-橋田鎮「水野リナ[流出]」クロエ出版 ISBN:9784903714806
話△ 抜○-△ 消小 総合△
母親の夢をその身に担い芸能界へと踏み出した少女は虚栄と欲望うずまくアイドル業界の後ろ暗い部分をイヤというほど見せつけられて……中編4話&巻頭描きおろしプロローグ+執拗なイジメを受け孤立していたヒロインは「友達」づくりのためにその身を捧げ前後編+独立短編5本。背徳の罪を犯しながらどこまでも乱暴に身体を重ねあい畜生道に堕ちてゆくダークセックスてんこ盛りでお送りする作者最新作は新作単行本としての10冊めにして当社からの3rdコミックスだ。
今世紀初頭にはすでに世に出ていた人でキャリアは充分なのだが、そう言えば最近単行本の話を聞かないなあと思ってたら2009年リリースの前作「私立淫猥学園」発売からはなんと4年ぶり。収録作の初出が書いてないので途中ブランクでもあったのか単に執筆ペースが緩慢なのかは判然としないのだけれど(だから初出一覧は必ずつけてくれよう)、まずはひさびさの邂逅にひとしきり杯をかかげるとしよう。
旧来の劇画絵とは一線を画しつつも萌え色の希薄な独特の絵柄はほかに類似品の見当たらないもので、あえて抑揚をつけないフラットな描線やのっぺりしたトーンを全面に貼る画面処理などが特徴的。タッチはまるで違うけどパッと見ではずいぶん白っぽくも見えるヴィジュアルはあたかも能條純一のようなクールさを感じる。この絵柄でたとえばスポーツ漫画をやらせたりしたら絶望的に食い合わせが悪そうだが、ダーク風味のガチンコエロスにはことのほかマッチするから不思議だ。
冒頭長編の母娘がセットで登場する表紙イラストに代表されるように、多くの橋田鎮漫画においてはヒロイン年齢がガチロリと大年増の両極端に設定される。ランドセル世代~思春期入りたてのちっちゃい娘パートと20代なかば~40代のおばさんパートのどっちも美味しくいただける人にはこのうえない福音だが個人的には後者が鬼門ゆえ複雑な気分だ。とりわけ若い子とアダルトさんとで瞳の大きさが3倍くらい違う対照的な造形をするのでいっそう受容がつらくなる。ボーダーラインのティーン女子も含め大人ももっとあどけないフェイスだとマイちんこ的にうれしいのだけれど。
そんなヒロインズが乗っかるのはいちどはまり込むともう脱出不可能な因果応報セックス曼荼羅。いちおうピュア恋愛ものも存在しているのだが、ダーク凌辱ネタの存在感が強すぎて単行本トータルだとどうしても暗黒方向へ針が振れてしまう。ジュニアアイドル候補生が枕営業したりファンに過激サーヴィスしたり、あるいはいじめられっ子が同級生の慰みものになったりと黒い話はみな凌辱メガ盛り一直線だ。一方で和姦系のネタも背景にヤバすぎるインセストタブーを織りこんだりアモラルな結末を示唆したりとどうしても底抜けに明るくできないのがこの作家の性分らしい。ダーク成分が抜きの格好のスパイスになる方にはこたえられない優良物件といえるが、ラヴラヴ和姦スキーには基本回避を推奨。
インディーズ系AVからそのまま抽出してきたみたいなハードコア志向の濡れ場は版元の社風を反映して質量とも充分。華奢なボディを好き勝手に食い散らかすロリものと淫猥な肢体と熟達のテクにおぼれる熟女系のいずれも、全編に流れる陰鬱な雰囲気とあわせたいそう股間を刺戟する。されるがまま身をゆだねうつろな瞳を見せながら押し殺したような声であえぐヒロインズの諦念を帯びた表情がイケナイコトしてる感をいっそう増幅させてくれてよろしい。
滑らかな裸身をあらわにして秘密の花園をオープンセサミする彼女の誘惑に辛抱たまらず暴れん棒をインサート。身体を抱えこみムチャな体位を取らせて乱暴に腰を使うたび小刻みに嬌声を発し快感に身をゆだねるその痴態がなんとも扇情的だ。全部の穴に怒張をねじこまれ苦悶とも快感ともつかぬ表情でセックスに没頭するエロメスどもへ熱いザーメンの飛沫を親の敵のごとく叩きつけフィニッシュ。
やや物語進行がギクシャクするのと(とくに長編は時間軸がしばしば前後してわかりづらい)、俺の場合は収録作のうち年長女子系だとまったくちんこを活用できないのとでやや採点をマイナスしたが、そのへんがハンディにならなければどのページを開いてもすぐさま臨戦態勢に入れるユースフルな1冊だ。絶望をこじらせて変なふうに解脱しちゃったセーラー服ヒロインが刹那的なえっちに明け暮れる「遊糸」前後編が今回のマイフェイヴァリット。
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