2011-12-26

今夜の御名御璽。

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-ひげなむち「ヒト・カノ」ワニマガジン社 ISBN:9784862691873
話○ 抜◎ 消中 総合○

彼氏でもない先輩と寝るハメになったヒロインだけどすっかりメロメロにさせられて本編&描きおろし後日談&キャラ出張別エピソード+困りごと解消のためはじめたカップル2組のスワッピングは大いに盛り上がり連作2本+独立短編7本。柔らかなタッチで描かれるほんわかキュートな女の子が背徳の肉欲におぼれ身もだえするそのギャップがエロすぎる作者初コミックスだ。
定期購読というわけではないものの当該月の執筆陣によってはたまにCOMIC快楽天を買うので、同誌でデビューし一貫してこちらをホームグラウンドにしているこの作家についても多少の予備知識はあった。しかしながら今回こうしてまとまったのを読むと思った以上にとんでもない人だったのだなあと感慨を新たにした次第。ラヴリィな絵柄に油断して気軽にページをめくると大やけどしますぜ!
彼の漫画家としての美点はいろいろあるけれど、まずはヴィジュアル面から。快楽天系列はみな絵の達者な人ばかりで誌面を見ると思わず感嘆してしまうのだが、その系統は大きく分けると2パターン。ひとつはフェロモンダダ漏れレディースをリアル寄りの緻密なタッチで描くみやびつづるやLINDAといったあたりの作家群、もう片方はさめだ小判やぼっしぃみたくオタ界のトレンドをガッシリ押さえたアニメ/エロゲ風味の作画をする人たち。ところがひげなむちの柔和で丸っこいラインのそれはどちらにもあてはまらない独特のもの。瞳おっきめのあどけないフェイスにつきたてのお餅みたくやわやわなバストがこんもり乗っかるボディの組み合わせはどちらかというとシャープな筆致の作家が主流の同誌にあってひときわ目立ち、これだけですでに多大なアドヴァンテージを得たも同然だ。
このやわこく暖かみのある絵柄にはきっとハートウォームなイチャラヴが似合うのだろうと思いきや、見た目そのように推移しつつもこんもりダーク成分を隠し味にぶちこむのがひげなむちのすぐれた点その2。具体的に言うならNTRテイストの大量投下だ。といってもレイプ同然に肉体を奪い快楽のワナに陥れるとかマインドコントロールで強制的に好きにさせてしまうだとかそういう荒っぽい手段は基本的に用いない。気乗りしない女の子を言葉巧みにセックスへと誘導し、ピロウ・トークとちんこパワーのみで間男が目的を遂げるというソフトなそれは、帯の惹句で「ナガサレ」と称されているように寝取られ特有の荒涼とした雰囲気をたしかに和らげてはいる。しかしながら女の子が結局のところ自分からNTRへと傾斜し好きでもない男のテクのとりこになるのだから、なまじ暴力的に身体を奪っていかれるよりもっと盗られた方のダメージは甚大だ。大半の作品ではネトラレ側のみじめさを描写しないがそれがせめてもの優しさなのだろう。
こうした基本姿勢のもと今単行本ではさまざまなタイプの寝取られ話を展開する。愛情なしでも気持ちよくなれるか試そうと挑発されたり、友人の彼女のヴァージンを頂いてみたり、以前セックスを仕込まれた元カレに再度しつけられたりと自由自在にステディな関係以外の背徳的な交わりへダイヴイン。また純粋NTR以外にも娘の友人を食ったり友達の妹をゴチになったりと、家族または親しい人と一緒にいる女の子をわざわざその至近距離で奪ってゆくシチュがとにかくお好きなようだ。そんなわけでノーマルな彼氏彼女の1on1しか見たくない人にとっては発狂しかねない危険物なのでいますぐ回れ右推奨。
かくもアモラルな味つけをふんだんに施されたエロシーンはいやがうえにも熱が入る。プルンとまろび出たおっきくまるい乳をもてあそびながら口車に乗せてちんこをしゃぶらせる前戯の場面からがもう淫靡でたまらない。最後の一線だけは拒もうとするヒロインをお口で指先でとろけさせて結局は濡れそぼつ蜜壷へと侵入成功。浅く深く小刻みに内奥を突き上げるたび彼への申しわけなさと行為の気持ちよさとの入り交じった複雑な表情を見せながら小さく喘いでみせるその痴態にいっそう劣情がつのる。彼女のかたくなな心もすっかり麻痺し脳髄まで突き抜ける快楽に全身を支配されたところで、愛する男のものでない精液を征服の証としてたっぷり膣内へ刻みつけ寝取り完了。
第一印象はソフトなのにいざページを手繰れば猛毒てんこ盛りというある意味ギャップ萌えの極北とも言えるこの作品集、刺激的な表現は極力避けていてもその本性は隠せない。ただこのヒリヒリするような心の痛みが濡れ場においてとても効率よく興奮を励起せしめるのもたしかで、本来触れられないはずのものを奪い取るいけない悦びに脳髄のうずきが止まらなくなること必定。これでもう少し修整がゆるくて年齢層が若干下方向だったら文句なく二重丸評価していたところ。NTRを受けつけない人は当然摂取すべきではないが、このたいへん甘やかで口当たりのよろしい致死性の劇薬は多少の副作用込みでも飲んでみる価値はあるかと。まあそういつつ自分的ベストは比較的そっちの気が希薄なデリヘル同級生ネタ短編「ハツモノ」ですが。教室では地味っ娘なのにエロ下着つけて熟達のテクを披露するヒロイン清水さんのやらしいボディがたまらん!

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