2010-05-05

今宵の巫堂文化。

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話◎ 抜○-△ 消小 総合○
妹との禁じられた性愛から逃げ出した主人公が実家に戻ると
妹は父の子供を孕んでいて関係は錯綜し中編4話+独立短編
4本。欲望に突き動かされる登場人物たちがみずから破滅
への道を選び取り堕ちてゆくさまを描かせると当代一のこの人
第6作品集。1つ前の作品はパスしてしまったので今回ひさし
ぶりの購入だが、みごとではあるものの当てにはならない
ヒット塗りの表紙をめくればいままでどおりのシャープな描線と
ハードなストーリーがお出迎えでなつかしさひとしお。掲載誌の
都合でロリ多めだった前2冊と比較すると下方向はそのままに
ミドルティーンや母親が加わりいくぶんワイドレンジに。萌え
とか売れ線とかそういう要素から背を向けた独特の硬質な
タッチはいちだんと冴えわたり、とりわけ怒り/悲しみといった
マイナス方向の表情が絶品だ。物語のトーンは前半の比較的
穏健な短編群とどこまでも泥沼化する一方の中編とではっきり
分かれているが、インセスト・タブーを軸にした肉欲の隘路を
描く点ではいずれも共通。理性と本能の相克ののち母子/
父娘/兄妹など禁断の果実をむさぼるに至る一連のシーク
エンスを緊迫感に満ちた筆致で描き出す。読切ではギャグで
中和したりラストで気持ちを救済することで血縁ファックの
重さが多少なりとも緩和されているものの、そういった配慮
なしに父母兄妹4人の負の感情をストレートに叩きつけてくる
中編の「家族懐疑」はほぼ全編修羅場といってもよいほど
ヘヴィ。彼ら彼女らが衝動のままに突き進んだあげくの家族
崩壊を余すところなくさらけ出し、最終話ではさらなる不幸の
連鎖を示唆して終幕とどこまでも読者の気を滅入らせてくれる。
濡れ場は一様にハードでガッツリ結合部を見せつけては膣内
射精三昧のパワフルなものだが、かようにお話の印象が凄惨
なのでいささか勃起力がスポイルされるのは否めないところ。
ただそれを差し引いても印象的なコマ割りや卓越した表情の
切り取り方など作劇面で見るべき点は多く、ちんこを握りつつ
ずっしり脳裡にたまる読後感をも追求したい貴方への有効な
処方箋の1つ。

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