2013-02-09

今宵の仁堀航路。

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-笹川ハヤシ「幼なじみにふれた夏」ティーアイネット ISBN:9784887744639
話○ 抜○ 消小 総合○

隣家の美人床屋さんとのめくるめく初体験ののち彼女の娘である幼なじみ女子との関係はどうもギクシャクして……長編4話+未熟さを指摘され苦悩する若きソムリエの特訓がはじまり短編1本。キャラの息づかいまでが聞こえてくるかのごとく卓越した画力とさわやかに青春賛歌を謳いあげる作劇とのコンビネイションが読者をとりこにする作者通算4冊めのコミックスだ。
年1、2作ときわめて緩慢な執筆ペースながら、その圧倒的な作品力で「COMIC MUJIN」誌上に長く君臨している人。2005年刊行のデビュー単行本「恋コク」以来その存在は俺の脳裡にも強烈に灼きついてはいるのだけれど、これまではどうも食指が動かずパスしてきた。それが今回は店頭見本チェックでヒロインのルックスにグッと惹かれてレジへ向かった次第。
リアル系の骨格や顔立ちにほどよく漫画風味をブレンデッドした端整な絵柄は基礎画力の高さともあいまってたいそうフォトジェニック。ただ今作の表紙もそうなのだけれど、中身の白黒原稿はもう少しキュートで親しみやすいのにカラーだと妙に写実的すぎて不気味一歩手前になりがち。実写AVなど3次元からの移行はしやすそうなものの、アニメやゲームなどヲタ絵に親しんだ人間がこの作家に入門するのにはここが不必要にハードルになっている気がする。
あたかも寡作なのをおぎなうかのようにこの人の描く漫画はまいどえらく大上段でヴォリュームもたっぷりの読みごたえあるもの。今回も冒頭からの大長編「ハルの夏」は1話あたり40ページ強のトンデモサイズだし、巻末収録の読切「オッパイソムリエ」ですら34ページと、媒体によっては前後編に分けられてもおかしくない大容量。しかしながらこの分量はけっして水増しなのではなく、後述するごとく精緻なストーリーテリングが必然的に要求するものなのだ。
設定こそコミカルながら密度の高い愛とセックスが詰めこまれた短編「オッパイソムリエ」も佳作だが、やはり本コミックスの真髄は巻頭からの長尺ラヴストーリー「ハルの夏」だろう。潮の香りただよう明光風靡な情景と隠微に入り組んだ人間関係とが同居する瀬戸内海の港町を舞台にくり広げられるひと夏の愛と青春をじっくり描き出す本作は、設定こそ現代ながらまるで高度成長前期の日本映画のように濃密なノスタルジィをかもし出す。
主人公たる高校生男子・ハルと、表紙を飾るメインヒロイン・チサとは幼なじみ以上恋人未満の関係ながら、ハルは彼女の母親であり昔からのあこがれの女性・美佐子さんとふとしたことで結ばれる。その現場を目撃したチサと気まずくなるも彼女から積極的にアプローチをかけてきて……と序盤からいかにも王道な一大性春ロマンだ。その他美佐子さんと主人公の兄貴分的イトコとのもうひとつのラヴ模様があったり途中美味しく母娘丼を頂戴したりと波瀾万丈の体験がほんのわずかの間に襲いかかり、紆余曲折ありつつもハルはチサとお互いの真摯な気持ちを確認し永遠の愛を誓うのだが……このジェットコースター展開が最後どこへたどり着いたかは読んでのお楽しみ。いささか鼻白むくらいに科白まわしは大仰で、また彼ら彼女らのまっすぐすぎる言動には少々青くささを覚えはするものの、すっかりスレて摩滅した俺のすさんだ心にもその一本気なメッセージがずしりと響くのは照れや韜晦などいっさいなくフルパワーで人間賛歌を奏でる作者の膂力によるのだろうな。
ときに甘くときにほろ苦い物語を後方で力強く支援するのが豪華絢爛グラマラスボディをハードに使役するエロシーン。みずみずしい肢体をおずおずと押し開きヴァージンをささげるチサとの初々しいえっちも、年上女性らしく優しくリードしながらビッグバスト&ヒップで暴れん棒を包みこむ美佐子さんとの濃厚ファックのいずれも両方捨てがたい魅力だ。性器どうしの真剣勝負を長時間実況し液汁まみれでフィニッシュのセックス曼荼羅にぼくらの股間も耐久試験の限界ですよ!
豊満ボディをすみやかに生まれたままの姿へ戻しツンと突き出た2つの双丘にむしゃぶりつくと彼女はうっとりと法悦の表情で甘やかな吐息をもらす。全身に愛撫をくり返しすっかり潤んだ秘密の花園へいきり立つ怒張を侵入させて本番スタート。きつく抱きついてくる彼女の内奥をこすり上げるようにシャフトを抽送するたび海辺の言葉で四方八方へ嬌声を発するさまがなんとも淫靡だ。いよいよ感極まりしきりに膣内射精を懇願する彼女の子宮へ最後たっぷり白くねばつく液体を叩きつけて2人の愛の営みはようやく終わりを告げる。
私的嗜好からすると絵柄はもうちょっと萌えっぽい方が好みではあるものの、疾風怒濤の物語展開とそれにふさわしく密度の高い濡れ場との相乗効果で脳もちんこもお腹いっぱい。欲を言えばもっと雑誌での掲載頻度が上がればと思わなくはないが、引き換えにこの異様なまでのパワーが失われては意味がないので、そうなるとレアアイテムと化しながらも途切れずに作品発表が続くいまの状況がベストなのだろう。今作のダブルヒロインはどちらも魅力的で甲乙つけがたいけど、10代大好きっ漢の自分としてはやはりけなげでヤキモチ焼きで、でもやっぱり女の子だから同世代の男子よりはずっと内面は大人なそんな幼なじみ・チサの方に軍配を上げたい。

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