない出版社の新刊情報ページはアテにならないので、山咲梅太郎初挑戦の方は著者pixivアカウントで公開されている一部の収録作たちをチェックしておくのがベター。
作者自身は明確にロリ嗜好なのにも関わらず、本作登場ヒロインたちはタイトル・チューンをはじめover18の巨乳さん中心。とはいえこっそりお歳のわりにつるぺたな女子を出してみたりオールロリ作品も入れてみたりで既存ファンも心配ご無用だ。比較的プレーンな絵柄もあり顔立ちはたいそう愛らしいのに肢体描写は意外とリアル志向で、骨格や筋肉のゴツゴツ感をそれとわかるように描きトーンワークもわりかし濃口。このへんのギャップはしかしながら山咲梅太郎ならではの個性として賞賛されるべきだろう。
物語は巻頭からの連作シリーズおよびうしろの読み切り群とにおおむね二分され、どちらも重苦しいアトモスフィアがただよっていた前単行本とは対照的にコミカルな仕上がり。明確な凌辱ネタが1本あるほかは甘めの味つけで読後感は良好だ。とはいえこの作家のこと、大部分の作品には彼のトレードマークである近親相姦を入れこみ、また明るいノリながら「江○しぐさ」批判みたくこっそり毒のある趣向を混ぜこむなど、意地でもスカッとさわやか和姦ものでは終わらせないぞという強固な意志を感じる。そういうある種ねじくれた情熱を保ちつつ物語全体のトーンはあくまでクライアントの要請どおり快活な空気に終始するというプロのお仕事に拍手喝采。
ストーリー展開では節度を保っても濡れ場の方は山咲梅太郎ならではの変態アラカルトが炸裂だ。1本あたりほぼ20ページ固定のそう多くない分量ながら導入をコンパクトにすませすぐさま本番突入するのでエロシーン密度はかなり高い。ノーマルな交合を軸に据えるとはいえ淫語マシンガン連射に性具フル活用に露出プレイだの女装男子登場だのアブノーマルな趣向を次々とくり出してくる。さらには以前はあまり見られなかった極端なアヘ顔描写を大胆に導入し、出てくる女子みなヨダレたれ流し白目剥きながらハート目絶頂のはしたなさすぎる痴態を大量供給でまことに豪華絢爛。さすがにメニューがてんこ盛りすぎて一部やりすぎ感はあるものの、とにかく最新の動向を貪欲に取りこんでいきたいという旺盛な好奇心が前世紀から続く長大なキャリアのその源泉なのだろう。
スキルアップのためならとドスケベな趣向を次々とその身体で実践してはド派手にイキ狂う。ちんこのみならず各種のアイテムを前後の穴に迎え入れゴリゴリ内奥を貫かれるたびケダモノじみた咆吼を発し呼吸も絶え絶えに下品なアクメ顔さらし全身をよじらせるのだ。肉ヒダの1枚1枚が肉棒に絡みつき強烈に収縮して辛抱たまらず淫乱まんこのその奥へ幾たびも白濁を放ちヒロインもその都度体躯を打ち震わせ強烈な快感に身を任せて法悦の態。
カワイイ雰囲気の絵柄なのにやってることは奇天烈なプレイが炸裂というギャップに思わずのけ反ること間違いなしの1冊。個人的には男の娘もイッちゃう系の描写ではどうしても息子が萎えるので一部採点をマイナスするが、そんなのはむしろご褒美な諸兄なら評価3割増しで。作者の近況を拝見するに現在はダブルワークらしいのだけど、執筆ペースはさておき今後も漫画を描き続けてくれるのならそれだけで重畳きわまりないですよ。性的嗜好が超保守的な自分的にはその種の行為が比較的マイルドな姉弟ラヴ短編「リコ姉のお願い」と、軽妙なノリながら山咲梅太郎ならではのシニカルな毒にニヤリとさせられる集団ロリ乱交話「本当にあった絵炉しぐさ」が今回のフェイヴァリット物件。

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