-佐々木バレット「おさなブライド」コアマガジン ISBN:9784864363389
話○ 抜△ 消小 総合△
その人に出会った瞬間恋に落ちたのに口から出る言葉はまるっきり裏腹で本編&描きおろし巻頭カラー+短編8本。ちっちゃなボディに収まりきらないさまざまな想いのたけを目いっぱいぶつける少女たちの生態をヴィヴィッドに描ききる作者処女単行本だ。
収録作すべての初出である「コミックメガストアH」を読みつけていない自分はこの作家に関する予備知識をまったく持ちあわせていなかったのだが、ネット上の新刊情報で見た、ちんまい女の子が眉間にしわを寄せキッとこちらをにらみつけてくる挑発的な表紙絵にすっかり心を射抜かれ衝動買い。こういう目ヂカラのあるイラストを描ける人はそれだけでなにか期待を持たせてくれるもの。
そんなわけでさっそくページを手繰れば、ややラフながら存在感のある筆致で描かれるひとくせありそなミステリアスな女の子がてんこ盛り。ただ帯の惹句だといかにもロリ一辺倒かのごとき先入観を与えるけれども、ヒロインの年齢にはけっこう幅があり小学生から高校生くらいまで一律に分布。むしろ訴求するなら歳に関係なく女子みなぺたっ娘なのを強調すべきで、いちばん育っている人でもせいぜい中の下クラスゆえヒンヌー教徒歓喜。ささやかな胸の隆起と華奢な骨格を持つどこかはかなげな印象の彼女らを強引に組み敷いて思いを遂げる背徳的な悦びを読者にもたらす仕掛けだ。
体格で差別化できないぶんキャラ造形には非常に気を遣ってあり、少々エキセントリックなほどに個性を持たせた女の子たちは黙っていても存在感あふれる出で立ち。極端なまでにツンな娘あり、思春期特有の頭でっかちな思いに苦しむ少女あり、冷酷きわまりない態度の影に折れそうな心を宿した女の子がありと、目いっぱい無理して大人ぶり背伸びするヒロインを描かせるとことのほか輝く。
そんな中二病ティックな彼女たちを主軸に据えて展開される物語はラヴラヴからド暗黒まで多彩だが、いずれも共通するのは登場人物たちの過剰なくらいの情念が爆発するモノローグの奔流。心臓の高鳴りまでが伝わってくるかのような密度の高い科白まわしで青春の輝きも闇も大放出の青くさい展開がこそばしくもあり快くもあり。エロ漫画というよりはモラトリアム系の青年漫画――冬目景とか安達哲とか――に近い読後感だ。
エロシーンも行為それ自体よりはセックスに至るまでの制御しきれない衝動を抽出する方に重点が置かれる。知らぬ間に理性のたがが外れちんこにむしゃぶりつき、自分から怒張に腰を沈めては破瓜の衝撃に涙するさまが痛々しくもエロっちい。感情をコントロールするすべを失いたどたどしく腰を使いながら苦痛と快感の入り交じった表情であえぐ姿にぼくらの如意棒もビンビンだ。情欲の熱に浮かされはしたなく咆吼する少女の幼い性器にたっぷりと精を注ぎこみ、事後呼吸を荒げながらぐったり横たわる彼女の小さな背中を見てイケナイコトしてる感に心がキュンと締めつけられる。
作画は粗くデッサンはまだ随所であやしくなり、また語りに汲々として肝腎の濡れ場に集中できなくなることもしばしば。あと個人的にはゴムつきだったりアナル放出だったりで膣内射精含有率が低いのも減点要素(趣味まる出しですいません)。しかしながら非常に印象的なキャラメイクや若さゆえの衝動を余さず伝える作劇の輝きは得がたい魅力で、編集サイドもそこを買っていまだ駆け出しの漫画家に自己表現の場を与えたのだと思う。テクニックが洗練されモティーフを効率よく伝えることができるようになるであろう2作目以降が楽しみだ。今回収録のものではまずお話方面でマニッシュな少女のままならぬ気持ちの葛藤をじっくり追いかける「キラキラ」が、次いで抜き的には関西弁チャイナっ娘と密着ファックの「毎度おおきに!」がマイフェイヴァリット。
0 件のコメント:
コメントを投稿