2011-04-04

本日の盗人酒屋。

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-いのまる「Camellia」ティーアイネット ISBN:9784887743861
話○ 抜○ 消極小 総合○

看守の権威を笠に着て凌辱の限りをつくす卑劣漢どもの飽くなき調教にも屈しない誇り高き女囚中編4話+短編3本+前単行本収録作番外編。白亜のごとき肉体と凍りつくような眼光のクール・ビューティが端整な表情を歪めながら快感に身もだえする光景がじつに扇情的なこの作家通算5冊めだ。
ビザールな拘束衣を着けられ下腹部は器具責めを受けながらも毅然とした表情を崩さないカヴァーガールは、今単行本のメインコンテンツである連作「女囚つばき」の主演女優たるツバキこと村椿早苗嬢。彼女のようなダイヤモンドのように鋭利な美しさと強固な意志とを兼ね備えたヒロインの活躍を余すところなく描くことこそがいのまるのもっとも得意とするところ。
その硬質な描線にふさわしく全編ハードボイルド仕立ての冒頭中編は、元ネタとおぼしき70年代東映映画への臆面もないリスペクトに満ちあふれた怪作。徹底的に悪辣な敵役たちに敢然と立ち向かうヒロインの造形は往時の梶芽衣子そのまんま。しかしながらもとよりこの作家の描き続けてきた物語たちとぴったり志向が一致するフォーマットゆえ作画/作劇ともたいそうノリノリ。これに比べれば比較的ベタなラヴコメに終始する後半部の読み切り群がいささかかすんでしまうほどに相性抜群の換骨奪胎ぶりだ。
恥辱に堪え忍び反撃の機会を待ち続けるヒロインが周到な準備ののち鮮やかな逆転へと至る一連のシークエンスはそのまま長く執拗に描かれる濡れ場とシンクロ。緊縛にはじまり三角木馬や拘束具、はたまた警棒で性器をかき回しという具合に、かつてツバキの手にかかり片方の睾丸を失った看守によるサディスティックな拷問の数々が彼女を襲う。やがて肉体はこらえきれぬ快感に支配され……というところまでは一般的な堕ちもの同様なのだが、いのまる漫画では最後に必ず下克上の機会を用意。彼女の肢体におぼれる看守たちの仲間割れをうながし刃傷沙汰にしたり、止むことのないセックス奉仕により腹上死へと追いこんだりの一発逆転によりみごと窮地を脱するスーパーウーマンぶりに読者の溜飲も下がること請けあいだ。
ただ、これにカタルシスを覚える人もいる一方でむしろ不快に思う向きもあるだろうことは想像に難くないので、単純に女子の苦悶する姿が見たいだけなのかその先までつきあう気があるのか吟味のうえ挑戦することを推奨する。いずれにせよヒロインがたいへんコンシャスな身体をなすがまま蹂躙されこらえきれぬ快感に身を打ち震わせる光景は存分に味わえるので、おこちゃまな萌えエロに飽きたらぬ貴兄の嗜虐欲を満たすのには最適のアイテムといえよう。
まるで殺陣のごとく緊迫したエロシーンがダイナミックに切り結ばれる「女囚つばき」連作の圧倒的な存在感はもちろんこのコミックスのキモといえるのだが、個人的にはそれに加えてウブな男子女子が夏休み最後の日に大人の階段を登る短編「8月31日」のヒロイン・ポニテ日焼けっ娘相川さんのいじらしさおよびそれと裏腹のけしからなすぎるボディとにすっかり屈服。

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