2015-11-30

今夜のオレンジ・ジュース。

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-荒井啓「放課後Initiation」コアマガジン ISBN:9784864368483
話○ 抜◎-○ 消中 総合○

清楚で愛らしい父の後妻を犯し征服した少年はやがて淫蕩なメスと化した彼女の底知れぬ情欲に圧倒されてゆき……前後編+独立短編5本+巻頭描きおろしフルカラーショート。端整なモノトーンでつづられる静謐な作画とそれとは裏腹のいびつで狂おしい愛欲の隘路をヴィヴィッドに描き出す作者これが初の成年向け商業単行本だ。
自分の定期購読誌ではない「コミックメガストアα」の執筆陣は他社で以前から知っている一部のメンツを除くとあまりなじみがないのだが、駆け出しの新人であるこの人についてはハナシが別。というのもこの作家、某緑髪ちびっ子漫画の二次創作エロなどで商業デビュー前からそのスジではかなり有名なのだ。自分も皆勤とはいかずとも薄い本をかなりの数購入し股間がずいぶんお世話になったので、その人が出す初の商業作品集となれば是が非でもゲットしなくちゃですよ。
そんなわけで矢も楯もたまらず書店へ向かい即座にブツを確保したのち帰宅。ド派手な肌色やおどろおどろしい装幀でもっていかに店頭で目立つかに腐心している他のコミックスを尻目に、落ちついた彩色のこの本はいかにも地味な面持ちだ。その印象はページを手繰っても変わらず、オーソドックスな一般青年誌調の描線ははともかく画面全体に薄墨を曳いたかのようなグレイ色の空間がどこまでものっぺり広がるさまは昨今流行りの目を惹くエフェクトてんこ盛りのエロ漫画を見慣れていると違和感を禁じ得ない。もっともいざ作品世界へ没入すればこの個性的な絵作りがチクチクと心を刺す独特の作劇と相まって荒井啓ならではのえらくエモーショナルな雰囲気を醸成せしめるのだ。
この淡く乾いた筆致でものされる女性陣は年のころハイティーンからアラサー付近とずいぶんワイドレンジだが、JKでもかなり大人びた風貌な一方で三十路さんとて充分にキュート寄りであり設定年齢とは必ずしも比例しない感じのルックス。ただお歳の上下を問わず肢体描写はおおむねたっぷり系で、ことに砲弾のごとく突き出した魅惑のビックバストとその先端に付属の大ぶりな乳暈がむやみやたらと存在感を発揮。ハードに腰を突き上げるたび巨大な双丘があたかも独立した生きもののようにブリブリ揺れるさまが男子諸君の勃起中枢を効果的にクリック。あとまったく極私的な感想なのだけれど、この人の描くショートヘア女子はみなすばらしくエロっちく魅力的で最高です。
そうしたヴィジュアル以上に荒井啓ならではの独自色がハッキリ出るのが非常にクセの強いストーリー展開。ベースとなるのは1on1もしくは3Pのわりかしクローズドな恋愛模様なのだが、どれもイチャラヴとはほど遠いねじくれた男女関係ばかりが並ぶ。一方的に行為を強要したり肉奴隷のごとく仕えたりペットとして好き放題されたり、力関係の偏った支配/服従の構図がほとんど。それでも安穏にオチがつけばいいが破滅的な結末を迎えたりやるせない余韻を残したりとビターに締めくくられると読後なんとも言えない居心地の悪さが残る。その複雑な味わいも噛みしめるうちにいつしか忘れがたく心にしみ入るので自分としては嫌いではないけれど、エロ漫画に爽快なカタルシスを求める人にはまったく不向きなので要注意。
一般的な意味での愛情は希薄でも性愛に対するオブセッションは強固かつ濃密だ。もっちりボディをフル活用しときとしてSMティックな性具をも動員しながらひたすらケダモノじみた交合に熱中する彼ら彼女らの浅ましき情欲の発露が煽情的でたまらない。まるでオモチャみたく乱暴に女体を責め立てられ無理やり快楽を引き出されてはメスの顔さらけ出してよがり狂うエロメスどもの痴態に脳髄はしびれっぱなしだ。
熟れきった肢体をあらわにし下腹部をおっ広げて早くも準備万端の彼女の蜜壷へゆっくりとシャフトをねじこみ粘膜どうしの摩擦運動をスタート。激しく内奥を貫くたび2つの双丘を振り乱し全身汗みずくになりながらケダモノのごとく咆吼する光景にいっそう興奮。両手でガッチリと臀部を抱えこみいっそうハードに腰を打ちつけながら遠慮会釈なく淫乱まんこの最深部めがけて白くねばつく液体をリリース。
ひと筋縄ではいかないゆがんだ愛情のすえ本能むき出しで対峙する男と女の浅ましき情欲の行方を逐一たどるさまをどこか乾いた作画に乗っけてお送りするストロングファック曼荼羅に身も心も打ちのめされ読後グッタリ。どこかダウナーな空気に包まれながらのほの暗い情交の数々が読者のマイナス方向の感情を刺激して止まない辛口のスパイスだ。この情勢下かなり大きめのゼブラ消しは残念無念だが、きっと君の心に忘れられない洞穴をぶち開けてくれることだろう。どの話も脳裡にグサグサ突き刺さる壮絶なノリだけど、なかでもダークサイドをとことんまで突き詰めた恐るべき痴情の帰結を詳細描写「蟷螂の巣」前後編と、そんななか比較的ポジティヴに幼なじみ女子×双子兄弟の隷属ティックながらもコミカルな三角関係をつづる「幼馴染みの正しい飼い方」のわりかし対照的な2編がマイフェイヴァリット。

2 件のコメント:

  1. この表紙の女の子は作中に登場するのでしょうか?
    昨今表紙に「このキャラは・・いい!」って魅力的なキャラで釣っておいて
    作中で一切登場しないという詐欺まがいなやり方が横行してるので警戒しております。
    もし登場するのであれば即買いなのですが・・如何でしょう?

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  2. 匿名様
    今日まで出張しておりご返答が遅れまことに申しわけございません。
    表紙の娘は巻頭カラー掌編「雨宿り」に登場のJKヒロインですね。
    描きおろし作品ゆえ雑誌掲載時に彼女はいなかったわけで既読の人も一瞬「アレ?」と思われるでしょうが、
    そんなわけでちゃんと表紙女子の活躍は見られるのでご安心を!

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