2012-02-19

今月の少女画報。

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-へっぽこくん「メッセンジャーズ」久保書店 ISBN:9784765935043
話○ 抜△-× 消小 総合△

お迎えの前に最後の数時間だけ安らぎとぬくもりを与えたのち死者を送り出す少女たちは今日も任務にいそしみ表題作長編+カラーイラストギャラリー4P+あとがき漫画。手足長めのスレンダー少女が華奢な肢体をくねらせながら甘くせつなく乱れるさまがグッドな作者成年向けとしての5冊め。
描線を思いきって簡略化し極端なディフォルメをきかせた独特のタッチが鮮烈な印象を残すこの人だが、いまや一定の市民権を得たぷに絵の先駆者のひとりといえよう。前世紀末には早くも現在の絵柄の原型を確立していてそのポップで新しいヴィジュアルに当時は驚愕したものだ。自分は長らく手にすることのなくなっていた作家だったのだけれども、書店で偶然新刊を見かけなつかしさのあまり思わずレジへ駆けこんだ次第。
あどけないフェイスにちんまいボディが組み合わされた少女たちのお歳はロウ~ミドルティーンといったところで、みなさんひかえめなお胸につるつるのスリットを装備したたいへん空気抵抗の少なそうな筐体。ロリっ娘としては比較的頭身高めのデザインながら各部の造形が思いっきり幼いのでアダルト嗜好の方が誤って購入することのない親切設計だ。
単行本形式のロリ専アンソロジー「ぺたふぇち。」を初出とする収録作はおそらく当初は通常の短編連作として16ページずつ――たぶん10回分――連載されたのだと思うが、単行本収録にあたっては話数表示などをつけず頭からしっぽまで直結させ目次もなにもない。おかげでレヴュウのために振り返るのが若干めんどくさくはあるものの、物語を単純に享受するぶんには問題ないかと。
ストーリーラインは事故やら自殺やらで臨終を迎えんとする男子女子に対し天上よりの使者が秘めたる願望をかなえてあげる……というある種の定番。それを実行するのは作品により天使だったり悪魔だったりいろいろだがこの話ではなにやら会社的な組織がそれを担っているようで、使者をつとめるメインヒロイン・まゆのほかその同僚や上司やらが登場する。毎回別の場所で別の人の最期を看取る1話完結オムニバス形式を採用しつつ、死者見送りのたびまゆの心のありようが徐々に変化していくさまをバックグラウンドで進行させる洗練された構成がよろしい。結果としてそれが彼女を終盤ある行動へと向かわせることになるのだが、その詳細は本書を読んでのお楽しみ。
一般作品であれば死にゆく人間の願いはさまざまだが、こちとらエロ漫画なのでみなさん望みは当然えっちが中心。ヒロインが彼/彼女の想い人に引きあわせたりヒロイン自身が慰安役をつとめたりとヴァリエーションはあるけれど各回対象者に気持ちよく思いを遂げさせ(文字どおり)昇天。しかしながら意外だったのは昔からガチレズでならしたこの作家がなんと通常の男女Hをメインに描いていたこと。さすがにシメは同僚女子勢ぞろいの百合3Pだったもののまさかへっぽこくんのヘテロセックスが見られるなんて! 女の子どうしじゃ絶対抜けない俺は正直この単行本は懐古目的であり実用することは頭になかっただけに驚きの展開ですよ。
淡泊かつ色気を強調しない絵柄でもあり濡れ場の密度は高くないものの、ニンフェットたちの壊れもののごとく繊細な胴体をそっとなぞりながら前人未到の淫裂へ如意棒を侵入させてゆく一連のシークエンスがほのかに背徳感を刺戟する。ちんまいお尻を抱えこみながら抽送をくり返すたび小刻みな嬌声をもらす彼女らのコンパクトな子宮の奥へ白くねばつく飛沫をたっぷり注入しフィニッシュ。
雰囲気重視で実用性は二の次なので抜きファンダメンタリズムが支配する当ブログではどうしても採点が高くならないのだが(作者さますいません)、上品な塗りのシンプルなイラストに必要最小限の文字をセンスよく配したカヴァーはじつに秀逸。また俺みたく百合フォビアな読者でなければちんこの活用の幅もいっそう拡がることだろう。このたび自分の観測範囲でずっと見えていなかった作家の健在を知りまずは重畳。

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