-佐野タカシ「純情うさぎ屋酒場(1)」少年画報社 ISBN:9784785938246
話○ 抜△-× 消大 総合△
代々続く居酒屋を継いだ主人公と住みこみ店員のヒロインを中心にくり広げられる人情恋模様表題作長編8話(第1-8話、以下続刊)。マークなし。ハートウォームな下町ラヴコメを熟練の手つきで軽やかに描き出す作者最新単行本だ。
このブログに来るような方々には説明不要の大ヴェテランで、アニメ化もされた一般向け微エロラヴコメ「イケてる2人」が代表作だろう。元来はエロ漫画畑の人で前述作連載中も慎太郎シール誌でちょくちょく抜き用の作品も描いていたのだが、題材がSMだの百合だのと私的嗜好から遠かったのでこれまではスルーしてきた。それが今作はいたってノーマルな男女エロだったので挑戦してみた次第。
まだ萌えの概念もなかった平成ひとケタのころからひときわキュートだったその絵柄は現在でもまったく泥くささなどなく、シリアス/ギャグのモード変更のたびディフォルメの加減を変えるメリハリのきいた作画はたいそうキャッチー。巻頭からのきょうび珍しいアナログ彩色のカラーはさすがに古く感じたがこれも大御所ならではの味だ。
気立てよし器量よしの主演女優・マコっちゃんこと真琴をどっしりと中心に据え、主人公・正宗の幼なじみ女子や学生時代の元カノなどサブにもきれいどころを配置の女性陣はコンビニ誌連載ゆえ当然みな18歳以上。ルックス的なかわいらしさもさることながらそれぞれ明確な属性附与がなされ主人公へのアプローチもそれに応じて変化がつけられているあたりはさすが手練れのお仕事。もっとも今作において主人公はあくまでメインヒロインに操を立てそれ以外とは前戯止まりなので、表紙イラストを見てちんこ勃たないと判断した場合は回避していいかも。
いちおう抜き物件として設計されているとはいえどちらかというとエロは添え物で、酒場の常連客や町内会の仲間など周囲の人々と主人公カップルとで展開される人間ドラマが物語の主軸。老若男女入り乱れての人情紙芝居に君のささくれ立った心もすっかり打ち解けいやされることだろう。また突然現れたヒロインがどうして速攻主人公になびくのかなど序盤感じた疑問をのちの話で徐々に説明し上手いこと整合させてゆく流れるようなストーリーテリングはさすがのひと言だ。
そんなわけでエロシーン含有率は低いもののイチャラヴ度100%の幸せファックはなかなかに甘酸っぱくてよろしい。男子女子の臆面もないラヴワードの応酬から濃密なフレンチ・キスへと進み、グラマラスな肢体を存分にいらい倒しながらおもむろに怒張をインサートすればたちどころに甘い吐息をもらしよがりまくりだ。きつく抱きあい性器どうしを激しく摩擦しながら互いの名を呼びのぼりつめてゆくハッピーファック絨毯爆撃にいつしかぼくらはちんこを握るのも忘れ心ほっこり。
競合他誌よりマイルド寄りなヤンコミ執筆陣のなかでさえカラミはぬるい部類で単品でのフィニッシュは正直つらいといわざるを得ないものの、熟練の手つきでつむがれる人情ラヴが快い読後感を保証する格好のヒーリンググッズだ。主人公にベタ惚れしつつもときにスネたり泣いたりと喜怒哀楽をあらわにするマコっちゃん百面相にきゅんきゅんしまくりでございますよ。
0 件のコメント:
コメントを投稿