2011-09-16

本日のこんにゃく打法。

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-縁山「ドリストア」コアマガジン ISBN:9784864361491
話◎ 抜○-△ 消極小 総合○

キュートなのに言動がどうにも残念なヒロインズがマシンガンのように科白をばらまきながら恋したりセックスしたりその他短編8本+登場人物一部集合描きおろし漫画。キャラたちがムダに高いテンションでかみ合わない会話をし続ける異様な絵ヅラがなんともアシッドリーな作者初単行本だ。ちなみに帯でもゲストの古賀亮一がネタにしているが、このペンネームの表記や読みは「緑山(みどりやま)」じゃなくて「縁山(へりやま)」ですからお間違えなく!
現代エロ漫画の最大公約数的作品がズラリと並ぶメガストア系列を商業誌のホームグラウンドにしているにもかかわらず、流行りの萌え絵とは明らかに一線を画す独特のタッチで存在感を発揮している作家。大量のコラーゲンをぶちこんだみたいにムチムチつやつやな絵柄勢ぞろいのコア執筆陣にあってこのフラットな筆致はむしろ目立って差別化には効果的かもしれない。かもし出す雰囲気を既存作家と比べるならいちばん印象が近いのはA-10で、作画/作劇とも大いにインスパイアを受けているように感じる。とりわけ人体の発する匂いに対する妙なこだわりにはかの眷属のニオイがプンプン。まあ今回はネコをかぶっていてそっちの要素は控えてるっぽいが。
収録作は老若人外ネタの短編「恩返しの3乗」を除き学園ものばかりゆえ、必然的に女性陣は制服ハイティーンだらけ。乳サイズは比較的多彩なものの年齢的にはナロウレンジなのでょぅι゙ょ大好きっ漢や大人スキーは回避すべし。単行本タイトルに組みこまれているとおり「ドリ」ル髪で「スト」ッキング装着な女の子が「ア」ンビヴァレントな思考回路を全開にして物語を高速駆動するのが基本パターンだ。まあドリル髪はじつはそんなに多数派でなくて黒髪ロングさんの方が多かったりもするのだが、いずれにせよやたらとフェティッシュなこだわりをむき出しにした女体描写が特色といえよう。
特徴的なキャラデザイン以上に突出しておかしいのがそのストーリー構成で、舞台こそ現代日本の当たり前なキャンパスライフでありつつも出てくる人たちは男子も女子も頭のネジが1本外れた変質者ばかり。ほぼすべてのキャラが他人の話をまったく聞かず自分ひとりの思惟を延々展開する自己完結型で、会話も独白もスペースいっぱいに活字がハメこまれ異様に目の詰んだ文章がダラダラたれ流される。彼/彼女から発せられる声は相手の心にろくに届かず、キャッチボールを拒否して一方的に文字を放ち返すか意味を完全に取り違えてトンチンカンなレスを返すかの荒涼としたディスコミュニケイションの王国が拡がるのだ。
しかしながらこうした意思疎通の不自由を深刻な人間関係の欠落としてではなく滑稽きわまりないボケ倒し漫才として成立させてしまうのがすばらしいところ。男子の言わんとするところを誤解して女の子が自分からまんこ突き出してみたり、互いに変態性癖の持ち主と勘違いしてスチャラカなやりとりを交わしたりの強引マイウェイエロコメ炸裂だ。科白だけ追っかけていると気が狂いそうになるけれど最後まで読みきればいちおうラヴラヴ和姦として収束しているこの不思議。
性交シーンは膣内射精エンド至上主義のコアマガらしくどの話でもおにゃのこに気持ちよく中田氏ではあるものの、そこさえ遵守すればあとは好き勝手やっちゃえとばかりに濡れ場でもイカレた会話のやりとりは止むことなく続く。どっちも人の話なんぞ聞いちゃいないヒロインたちが脳みそをグルグル回しているさなかガシガシ蜜壷を貫かれてわけがわからぬうちにアクメっちゃうハイスピードエロスだ。イキのいいちんこから勢いよく放たれた白濁ビームを子宮でガッチリ受けとめ彼女らもトロトロのお顔さらして絶頂に達する。
あまりに科白まわしが圧倒的すぎて読者の思考もそれに占拠されがちという弱点はあるものの、エロシーン密度は充分に保たれており抜き物件として不足はないはずだ。猛烈に人を選びはするもののいったん縁山作品のとりこになればもう2度と脳裏からそれは離れてくれない。仕上がりこそ丁寧だがフォーマットに縛られたヤマっ気の欠ける漫画ばかりだという先入観をこの出版社の刊行物に抱いている人もこれを読めばそんな思いこみなどたちどころに打破されることだろう。今回収録分では最初から最後まで男子1人女子2人の会話がまったく成立していない「催眠術狂想曲」と、ヒロインの意味取り違え芸がアートの域に達している「烏丸さんと犬飼君」の2つがマイフェイヴァリット。

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