-浦井民「しょおにょ」茜新社 ISBN:9784863494145
話◎ 抜○-△ 消中 総合○
尿を介在にして関係を持つに至った少年少女は勘違いとすれ違いをくり返し連作4本+独立短編6本。思春期迎えたてスレンダーガールズが人生に恋に煩悶しながら暴走ファックの性春グラフィティを端整な筆致で展開する作者これが通算2冊めのコミックスだ。
収録作すべての初出媒体である「COMIC LO」は現代日本ロリ漫画の総本山であり多種多様なロリペド侍の集う梁山泊であるのだが、本当にこの産出ペースでゴハンを食べていけるのか?と見ているこちらがハラハラするほどに寡作な漫画家をけっこうな数で抱えている。この人もそんななかのひとりで、気がつくと1年ほど誌面で見かけなくなることもしばしば。そんな具合にして処女単行本「Hole sweet hole」の刊行からこの新刊までじつに4年以上の歳月が流れた次第。
流麗ながらも少々か細い描線と少女の肌の白さを強調すべくあえて密にトーンを貼りこまない画面仕上げによりもたらされるシャープで繊細なヴィジュアルを特徴とする。それらは登場したときからある程度確立され固まっていて、それゆえ執筆時期の新旧差はさほど気にならない。ただ一般誌に比べさらにトレンドの変遷の速いエロ漫画業界ゆえ、2014年のいまとなっては最新鋭のタッチという感じではないかなという印象。もちろん泥くささはみじんもないし、読み進むうち浦井民のつむぐ物語にはやはりこのセンシティヴな筆致こそがふさわしいと実感できるはずだ。
LO物件であるからにはもちろん登場するヒロインみな義務教育世代以下のまごうかたなきロリっ娘ばかり。高学年JS~JC近辺と推測される彼女たちは華奢な手足に折れそうな細腰の純スレンダー体型で、前作にはわずかに存在した巨乳さんは絶滅しフルフラットもしくは微乳女子のみで構成される。こうした子供以外のなにものでもない体躯のアリスたちがいっちょ前の大人顔負けで人間存在やらコミュニケイションの断絶やらについて高速で思惟をくり広げるという身体と精神のアンバランスぶりがなによりも興味深いところ。
この作家の手になる物語は和姦/凌辱だのダーク/ライトだのというカテゴライジングがじつになじまなくて、そのためか帯の訴求コピーもお話の雰囲気にはまったく言及せずひたすらプレイ内容について述べるにとどまっている。強いて言えば思春期女子(ときに男子も)による愛や性についての考察をバックボーンにしたセックス百景とでも評し得ようか。その結果としてイチャラヴに見えたりレイプものの様相を呈することはあるけれど、究極的には彼ら彼女らの長々としたモノローグとそれがひとつの理解/悟りへと帰着するまでのプロセスを堪能することこそが浦井民漫画のエッセンス。登場人物たちの独白がときとして中二病めいた暴走ぶりを見せつつあふれんばかりの言葉の奔流となって炸裂するさまは一種のカタルシスであるのだが、同時に「お前らめんどくさい生き方しとるのう……」とつい思ってしまったり。
大量の科白の間を縫うように開陳されるエロシーンはいずれも非常に攻撃的なもの。たとえば本作のメインコンテンツである連作シリーズでは単行本タイトルで暗喩されているおしっこ方面のアレコレが怒濤のごとく投入されているし、その他ヤンデレっ娘の射精管理プレイや実娘との主従ごっこ、睡眠Hに制服切り裂きと多彩なエロス連発で飽きさせない。日常時の端整な表情をすっかりテンパらせて性の衝動に身をまかせる少女たちの凄惨ですらある妖艶フェイスが君の勃起中枢をハードヒット。
制服の下に息づくロウティーンの滑らかな肢体をあらわにして彼女らは挑発的な笑みを見せのっけから場の雰囲気を支配する。ちんこを足でグリグリし強権でクンニを命令しながら悦に入っているところをこんどは男子大度からたぎるシャフトの子宮への強制挿入を受け形勢逆転。ふくらみかけの乳房に吸いつかれ激しく粘膜をこすり上げられて全身をのけぞらせこみ上げる衝動に耐えようとする光景がなんともエロっちい。すっかり前後不覚となり激しく嬌声を発しながら幼い子宮の奥底へ大量の白濁液を流しこまれてヒロインTKO。
異様な分量のモノローグが画面を占拠し発狂一歩手前の厨房シンキングが横溢する物語たちはなかなか咀嚼しづらいものがあるけれど、ひとたびこの愛と青春の暴走に抗わず身をまかせればその空回りぶりをいとおしく思い不器用でせわしない性愛の発露を快く受容できるはず。これだけ密度の高い作劇を前にすれば生産ペースが上がらないのも納得だ。今後も生活困窮しない程度に作品を発表しつつ疾風怒濤の浦井民ワールドをくり広げてもらえれば重畳きわまりない。どの作品も味わい深いものばかりだが、ヒロイン/ヒーローの過剰な思いこみがどんどんすれ違いに発展しつつも最後ようやく両想いで決着した珠玉のボーイ・ミーツ・ガール「はるがきたから」/「とおりすぎるなつ」/「もうあきなのさ」/「ふゆのさむいよる」4連作がやはり出色のできばえ。
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