今週の連合王国。

-U-K「Loversクエスト」竹書房 ISBN:9784812480595
話△ 抜△ 消大 総合△

名家の家督を継ぐ条件に嫁を連れてくるよう命じられた主人公は女性を求め全国津々浦々表題作長編6話(最終話描きおろし)+独立短編3本。マークなし。繊細な筆致を武器に前世紀から活躍する大ヴェテランが長きにわたるインターヴァルを経て送り出す待望の最新単行本だ。同じ竹書房からの前作「星祭りの夜」は2005年の作品集なので、じつに7年ぶりの新刊となる。
自分が集中的にエロ漫画をチェックするようになった1990年代なかばあたりにちょうどデビューしている作家ゆえ強く印象に残っている。桜桃書房やフランス書院あたりを本拠地にしていたころはよくコミックスも購入していたのだけれど、今世紀に入りおもな活動の場を慎太郎シール誌に移してからは追いかけなくなってしまった。それが偶然に店頭で発見したこの新刊の帯に「最後の成年向け作品集」という惹句があるのを見てなにやら感慨にふけってしまい気がつくとレジの前へ。
購入後さっそく初出一覧をチェックすると、原稿の執筆時期は2005-07年とずいぶん前のものばかりだ。軽くググったり作者公式サイトを覗いてみたところ、どうやら最近は男性向け仕事を雑誌媒体で行うことはなくなっている模様。さらには創作活動そのものを引退することまでほのめかされていて、餞別代わりにコミックス収録から漏れていたものを落ち穂拾いしようという趣旨らしい。
はっきり女性作家だとわかる古典的な少女漫画/ボーイズラヴ由来のタッチは昔記憶していたまんまで、2012年のいまとなっては流行らない系統とはいえなかなかに華麗だ。まつ毛バチバチの派手な顔立ちにやたらとダイナミックなおっぱいを標準装備のボディを組みあわせるのがお約束だったのだけれど、今作はそれほど極端に胸はデカくないかなあと。
コンビニ売り誌初出ゆえover18で統一の女の子たちは多彩なキャラクターをお持ちで、ツンツンさんにおっとりっ娘、冷静沈着タイプからはすっぱ女子までよりどりみどり。性格描写に即したヴィヴィッドな科白まわしは野郎漫画家にはなかなか出せない味で、このへんはキャリアのたしかな蓄積を感じさせる。
そんな彼女たちとくり広げる物語は定番ネタである嫁探しものの冒頭長編をはじめとして、現代日本を舞台とした肩のこらない甘口ラヴ・アフェアで統一。黄色い楕円界で執筆していたころはやけにSF的な設定が多かったのでこちらの路線には少々違和感を覚えたのだけれど、ヴェテランだけありお話運びはスムーズ。ただあまりにも定石どおりな表題作よりは後半の読み切り群の方が軽くトゥイストを利かせてあって自分的には好みだ。あとこのタイトル・チューンはどうも本来の構想より短縮を余儀なくされたようで、初出時はジャンプでいう「戦いはこれからだ!」エンドで終わってしまっている。描きおろしパートでようやく話を収束させ本命の女の子ともやっとHしてとどうにか体裁を整えたとはいえ、雑誌連載だけを見ていた人は当時さぞかし消化不良だったろうなあ。
若干ケチをつけたがいわゆる女体回転寿司展開ゆえさまざまなヒロインとまぐわうエロシーンはなかなかのお得感。盛りのよろしい肢体を惜しげもなくさらしては男子の股間にしゃぶりつくおにゃのこの痴態に思わずボッキーン。お礼にと暴れん棒をしとどに濡れた下のお口へねじこめばたちまち彼女らほおを紅潮させ小刻みに嬌声を発しながらのぼりつめてゆく。全身を愛撫され激しく腰を使われて絶頂を迎えんとする女子の内へ外へとドプドプ白濁液を放出しミッションコンプリート。
執筆当時は充分に新しかったヴィジュアルはさすがにいまとなっては少々オーセンティックに過ぎ、性器のシルエットすら定かでなくなる無慈悲な白抜き修整も興奮を削ぎがち。とはいえ久しく見ることのなかったこの人の作品に再会できてつい懐古にふけってしまったのも事実だ。いにしえの時代を知る貴方が昔お世話になったお礼にちょいとおひねりを投げるのも悪くないかと。今回収録のものでは姉弟がそれぞれの恋人と同じ夏の太陽の下でファック「ダブル・バケイション」に出演するショート巨乳オドオドっ子・彩ちゃんがいっとう俺好み。