2011-11-27

本日の不思議時空。

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-乙「狐のマヨヒガ」茜新社 ISBN:9784863492615
話○ 抜○-△ 消小 総合○

俗世を離れ迷いこんだ妖怪の里で暮らす主人公と狐耳少女とのハートウォームな恋物語表題作中編3話+狭いところに引きこもりつつ兄ちゃんは妹に性的ちょっかいかけまくり連作2本+独立短編5本。突飛なトゥイストを利かせた物語上をキュートなぺたっ娘どもが自在に闊歩するこの人最新刊は通算5冊めのコミックスだ。なおレヴュウ時にはいつも言及するのだけれど、この作家は「乙」と書いて「もろは」と読ませるのでこの際貴方の脳裡にガッツリ叩きこんでおくように。
前単行本「トラトラトラ」から2年あまりの歳月を経て発売されたこちらはあいかわらず独特のざっくりした描線が快く心に刺さる。残念ながら初出の明記がないので有志作成のWikipediaを参照したところ収録作は直近数年の作品のみで固めているようで、各話ともクオリティの差異をまったく感じない高品質のプロダクト。
表題作のような人外さんを含めルックス的には推定10代前半から中盤あたりのやや貧~並乳女子でヒロイン造形を統一。またこの作家はとりわけツリ目っ娘を描かせると天下一品で、今作においてもあどけないフェイスに目元キリリのキュートガールズを大半の物語においてフィーチャーする。ちょっとキツめな印象の彼女らが男子側からのラヴ攻撃に思わずデレたり問答無用のファックにすっかり表情をとろけさせたりの変貌ぶりがじつにマーヴェラスなのだ。
普遍的なラヴコメのフレームから大きく逸脱した変拍子の物語展開が以前から乙の最大の持ち味だが、今回はその点若干ながら普通のエロ漫画に近づいたかなというのが一読しての感想。ときおりぶちこんでくる、オハナシ全体のトーンはともかく行為は鬼畜一辺倒というタイプの作品が影をひそめていたのが原因かもしれない。まあそれでも濡れ場は男子サイドがじらしプレイを多用したり強要ティックにコトを運んだりというプチ外道風味のソレが主流なのだけれど。もっとも最終的にはおおむね愛し合う2人が互いの気持ちを確認するほのぼのオチへと帰着するので読後感はしごく良好だ。
あとこの人で素晴らしいのはこれらねじくれたストーリーをむやみに言葉だけに頼らず、コマ割りや空間の使い方に工夫を凝らすことで画面情報から読者にそれと感得させる漫画力の高さ。ことに表題作ラスト数ページ、情報量をグッと絞りながらも時間経過やキャラの心情の流れを過不足なく伝える一連のシークエンスは白眉。バカのひとつ覚えみたいに説明科白を叩きつけたり、あるいは逆にろくに材料も与えず作者の脳内設定理解を強要したりの漫画家たちにはこの絶妙のバランスをぜひ見習ってほしいもの。
キャリア初期はその飄々としたお話運びに比べてパンチ力不足が否めなかったエロシーンの方もここ数作では着実な進歩がうかがえる。滑らかな肢体をねめ回すようにまさぐってはやけにリアルな質感のぷっくりまんこにピキピキちんこをゴリゴリ挿入の黄金パターンはなかなかに扇情的。ところどころ結合断面を散りばめつつ、熱い蜜壷を貫かれるたび随喜の涙を流し端整な表情をすっかり歪めてアヘりまくるおにゃのこの痴態を逐一実況中継。小さなニップルをビンビンに屹立させながらきゅんきゅん膣内を締めつけファイナルアクメを迎えんとする彼女らのコンパクトな内奥めがけ白濁した分泌物を限度いっぱいまで注入だ。
とがりまくっていた表現様式を一般向けに希釈しながらもスペシャルな持ち味を失わずエロ漫画としての成熟を推し進めた正常進化の1冊。まあ抜き特化のセックスバトル的なものを希求する向きにはお勧めしかねるが、このオフビートでストレンジテイストの物語群をいちど摂取すればクセになること請けあいだ。今回収録のなかでは甘くせつなくラヴコメる冒頭中編はむろんのこと、乙ヒロインにはめずらしい伏し目困り顔の幽霊さんが衆人環視のなか強いられる羞恥プレイにとまどいつつもイキまくり「いわくつきアパート」がマイソウルにグッときたです。

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