-新堂エル「TSF物語」ティーアイネット ISBN:9784887743854
話◎ 抜○ 消極小 総合○
病気治療と引き替えに女の子へと性転換されちゃった主人公が未知なる感覚に目覚め肉欲の世界へ表題作長編4話&描きおろしインターミッション/後日談+短編2本(うち1本は前単行本表題作関連作品)。ヒロインがありとあらゆる方法で快楽を引き出しその都度白目剥きながらよがりまくるすさまじきファックの応酬に思わず満腹の作者2ndコミックスだ。
この作家のものする天衣無縫のストーリーテリングやその圧倒的な濡れ場の迫力には敬服しつつも、自分的にはまったく受けつけないネタであるTSものと聞いていたので今回の新刊購入は長いこと逡巡した。それでも結局レジへ向かったのは非常に抜きオリエンテッドな作画の魅力が忘れられなかったのと2011年度エロ漫画的潮流を語るうえでこの人を外すことはとんでもない暴挙であると承知していたから。んで一読したわけだけれど、やはり怪作と呼ぶにふさわしい逸品でございましたよ。
前作「晒し愛」でその一部が明かされ後日別媒体で詳述されたように、海外にルーツを持つ作家ながら少なくとも表面に見える部分では完璧に普遍的なオタフォーマットを敷衍した作風。今作のように学園ものの体裁を採っても不自然なところはまったくない。現代エロ漫画文法の数々もぬかりなく自家薬籠中にしきったその姿はシーンの最前線を疾走するにふさわしき完成度を誇る。
メインコンテンツであり印象を決定づける冒頭長編(Mujin掲載時のタイトルは「女の子になって」)は、その構造だけをとってみると主人公=ヒロインのタクミくんがさまざまな性的遍歴の果てに真実の愛を見つけるseek&findの一本道ストーリー。しかしながらその寄り道というのがセクハラにはじまり処女喪失、痴漢プレイに精液便所化、挙げ句の果てに妊娠→売春→出産へと客観的には堕落一直線なのがすごい。こうして人間としての尊厳をとことんまでそぎ落とされていく彼/彼女はそれでいながら性衝動に身をゆだね肢体を汚されていくこと自体にたまらない幸福感を味わい、ありのままを受け入れてくれる周囲の理解も経てハッピーエンドを手に入れるのだ。この徹底的な価値の転倒ぶりこそがこの作品を貫く主題であり、性転換というファクターはある意味その象徴のひとつにすぎない。
この徹底したエピキュリズムの発露は表題作のみならずすべての新堂エル作品に共通するもので、それゆえ同時収録の短編も含めその具現化であるエロシーンが恐ろしいまでに目のつんだ高密度なものとなるのは必然。乳首やクリトリスなど突起部をいやらしく肥大させたエロメスどもがゴリゴリ剛直をインサートされてはジャンキーのごとく表情をとろけさせてあらゆる液体を分泌しつつ法悦の態でイキまくる光景がなんとも扇情的だ。男女ともマシンガンのようにばらまかれる淫語とこれまた大量に噴出される擬音とにまみれながらケダモノじみた交合をくり返し、なん本ものちんこから内へ外へ口へ膣へと常軌を逸した量のスペルマを注ぎこまれるその刹那とびきり下品なアクメ顔見せ絶頂。
エンドレスで展開されるセックス過剰投与に君の脳みそもすっかりマヒすること請けあいの鉄板抜きツールでありちんこがもげるほど自慰表明できること必定だ。個人的には元男子のエロ堕ちだったりふたなっちゃったりが平然と出る表題作はどうしても若干脳みそが拒否反応してしまったものの(われながらなんと保守的!)、そのへんの倒錯色が比較的薄い読切「一人ナベ×二人ナベ」で気持ちよくジョイスティックを使役。
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