-祭丘ヒデユキ「高感度クリトリV」茜新社 ISBN:9784863493230
話○ 抜△-× 消小 総合○
さまざまな試練を経て研鑽を積んだレイプ研究会一同はその集大成として全日本選手権にいどみ……長編6話(第9-13話&外伝、完結)+理想の乳を求めてさすらう主人公の戦いは今日も続き長編4話(第1・2・30・331-最終話、完結)+独立短編3本(うち既刊より継続シリーズ1本)。疾走するバカギャグ核爆発に脳味噌まで侵され続けること必定のこの作家最新刊はおよそ1年ぶりのコミックスだ。なおこちらは10月末発売のものをいくらか遅れてレヴュウしていることをあらかじめお断りしておく。
起源はおそらく少年漫画/アニメ絵の系譜ではあるものの、キャリアを積むごとに線がやたらと力強くなりむやみなクセが加わってもう誰とも間違えようのない個性を獲得。後述するように題材もやたらとマニアックになっていき、抜き漫画としての訴求対象はどんどん狭まっているような気がする。そういう自分もお話はともかくちんこを活用するのにはだんだん辛くなってきて近作数冊をパスしてきたのだけれど、代表作でありこちらにも収録のある「レ研」シリーズの完結を知りラストを読みたくて遅延購入した次第。
そんなわけでひさしぶりの出会いとなったこちらは表紙/裏表紙こそ比較的おとなしめながら、中身は予想どおりフリーキーな肉体が所狭しと乱舞。作者公式サイトを見ると筋肉やらふたなりやらにハマっているようで、それが商業原稿の登場人物たちにも如実に表れている模様。過去作品でも奇妙な乳やらイカレたちんこやらが頻出していたとはいえ、いまやノーマル体型の一般女性がマイノリティになっているというのはすさまじいなあ。
80年代ジャンプ的アクションバトルをベースラインに置きつつ性をめぐる奇妙奇天烈なシチュをマシンガンのごとき言語芸を伴奏にしながら読者の脳髄に直接叩きつける芸風はデビュー当時から変わらない。ただ作者の性癖がどんどん先鋭化してきたぶんネタもよりエグくなり、昔からやっているシリーズだと変な方向にパワーアップしていたり、逆にキャラメイクに変化がない場合は周囲のインフレに置いていかれたりと違和感を覚えてしまった。具体的には眼鏡っ娘好きだった芳賀U太さんがいつの間にか生理大好きっ漢へ超進化しているその姿や、超絶レイパーのススムさんが飛び道具キャラ連発の前にすっかり影薄くなっていたりしているのを目の当たりにして少々感傷にふけっている俺がいる。
そうはいってもおっぱいをめぐる果てしなくアホらしい戦いを熱血調で展開してみたり多種多様なライヴァルキャラを使い捨て同然に乱射したりのアシッドリーなストーリーテリングはあいかわらず血湧き肉躍る体験だ。このへんはカヴァー折り返しに名ゼリフ抜粋があるので、見本チェックのできる環境ではぜひ本編を見る前にチラ見してワクワク感を高めてほしい。本作に限らずギャグの内容を逐一説明するのはとても難しいしヤボでもあるので、卑怯ではあるけどこれは読んでもらうしかないのですよ。
立ちはだかる障害の数々を乗り越えさまざまな分泌物にまみれながらちんこをたぎらせまんこを濡らすヒーロー/ヒロインの活躍に胸躍らせつつ読みふけっているうちいつしか自慰表明のことはすっかりどこかへ行ってしまうという、抜き漫画としてははなはだ困った物件。しかしながらこの気のふれたような科白まわしの冴えはさらに磨きがかかっており、いまだ未読のエロ漫画フリークたちにはいちど体験しておくことを強くオススメ。おのおの方向性は異なるが、土居坂崎や縁山とともに現代エロ漫画界における言語芸の達人のひとりといえよう。収録作のなかでは感慨深く決着を読ませてもらった「レ研」シリーズはむろんのこと、スケールこそひかえめながらオチがスカッと決まった「光陰」がお気に入り。
0 件のコメント:
コメントを投稿