2013-10-12

今月のティッカー・テープ・パレード。

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-吉田蛇作「僕は甘美な奈落に堕ちる」マガジン・マガジン ISBN:9784896444308
話○ 抜○-△ 消小 総合△

苦学の末名門大学に合格した主人公はリア充目指し参加した合コンで知り合った女の子宅に首尾よく上がりこむもそこで出会った彼女の姉に身も心も翻弄されて表題作中編5話+負け犬人生を送る男子は元凶たる幼なじみの少女に復讐を果たすべく別の女子まで巻きこんで修羅の道へ……中編4話。ポップでキュートなキャラ造形とキレキレの軽快コメディとのコンビネイションで一般誌移行後も大活躍の作者が堂々エロへ凱旋して送り出す久しぶりのマークつき単行本だ。
この人がいまは亡き司書房を舞台にむっちり女子てんこ盛りのスチャラカエロコメをバリバリ執筆していたのがだいたいゼロ年代初頭あたりのこと。しかしながら当時からハッキリとストーリー志向は見えていて、その後小学館の「サンデーGX」で連載をスタートし華麗にエロから足抜けを果たしたのもごく自然な成り行きだと思ったものだ。それがまさかまさかのUターンで驚くばかり。
巻末著者あとがきでも触れられているとおり、再録メインの「蛇道」(2005年刊)からは8年、新作単行本となると「欲情姫」(2004年刊)からじつに9年半ぶりの黄色い楕円界お目見え。その間に作画はディジタル化されたというが、もとよりたいそうキャッチーなその絵柄自体にはさほど変化なし。最初からカッチリ個性を確立していただけにいくばくかの流行は取り入れつつも根幹となる部分はそのままだ。
収録2本のいずれも登場人物を極度に絞ったコンパクトな世界観となっているので、抜きキャラは各編2人ずつ合計4人の最小構成。JK2名/JD1名/20代ニート1名の、どちらかというと熟女スキーよりは若い娘大好きっ漢向けのラインナップだ。昔みたく全員丸顔グラマラス系というのではなく細っこい子もいるしバストサイズも巨乳優勢でありつつわりとバラけてはいるのだが、それでもしっとり吸いつくようなお肌のやわやわ感はみな共通であり以前のそれをほうふつとさせる。
今作では2つの中編をドッキングさせ1冊の本にしているのだが、その雰囲気はまるっきり対照的。ヘタレ系男子を主人公に彼の視点からストーリーを展開するという手法はどちらも同じなのだけれど、冒頭からの表題作が巻きこまれコメディの形態を採りアホっぽさ全開で進行するのに対し、後半部収録の「kage-otoko」は全編陰惨な空気で心のすれ違いやむき出しの悪意が横溢するダーク系。吉田蛇作の既存作品を知る人にとって前者はなじみのあるものだと思うが、うしろの方はギャップに驚いてしまうかも知れない。
そんなわけで濡れ場のノリも前半/後半で大幅に異なる。美人姉妹の傍若無人ぶりに振りまわされつつもその肉体におぼれるタナボタエロス満載の(ただし妹は最終話まで本番厳禁)「僕は甘美な奈落に堕ちる」、そしてのっけから地味っ娘強姦調教&最後になかば狂気じみた状況のなかメインターゲットもレイプ完了「kage-otoko」という具合。この和姦と凌辱あいがけファックをお得ととるかいらんお世話と見なすか悩ましいところ。
ダイナミックな構図を多用し多種多様な性戯を駆使しながらエロメスどもアンアンイキまくりの表題作も、恐怖におびえる少女を力まかせに犯し屈辱的な言葉責めののち強引にザーメン注入の後半中編も、彼女らのもっちりボディを大いに強調し執拗に表情変化を追い続ける。明るく楽しくよがる光景も強いられた快楽にやがて陥落してゆくさまも両方美味しく摂取だ。
本番原理主義の自分的には表題作のダブルヒロインの片方が最終盤まで本番レスだったのが残念無念でやや減点。物語上の必然性があるのはわかるけれど、やはり主演女優格の女の子がずっとフェラやら素股やらで寸止めされちゃうのは大きなマイナス。ただやわこそうな肢体描写やちんこまんこが躍動する合体シーンはたいそう高品質であり、またさすがに一般誌経験者だけあり物語展開は明るいのも暗いのもじつにスムーズでストレスなく読了できた。このあと非エロに出戻っちゃうのかエロも続けてくれるのか進路は不明だけれど、できれば今後もやらしいのをモリモリ描いていただければ重畳きわまりない。

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