-清水清「ミルクタンク症候群」久保書店 ISBN:9784765934565
話○ 抜△-× 消小 総合△
キッチュでシュールな物語世界に乗っかってたゆたゆバストの素敵ガールズ大活躍短編全9本。前世紀末あたりにヒット出版社を主戦場に一世を風靡したこの作家ひさしぶりの新刊は変わらぬ作劇の冴えと衰えることのない美乳ぶりがグッドだ。
いまとなっては髪型からなにから古さを隠せない昭和調アニメ絵はしかし非常に高い技術の上に成り立っており、派手にアクションさせたりムチャなパースをとってもボディバランスはまったく破綻を見せない。Gペンの抑揚をきかせた伸びやかな肢体に不釣り合いなほどのヴォリュームでたわわに実った双丘は以前からこの人最大の武器で、上質なジェルのようにたおやかに崩れる2つのふくらみが優雅にこね回され変形するさまがじつに扇情的だ。昔は本当に乳だけで勝負し女性器描写をかたくなに拒む特異な芸風だったのだが、さすがに昨今それだけでは厳しいとみえ21世紀に入ってからはまんこも附加。とはいえ近ごろ流行りの結合断面などとは無縁なので過度な期待はせぬよう。
90年代マニア誌からそのまま飛び出たみたいなハードSFからギャフンオチのエロコメまでドンと来いのワイドなストーリーテリングもまた職人芸的上手さで、ベタベタなパロディや言葉遊びをドバドバ投入するのもコマ回しとメタファだけで意図を伝達するのも自由自在。まあ某大神源○のような時事ネタはさすがに風化しまくってますが。ちんこの快楽に奉仕する以外の用途がエロ漫画にも許された時代を生き抜いてきた人だけに、読者にさまざまな解釈の余地を残してくれる読後感の充実ぶりは現在の一線級作家には求め得ぬもの。
本番突入とともに科白も擬音も消失し切り返しの多い画面と女の子の嬌声のみで進行する濡れ場はいまも昔もこの人の専売特許で、追随するもののないワン・アンド・オンリーの世界。ヒロインがほおを紅潮させ瞳をうるうるさせながらバリバリイキまくるさまが終始ふよんと揺れ続けるおっぱいとともにドーンと提示される。歌舞伎で見得を切るみたいに次々脳裡に叩きつけられるそれは現在の普遍的なエロ漫画ともっとも感触の異なるところで、個人的にはちんこをしごきたくなるというよりはええもん見せてもらった的眼福感が先行する印象。
お話によっては実用性の優先順位がかなり下に置かれることもあり抜きファンダメンタリズムが支配するこのブログでは採点低めになってしまうものの、異様に完成度の高い作画やよどみなくお話をドライヴする緻密な構成などはぜひ後進の方々に見習ってもらいたいところ。収録作のなかではヒロインの素敵な乱れようとしょうもないオチとの落差が楽しい「high teen 未亡人」がよござんした。
0 件のコメント:
コメントを投稿