2013-12-01

今月のガトーレーズン。

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-蒼井遊美「隷属願望」三和出版 ISBN:9784883564965
話○-△ 抜○ 消中 総合○

同級生女子の万引き現場を目撃した主人公は彼女やその姉を脅迫しセックスの道具としてもてあそぶが……長編5話&描きおろしフルカラー後日談+短編5本。流麗な筆致で描かれる端整な表情の美少女たちが淫猥さ全開ではしたなくイキ狂う光景が股間を直撃する作者処女単行本だ。
収録作すべての初出となる「コミックマショウ」は特定のデフォ買い作家以外きちんとチェックしていなかったので、じつのところこの人の作品についてはほとんど予備知識を有していない。しかしながら久しぶりにスポット買いした号にこの作家の漫画が載っており、周囲の執筆陣とはかなり異質な雰囲気が印象に残った。その後さほど間を置かずにコミックス発刊の報を目にしたのでこのたび挑戦してみることに。
表紙/裏表紙のイラストからして早くも一般的な男性向けエロの絵ヅラとはかなり違う感触だが、続けて中身のモノクロ原稿を手繰るとオーセンティックな少女漫画絵ベースの作画であることが明確にわかる。作者サイトにある過去絵のタッチやリンクの交友関係などから推測するに性別:femaleで間違いないと思うのだけれど、全体的にただようフェミニンな空気がなんとも独特だ。このアトモスフィアはたとえば女性作家が大量に集まる「コミックポプリクラブ」の執筆陣たちともまた異なっていて、あちらよりもさらに原初形態に近いというかレディース/TL色が強く残存しているように感じる。
このいかにも華やかな描線でつむがれるヒロインたちは年のころ10代なかば~20代の食べごろ世代。首から上は非常にガーリィなテイストの凛とした顔立ちながら(ついでにキモオタ男子までなんかキラキラしてる!)、身体つきは成年漫画にふさわしくむやみに肉感的なラインなのがおもしろいところ。お餅みたくやわこそうなラージバストと肉ヒダがこんもり盛られたやらしい造形の女性器とがえらく扇情的でよろしい。
唯一の長尺ものにしてメインコンテンツ扱いの長編「仮面の代償」やそれと世界観を共有する巻末短編「隷属願望」がダーク調教系なのに対し、その他の短編はコージーな雰囲気のライトラヴコメ仕様と、ストーリーの様相は大きく分け2とおり。ただ凌辱系の話でも肉体的苦痛を伴う責めは行わずサラッと愛も仕込んだり、一方で明るい話にはコソッと不穏さや変態要素を加味したりして、どっちの系統であれひと筋縄ではいかないトゥイストの利かせ具合がグッド。いずれの物語も濡れ場がなければノリはレディコミのそれに近く、男性作家の筆になるオハナシを読み慣れた身にはこのわずかばかりの違和感が新鮮だ。
むろん野郎向けエロであるからにはちんこまんこの天下一武道会が存分にくり広げられるわけで、むっちりした肢体が乱舞し景気よく下腹部をオープンセサミするエロシーンは迫力充分。官能小説よろしくご主人様の言葉責めやお仕置きで強気な少女を屈服させる調教系のそれも、はたまたおずおずと股を開くヒロインと濃密なキスを交わし熱に浮かされたように行為に没頭するイチャラヴ話でも、豊饒な擬音と各種液体とにまみれての高密度ファックを旨とする。トロトロのイキ顔さらしたっぷり中田氏され絶頂するさまを大ゴマ使って開陳のフィニッシュはすでに黄色い楕円漫画のエッセンスを自家薬籠中のものとした証拠。
逆らえぬ命令を前に少女の優美な肉体は白昼のもとへさらされ彼女は屈辱と羞恥に頬を染める。やがて下腹部が押し開かれ淫猥な茂みの奥に見える桜色の蜜壷へ屹立した怒張が強引にねじこまれて破瓜の血を散らしながら彼女ら落涙。しかしながら呪詛のような言葉の暴力と止むことのない往復運動にさらされるうちいつしか意に反し身体は歓喜の声をあげはじめるのだ。汗と涙と唾液まみれになりながらみずから腰を使い四方八方に淫語をばらまきだすころにはもういっぱしのビッチのできあがり。ついにはイクイク連呼し強烈に膣内を締めつけて大量のザーメンを搾取し続ける女どものしたたかな変貌ぶりには脱帽だ。
直近2年以内と作品の執筆時期が比較的接近しているわりにはいささか絵の振幅が大きくて安定感を欠き、また今秋以降の当社単行本に共通するきつめのモザイク修整は減点要素。しかしながら作画/作劇とも少女漫画の作法を遵守しつつ男性向けエロに不可欠な濃口ファックを接ぎ木した独特のミスマッチ感が逆に貴重な個性となっていてよろしい。願わくば変に過剰にエロ漫画的お約束に迎合せずそれでいて気持ちよく抜けるこの不思議なバランスを今後も維持してもらいたいところ。登場する女の子のなかでは、立場逆転すっかり不遇な「仮面の代償」のショートヘア副会長・遠山さんとか、清楚な美少女なのにほんのりイジメられ属性アリな「キライにならないで」のヒロイン・美波ちゃんなんかが私的ツボでございました。

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