2011-09-28

本日のウィンナ・ワルツ。

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-無望菜志「触愛」キルタイムコミュニケーション ISBN:9784799201329
話○-△ 抜○ 消小 総合○

異国に流れつき成長した姫君が故郷を奪った邪なる存在に復讐を果たさんとするが快楽の罠に捕らわれて前中後編+短編6本+描きおろしイラストギャラリー6P。触手純愛もので名を馳せた作者が一転正統派のハードでアンリアルな凌辱異物姦てんこ盛りでお送りする成年向け3冊めはこの出版社からの初リリース。
すっきり系のキュートなアニメ絵で高貴なお姫様×平凡な庶民(でも触手淫獣)のピュアラヴストーリーを描いてのけた2008年のデビュー作「テンタクル・ラバーズ」に続き、通常エロを交えつつほのぼの触手路線を継承した2冊め「剣より強し」が刊行されたのがおよそ2年前のこと。その後一般進出を果たし成年向けでの執筆頻度が減ったと思っていたら、まさか並行してこんなお仕事をしていたとは! KTC系の媒体はごく一部しかチェックしていなかった自分は活動をまるっきり見逃していてお恥ずかしい限り。
初出一覧を参照すると収録作はおよそ4、5年ほど前に執筆の短編群と直近に描かれた後半部の連作とに大別される。非エロでバリバリ連載していたあたりがちょうど中抜けしているわけだが、時期によるブレは多少あっても端整な筆致でつむがれる丁寧な作画に変わりはない。ミドル~ハイティーンでぺたからやや巨まで多彩な乳サイズを誇るヒロインたちはみな清楚なルックスと高貴な魂をお持ちのビューティフルガール勢ぞろいだ。
てなわけで指名買いしてもヴィジュアルについてはまったく違和感なく受容できるかと思うが、今回もっとも変化が生じているのが作劇面。巻末著者あとがきで「これが触手モノのスタンダード」とみずから述べているように、いわゆる触手系として読者が思い浮かべるイメージ――無数のウネウネに女体を蹂躙され体液をドプドプ注入される――を忠実にエミュレイトしている。しかも生半可な凌辱にとどまらず分泌物で腹ボコだの臓物の内部までスライム姦だのエンドレスで怪物出産だの、触手プレイのなかにあってもそうとうハードな部類のそれを堂々と展開。これまでは変化球しか見せていなかったけどその気になれば爆速ストレートだって放れるんだという、触手ものの第一人者としての強烈な自負がうかがえる。
ストーリー構成の方もテンプレどおりで独自性にはいささか乏しい初期作に比べて最近のものでは長足の進歩を遂げており、後半部の連作「閂の巫女」では長丁場をダレさせない適切なペース配分と新鮮味を保つための特殊プレイ逐次投入とがきっちり機能していてグッド。3話構成の最終回における壮大なスケールの拡張ぶりにストーリーテラーとしての成長をみた。
オハナシの性質上男女のタイマンラヴなどは皆無といってよくひたすら無数の異物に女の子が犯されまくるばかりの濡れ場だが、凛々しく戦うヒロインが強大な力で四肢を拘束され衣服をむしり取られて柔肌をあらわにするお約束的な場面からスタートの様式美が読み手の勃起中枢を効果的に励起せしめる。激しく抵抗し屈服を拒否する彼女らが無数の触手により全部の穴をほじくられるうち口から漏れるのが呪詛から甘いうめきに変わるその瞬間がたまらなくエロっちい。膣や直腸に大量の体液を流しこまれ妊婦のように腹部を膨張させた少女らが獣のような咆吼を発し未曾有の快楽に溺れてゆき堕落ミッションコンプリート。
この人のエロ既刊や一般漫画のように甘酸っぱいラヴを期待した向きにはお気の毒というほかないが、これまで小出しにはしていたものの慎重に表出を抑えていた本性を全開にした問答無用のガチ凌辱触手話波状攻撃に崇高なるクリエイター魂を感じ取ることができるだろう。まあ自分的にはコアの2冊みたいな路線の方が親しみやすいのはたしかなのだけれど、媒体ごとに正反対のネタを両立していけるのなら文句などない。今後はまた以前と同様に黄色い楕円誌でモリモリ執筆していただければこのうえなく幸せでございますことよ。

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