2012-12-17

今季の無観客試合。

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-山本善文「囚われの女税務官」エンジェル出版 ISBN:9784873064666
話△ 抜△-× 消小-大 総合△

脱税調査に踏みこんだ先で強姦された女マルサの調教はその後も続き連作2本+夫の執拗な暴力に耐え続ける妻がある日出会った男と本当の恋に落ちて長編9話+独立短編1本。情け無用のガチレイプが全編を支配し容赦ない責めに苦悶するヒロインてんこ盛りでお送りする作者この名義での2冊めだ。
もとは山本よしふみ名義で一般向けのギャグ漫画を執筆したのち山本よし文と名前を変え巨乳系大量射精超インスタントエロを武器にして活躍してきた人。こちらでもなん冊かレヴュウしていて、最後に記事にしたのは2010年発売の「姉+(アネプラス)」。そのあとがきで活動のフィールドを移すような発言をしていたのは覚えていたのだけれど、前作にあたる去年刊の「寝取られ猥婦」はどういうわけか目に留まっていなくて、また筆名をマイチェンしていたのもはじめて知った。今回こちらを店頭で発見しておのれの不勉強に恥じ入るとともに改めてニュー山本善文に挑戦してみた次第。
まずいきなり表紙からしてまったくこれまでのイメージと仕上がりが違っていてビックリ。いくらなんでも短期間でこんなに絵が変わるものかとドキドキしながらページを手繰ると……アレ? 以前のままですよ。ということはちょっと前のヒット出版社みたくCG塗りだけ外部委託していると思われる。たしかに冷静に見るとベースの描線は本人画のようだけれども、これだけコッテリ色を乗せ陰影を効かせるともはや本来の絵の面影はまったくない。好き嫌いとは別にここまでカヴァーと中身の印象が異なるとサギ呼ばわりされても仕方がない状況で、正直いただけないと感じてしまう。
昭和アニメみたくやたらと大仰な雰囲気のタッチは従来どおりだけど、男性キャラが耽美っぽいのとキモメンとの両極端で妙に居心地悪いのが特色といえようか。この絵柄で一般誌時代はツッコミ無用のボケ倒しギャグを、エロ漫画ではハイスピード犯るだけ漫画を展開していたというのがこれまでの印象。それが表題や帯コピーに代表されるような官能小説ばりの凌辱一辺倒になっているのだから2度ビックリですわ。
単行本の構成はタイトル・チューンを含んだ前半部の調教ネタと中盤以降の長尺ラヴストーリーとに二分。前者は救いレスのシンプルな堕ちものだが、後者はヒロインが延々DVされるSMファックと不倫相手との純愛エロスとの組み合わせとなる。よって女子をひたすらいたぶりおとしめたい貴方は要注意だが、前途に一抹の希望を持たせるこの造りの方が取っつきはよろしいかと。
お話がダーク志向なだけにセックスにもほの暗くウェットな空気がただよう。前述したように単行本の前後でノリは若干変わるのだが、前半部の方がエロシーン含有率は明らかに高くうしろの長編は比較するとややおとなしめ。たっぷりボディをハードに駆使しながらバリバリ膣内射精を堪能するのには途中までで読書を打ち切るのが賢明かも知れない。また以前は洪水みたく大量のザーメンをドプドプ注入するシーンを豊富な断面図を織りまぜながらくり広げていたのだけれど、そのへんがずいぶんあっさり処理されていてこれには落胆。強姦/和姦はどっちだっていいのだが、情欲をそそる演出をわざわざスポイルするのは納得いかないなあ。
てなわけで一読してはみたのだけれど、率直に言ってだいぶ不満の残るできばえだった。とりわけこれまでの美点をみすみす捨てたかのような濡れ場の演出にはブーイングせざるを得ず、次回購入するかどうかは微妙。そんななか比較的使えたのは唯一の読み切り作品にして一見ロウティーンと見まがうばかりのちんまい人妻っ娘を立派なM奴隷へと調教短編「ロリ妻は露出マゾ」でした。

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