今年度の黒点相対数。

-秋月たかひろ「ふぁす・らば」コアマガジン ISBN:9784862529947
話△ 抜△ 消極小 総合△

優しいお姉さんから愛らしい妹ちゃんまでキュートなヒロインズと甘々ファーストラヴ短編全11本。オーセンティックなヲタ絵で描かれる萌えっ娘たちがこぞってはじめてをプレゼントしてくれる至上の夢へと我々をいざなってくれる作者成年初コミックスだ。なおよく似たペンネームの秋月ひろずみとは出版社こそいっしょだが掲載誌も違えば芸風もだいぶ異なるので混同せぬよう。
典型的なエロゲ風味のカヴァーイラストはきわ立って個性的ではないもののなかなかキャッチーで、パステル調の柔らかな彩色ともあいまって初見での好印象につながっている。一方で中身の漫画原稿は初出時期によるタッチの変遷が意外に大きい。直近の執筆作品はおおむね表紙互換なのだが、2009年に描かれたものは瞳の処理や顔の輪郭などパーツの描写がひと昔前のアニメ絵に先祖返りする感じなのだ。よく読むとベースはそう変わらないことがわかるが表紙どおりの絵柄でずっと読みたい人は注意。
ハイティーンを中心に±3歳あたりのおにゃのこたちはみな流れるようなおぐしと比較的豊かなおっぱいのフェミニンな肉体を標準装備。掲載誌のレイティング上イトコ表示になるが姉貴分/妹分的な関係の女子とイチャつくシチュが大半なので近親好きは心のなかで実姉/実妹と読み替えよう。またタイトルで暗示されるとおり未通女さんがことのほか多く、わずかばかりいる使用済女子も初体験の相手はみな現在の彼氏ゆえ、ヴァージニティ原理主義者であればここで一気に高ポイント獲得だ。
ストーリーラインは本拠地であるばんがいちの誌風に忠実なスウィート和姦一本やり。演出の一環として多少寄り道することはあってもゴールはみな大好きなあのひとと抱き合い深く交じりあってハッピーエンド。オーソドックスなイチャラヴばかりで新味こそないが定石ゆえの安定感で、せちがらい俗世間を離れ快い妄想フライトへと集中させてくれる。
カンファタブルな物語空間の創出にプライオリティを置くぶん濡れ場の迫力はさほどでないものの、互いのボディをいたわるように舐めあいながらスムーズに本番へと移行し2人仲よく達する一連のシークエンスがほほえましくもエロっちい。ボンキュッボンの肢体をグリグリまさぐりながらパイパンまんこへ如意棒をインサートすると破瓜の証を流し涙しながらも初めての快感に身をよじる彼女らの艶姿がじつにビューティフル。甘いと息を漏らしながらハートマークを乱舞させる女子どもの未踏峰へたっぷり白濁液を種つけだ。
数年前にこの作家の成年向け初参戦を故・姫盗人で見たときは絵が異様に古く感じられたものだが、ばんがいちに登場したのち短期間に画風を改良してトレンドへ追随してみせたのはみごと。いまだもの足りなさを感じる乳やまんこなどのエロパーツ描写につややかさやシズル感が加わればさらに抜き度が高まることだろう。次回作でのさらなる進歩を期待する。