-蒔野靖弘「快感スイーツ(萌)」実業之日本社 ISBN:9784408173153
話△ 抜△-× 消大 総合△
天然爆乳パティシエールのヒロインがオーナーを務めるカフェには今日も彼女のおっぱい目当てに男どもが詰めかけてんやわんや表題作長編全10話。マークなし。キュート&ポップなタッチでもって軽快エロコメをくり広げるたいそう口当たりのよろしい芸風が脳裡に優しく作用する作者最新刊だ。
のぎまこと(エロ用)/牧野靖弘(一般用)の両名義で前世紀から活躍する大ヴェテランだが、20年以上の長きにわたるキャリアを経ても絵柄になんら時代遅れ感がないのはすばらしい。ディフォルメきつめの丸っこい描線はむろん最新型ではあり得ないにせよ、泥くささを鄭重に排除し少しずつ時代の潮流を取り入れて現在も一線級の萌え絵として通用するものに仕上がっている。
ちょっと表記を変え蒔野靖弘の名でコミックを出すようになったのはゼロ年代なかばころからだが、抜き漫画用レーベルで刊行するのはこれが2冊め。ただコンテンツにまったく見覚えがなかったので作者サイトを確認してみると携帯配信が初出とのこと。以前オークスの「COMIC XO」でやっていたのぎまこと名義作品も同社の紙媒体撤退とともに行方を見失っていたのでこの作家とはひさしぶりの再会だ。
表紙登場のメインヒロイン・翔子さんと彼女のいとこで従業員のくるみちゃんとの2人の掛けあいを軸に、毎回ゲスト男性キャラとHイヴェント発生→それを契機に新レシピ開発のシークエンスを話数分くり返し。配信の際にどういうレイティングが設定されていたのか不明なのだけれど、こうしてできあがっているのを見た限りでは慎太郎シール誌よりさらにエロは薄くまるで一般青年誌のお色気担当漫画のよう。お話によっては本番に至らず終了のケースもあり、これ単品でちんこをしごくのは厳しいといわざるを得ない。
そんなわけでちんこまんこのがっぷり四つ相撲を望む向きにはあまりお勧めできないのだが、それを補うべく目の保養的ヴィジュアルは充実。とりわけ製菓業の特質を活かし生クリームをたわわなバストにぶっかけてみたりバナナを胸の谷間にはさんでみたりの眼福シチュ絨毯爆撃にはうならされる(まあオヤジギャグと紙一重な脱力ネタも多いのだけれど)。ブラウス越しの巨大な双丘をブリブリ振り回しお客を悩殺する翔子さんの健康的なエロスの発露に始終ニヤニヤさせられっぱなしだ。
そんな彼女が常連客やら情報誌ライターやら他店のパティシエやらに景気よく裸体を披露しパイズリやらフェラやらでご奉仕するのもあくまでそれは美味しいスイーツを作ろうという情熱ゆえの暴走。熱いまんこをかき回されてシーズニングのヒントを得たりクリトリス責めからモンブランのレシピを思いついたりの果てなきスイーツ修行を君も応援しよう。
もともと非エロにも使うペンネームでの単行本だけあり実用性は二の次だが、誰ひとり悪人の登場しない牧歌的な雰囲気のもたらす快い読後感は表題どおりお口でスムーズに溶け出す甘露のごとし。ことさらにちんこを使役するのでなく一服の清涼剤として服用したい作品だ。
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