2008-06-25

今夜のヴァイナル・ジャンキーズ。

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話○ 抜○-△ 消小 総合△

初恋の先輩だった義姉となりゆきで……な連作2本+短編8本。ハイティーン~人妻

メインでみなさんスレンダーなのに出るところは出ているスーパーモデル並みの反則

ボディヒロインだらけ。表紙/裏表紙のフルカラーよりはページを手繰って出てくる白黒絵の

方が陰影をきかせた独特の筆致がはるかに映えるので可能なら中身を確認してほしい。

幾多の歳月を経ても古びないクールでスタイリッシュな絵柄にはうめやしきみつよし時代の

名残が感じられるものの、改名後2作目にして以前のハードSMを媒介とした臓腑をえぐる

ような神経症スレスレで硬質のストーリー展開は劇中劇でわずかに片鱗を見せる以外には

ほぼ消滅。軽快ラヴコメ基調でときおりビターな後味を残す掌編が混ざる程度。とはいえ

独自色のいっさいを漂白し完全なる抜き物件に徹するのには抵抗があるとみえ、その

相克が独特のフレイヴァーをかもし出している。エロシーンのところどころにはかつての

背徳的/刹那的なギミックがうず巻き、目隠ししながらスワッピングとか兄弟でヒロインを

共有したりなどスパイスのきいた趣向に身も心もトロトロにされ絶頂を迎えるオンナたちの

艶姿が近ごろ流行のプリティな萌えエロとは対極の大人のエロスを演出。でもベタベタな

お約束を導入してみたり昔なら絶対にやらなかったギャグ顔でギャフンオチとかの重たく

ならない結末を用意したりで汎用性にも配慮。ここまで世間に媚びるにあたっては内心

忸怩たるものもあっただろうに、よくぞここまで高みから平地へと降り立ってきたものだと

感慨しきり。魅力的ではあるがクセも強く読み手を選ぶタッチと趣味のよくない装幀とが

足かせとなり総合点は下げてしまったが、萌えも劇画も両方お断りとのたまう頭身高い

スキーな貴方なら挑戦する価値はあるかと。



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