本年度の分離開催。

-ひろせみほ「ビンカン☆おねえさんは感じちゃう」笠倉出版社 ISBN:9784773097818
話△ 抜△ 消大 総合△

恋に仕事に全力投球の等身大レディースが熱い抱擁に身体を火照らせメイク・ラヴ短編全8本。コンビニ売り誌の女王として大活躍していたこの作家がしばらくの雌伏を経て5年ぶりに送り出した最新刊だ。なお本来は8月末発売の物件ゆえ遅延レヴュウとなっていることをあらかじめお断りしておく。
今世紀初頭～中盤あたりは大車輪で各社のお仕事をかけ持ちして20冊以上の単行本を世に送り出していたハード・ワーカーだが、ここ数年突如露出が減ってどうしたのかと思ったら答えは今作の著者あとがきに。ともあれ以前はコミックスをちょくちょく買わせてもらっていただけに最前線復帰はめでたいこと。
クッキリはっきりの親しみやすいアニメ絵でばいんばいんの童顔巨乳お姉さんをガシガシ量産するという作風に変化はなく、とりわけ今回の収録作は掲載誌でシバリでもあったのかわずかな例外を除けば各話ヒロインにはOLさんがズラリ。物語をナレイトし駆動するのもすべて彼女たちなので野郎向けエロというよりはレディースコミックでも読んでいるみたいな名状しがたい不思議な感覚に襲われる。
かくのごとく語り口が統一されているのと同様に、内容の方もベースラインはわりと似たり寄ったり。ルーティンな日常をこなしながら生きていく勤労女子の目の前に目元涼しげな長身ヤサ男風味の気になるアイツが現れいつしか恋に落ち……というのが黄金パターン。相手役の属性に猫溺愛とかUFO狂とか多少の変化球を交えてみたり元カレ設定にして関係を波乱含みにしたりと細かい工夫はしてあるものの、最終的には互いに舌を絡めあい身体を重ねながら熱く燃えあがるハーレクイン・ロマンスでFin。徹底的に女性サイドからのみ行為が描かれているので、想定購買層たる20～30代男子には感情移入しづらいのではとついよけいな心配をしてしまう。というかこれは単行本タイトルこそ野郎用エロ漫画然としているけれど、おそらく初出が男性向け媒体でないのでは?
not成年仕様の宿命としてエロシーン含有量は少々もの足りないが、ひろせみほの描くたゆんとしたおわん型バストはじつに美味そうで眼福。ステディな彼氏に双丘をまさぐられ秘所を愛撫されてトローリと陶酔しきった表情を見せるヒロインズの痴態がたまらない。オトコのたくましい怒張に蜜壷を貫かれながら甲高く嬌声を発し下腹部に白い飛沫を大量に浴びて彼女ら絶頂。
徹頭徹尾「働くいいオンナ」の視点からストーリーがつむがれるのでしがないヲタ野郎たる自分にはそうとう違和感があり評定を下げたが、構成そのものはヴェテランだけありじつに達者でコンビニエントなラヴ摂取には好適。むっちりエロっちい女体描写のチンピク度は高いので、もう少し野郎の感性に配慮した身もフタもない原作をつけるとかしてくれた方が抜きツールとしてはありがたいかもしれない。ちんこを握り待機する男子よりは退屈な日常を打ち破るようなめくるめくロマンスを希求する大人女性にこそオススメしたい1冊だ。