本年度の改易取り潰し。

• スミヤ「Romareda」茜新社 ISBN:4871828840

話○ 抜△ 消極小 総合○

作者初単行本短編10本。ざっくりとしたタッチで描かれた繊細なキャラたちが放つ射すくめるような眼光が清冽な印象を残す。
掲載誌の方針からするとやや上のロウティーン～ミドルティーンあたりの少女が主体。現代日本だけでなく時代ものっぽい雰囲気の作品や一夫多妻制の草原の国の話など多彩なシチュエーションを世界観ごときっちり描ききるのが魅力。
和姦/凌辱の区別はあまり意味がないが強いていえばやや前者寄りか。ヒロイン視点でていねいに心理描写を織りこみつつ進行するお話が多く、そのぶんエロは控えめでちんこを握る以外のことに大脳の処理能力を割きたくない人は回避すること。
どの話も凛とした女子キャラがりりしくもかわいらしいのだが、なんといってもこの作家に開眼したきっかけの北欧女子&日本男子中学生純愛もの「ケアステ」のヒロインのカレンたん(裏表紙キャラ)が白眉。金髪碧眼ロングデコカタコトって俺の経絡秘孔をどれほど刺激しますか。ぶっちゃけこの作品&最終ページの笑顔で単行本評価がいちじるしく上がっちゃっているのでみなさま的には点数を割り引いてください。
すでに一般にも進出していてあとどれほどエロのフィールドにいてくれるのかわからないが、今後もさわやかな読後感を残す良作を期待。

• 山崎あつし「私とラブラブ☆Hしようよ!」茜新社 ISBN:4871828832

話△ 抜○ 消極小 総合○

作者4作目の短編10本構成。「女子高生と着衣Hで処女に下着ずらしで挿入し中田氏」の1パラグラフですべてを表現できるあつしワールド。
先にカヴァー下のあとがきを読んだらワンパターンじゃいけないと試行錯誤して……などとあって期待半分/不安半分で中身に突入したのに気持ちいいほどおんなじで涙。多少年齢層を上下に拡げたり申しわけ程度に非処女を投入するくらいのことは変化のうちに入らないと思います先生。
ただそれが悪いかというとそんなことはみじんもなく、ゴア/トランス系のテクノが延々同じようなフレーズをくり返すことで独特のグルーヴ感を生み出すのと同様に金太郎飴のようなヒロインたちと様式美の極致の性交描写とが脳裏で反復しいつしかちんこに確かな律動をもたらしてくれる。
そんなわけでエロ漫画に物語性とか多様性を求める向きには絶対にお勧めしないが、わかっててなお没入する覚悟のできたジャンキーたちには格好の脳内麻薬。

• 阿久津俊「恥辱の長い午後」司書房 ISBN:4812815509

話△ 抜△ 消中-小 総合△

オール短編全9本。おおむね表紙/裏表紙の印象どおりのポップなタッチで巨乳寄り。
乳と性器をこれでもかとクローズアップする構図を多用しひたすら抜きツールに徹する姿勢は好感。ライトラヴコメから人間の闇をのぞかせるダーク系まで奇抜ではないもののいろいろ描けてお話面も達者。年齢的にもミドルティーンから大人までさまざまで間口は広そう。
とまあさほど減点要素のない作風なのだが、一般青年誌的な絵柄はそのぶん色気に欠けるというか、エロ喚起度が上がらない感じ。それと消しの基準がまちまちで、ほぼ無臭性に等しいのがあるかと思えばごっそり白抜きされてたりと一定しないのが難点。
よって総合評価は落としてしまったがおっぱい星人が新規開拓に挑戦するのならよろしいのではないかと。