-ゆーきぃ「イケちゃう・エロ絵本」久保書店 ISBN:9784765935746
話○ 抜△ 消小-大 総合△
ろくでもない現実に背を向けて童話の世界に入りこみ名作ヒロインたちとあんなことやこんなこと連作シリーズ2本13話(第1シリーズ全6話&第2シリーズ全7話)+独立短編2本。ふにふにキュートな萌えっ娘どもを思うがままに蹂躙し犯りたい放題のワンダーランド到来な作者このペンネームでの初コミックスだ。
昨今はかたっぱしから版権を拾ってきてはモリモリ単行本に仕立て上げる久保書店だが、まいどそのセレクトはすごいんだかなにも考えてないんだか意外な名前がドカドカ出てきてある意味楽しい。ロリあり熟女あり、イチャラヴありガチ凌辱ありとにかく無節操で毎月の刊行予定を見るたび驚かされる。そんななか今月登場するこの作家、じつはまっさらの新人ではなく数年前までは別名義で活動しなん冊かコミックスも上梓している一人前のプロ。ただ作者サイトでは旧PNについて明確には謳っていないのでここでもあまりしつこくは触れないつもり。
わりとオーセンティックな絵柄の漫画家を拾ってくることの多い同社としてはかなり萌え寄りな愛らしい筆致の表紙絵がまず目を惹く。はっきり女性作家のものとわかる繊細な描線とまん丸い瞳の処理がとりわけ印象的だ。ただ冒頭連作と巻末収録の読み切り2本とでは極端に絵柄が違い、うしろの方はさらに少女漫画テイストが色濃い往年のりなちゃ系を思わせるタッチ。また前半部が比較的おっぱい大きめのふっくらした肢体描写なのに対し短編2本はペッタン系とこれまた方向性が真逆。このアンバランスぶりについてはのちほど理由が判明するのだが、最初にページを手繰ったときみなさんビックリすること請け合いだ。
この出版社の本は漫画本体以外の情報提供がとにかく少なくて初出一覧もあとがきもないのが通常形態なのだけれど、今回はめずらしく著者自身による非常に充実した作品解説があって楽しい。執筆時期の明記こそないけれど携帯配信由来というふうに掲載媒体も明らかにされ作品の1本1本についてていねいな説明がなされている。ついでにえらく趣の違う読み切り2本については前ペンネーム時代の8年前に描かれたものとここで明かされ、冒頭連作とのとんでもないテイストの落差にもこれで得心。
以下内容紹介については巻頭連作「20歳から始めるエロ絵本」/「20歳から始めるウラ絵本」を中心に行う。といっても表題やサブタイトルの「童話の世界でヤリまくり」が示すとおり、絵本のなかへ直接ダイヴする特殊能力を持つ主人公がアンデルセンだのグリムだのの登場人物たちとH三昧のドリームワールド実現というそのまんまのお話だ。この手の趣向はまったく作者の独創というわけではなくて過去にも別のエロ漫画やエロゲーで見たことがあるけれど、2シリーズそれぞれの主人公の境遇が現実世界になじめないキモメンや冴えないぼっちというのがいかにも今日的。彼らの灰色の日常生活をじっくり描くことでめくるめく幻想世界とのギャップがいっそうきわ立つ仕組みだ。虐げられ見下されるクソッタレなリアルと性的強者として君臨し絶世の美女たちを思うがままにする童話世界との絶望的なまでの差異が少年たちの心の煩悶をより深くする。しかしながらそんな主人公2人には思わぬところから救いの手がさしのべられ最後はポジティヴに締めくくられるのだが、詳しくは実際に読んでのお楽しみということで。
主人公たちが入りこむ童話を登場順に列挙すると、まず第1シリーズではマッチ売りの少女/あかいくつ/カエルの王子様/シンデレラ/人魚姫/雪の女王。次に第2シリーズではマッチ売りの少女(再登場)/かぐや姫/おやゆび姫/白雪姫/いばら姫/ヘンゼルとグレーテル。いずれも超メジャーな名作でありヒロインの造形に解説は不要だろう。だいたい外見的にはミドル~ハイティーン相当に調整され柔らかそうなビッグバストを標準装備する彼女らのえっちな部分を好き勝手にできるのだからたまりませんな!
ケータイ配信が初出ということで性的描写のレギュレイションはかなり厳しく、エロシーンはずいぶんおとなしめ。ことに性器附近をダイレクトに描写できないらしくて結合部をフキダシや擬音で隠したりまともに見えないアングルで描いたりと苦労のあとがうかがえる。そのぶんはアンソロ初出の短編2本がずいぶん健闘してくれてて、こっちはぷっくり肉厚のょぅι゙ょまんこやそこへ暴れん棒がダイレクトにねじこまれる光景を詳細に実況中継。性器修整もこの2作品だけは小さめの黒線消しで視界良好であり不完全燃焼の砲身もここで存分に発散できる仕掛け。
後半部の実用性満点なロリファック漫画をもってしても冒頭連作のまんこ全面クローズ状態のダメージを挽回しきるのは難しく、抜き至上主義の当ブログではどうしても総合評価は芳しくない方向へ(作者さますいません)。とはいえ童話世界を手際よく換骨奪胎してえっちに仕上げるとともに力強く前向きな結末を配して心にぬくもりを灯す鮮やかなストーリーテリングはさすがだ。この調子でコンスタントに執筆を続けてもらってときには以前のようなガチエロも描いていただければ重畳きわまりない。あまたある童話ヒロインのなかでは唯一両エピソード登場のマッチ売りの少女さんと、前名義の作品でもおなじみスパンキングの餌食になる赤い靴のカーレンたんにグッと来たです。
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