-尾張ウメシゲ「隣の部屋から聞こえる彼女の声」ヒット出版社 ISBN:9784894656550
話△ 抜○-△ 消小 総合△
甘いのからヤバいのまで多種多様な愛におぼれつつガチンコファック満漢全席短編全9本(うち1本描きおろし)。オーセンティックなアニメ絵でもってコミカルだったりNTRだったりワイドレンジに展開するヴェテランならではの手練れの技が光る作者これが初の単行本だ(アレ?)。
総合エロ漫画誌として読者のあらゆるニーズにお応えせんと今日も新人発掘をおこたらない「COMIC阿呍」誌上で少し前から顔を出しはじめた期待のニューフェイス。いざ載りはじめるとこの雑誌の編集者はいちどきに集中して描かせるのでストックがたまるのも速く、このたびめでたくコミックス刊行へとこぎ着けた。このへんはせっかくイキのいい漫画家を続々輩出しながら執筆をうながすのが遅くてなかなか単行本にならない一部の出版社も見習ってほしいところ。
表紙のむやみに扇情的な彩色は例によって専属塗り師によるものなので、中身の少々古典的なアニメ/一般青年誌系の絵柄とは若干ギャップがある。とはいえ一時期のようにコッテリ陰影をつけすぎて元絵のイメージが霧散するようなやりすぎ感は薄れたのでジャケ買いしてもそんなに失望しないのではないかと。そうは言っても念のため購入前に書店の店頭見本を確認するか、出版社提供による単行本情報ページで内容サンプルを一瞥しておくのをオススメ。
巻末の描きおろし漫画を除いた収録作たちは、2013-15年にかけ阿呍本誌およびロリ系アンソロジー「少女式」に掲載のもの。時系列がシャッフルされていて作品の収録順と執筆時期とはまったく一致しないが、新旧の差異は少なくトータルでの違和感はない。というのも新人扱いをされてはいるけれど自分の記憶がたしかならこの人はペンネームこそ別ものだが作家歴十数年の超長老クラスの漫画家のはずで、絵柄もここ数年来大きな変化はないからだ。100%の確証はないのでしつこくは触れないけども(それでも9割方間違いないと思う)、仮に俺の知ってる彼であるのなら今回で3つめの筆名。
本作に登場する女の子たちはミドルティーンの妹ちゃんからアラサーのキャリアウーマンまで非常にワイドレンジだ。比例してボディの方も育ちかけの華奢なそれからボンキュッボンのグラマラス系まで各種取りそろえ。全体的には心もち巨乳寄りと言えようが、ちっちゃい方でも完全フラットではなくてわずかな隆起があり、逆に大きい方は目を疑うような奇乳ではなく抑制の効いたサイズでといずれも中庸路線を歩む。
昔から実用志向で物語はサラッと流すタイプながら、業界歴の長さはダテじゃなく毎回さまざまな趣向を用意し読者を飽きさせない。ただ今回大まかな傾向としては2種類のストーリーに大別され、肩の凝らない明朗快活ラヴコメと少々暗黒方向へ寄せたNTR風味のそれとを提示する。前半部に暗めのもの/後半部に明るめのものを配置しどちらも割合的には同じくらいだが、単行本カヴァーや帯訴求コピーの印象ではダーク方面をおもに売りにしていきたいのかな、という感じ。
明暗いずれにせよ濡れ場にはかなりの分量が割かれ性器どうしの真剣勝負をじっくりねっとり詳細中継する。全身びっしょり汗をかきながらガツガツちんこまんこ干戈を交え終わりなき摩擦運動に突入だ。乱暴にまんこを押し広げ執拗な責めで強制アクメへと持ちこむダーク系も、はたまた女の子サイドから積極的に腰を使い男子の性を搾取しまくるコミカル系も、どちらも行為の締めくくりは子袋の奥底めがけ大量の白濁液を間欠泉のごとくお見舞いしフィニッシュ。
はなはだプラグマティックなのは間違いないけれど、いまとなっては古さを隠しきれない絵柄と(ヒロインたちはともかく野郎キャラにはどうしても泥くささを覚える)、一部のレイプまがいのネタに若干グッと来ないものがあったのでわずかに評定をダウン。むろん使い勝手は良好なのでいま挙げた部分に特段引っかかりを覚えないのならヴァリュー・フォー・マネーな抜きツールとなろう。そんな俺なので収録作のなかでは甘めのお話が好みであり、純真そのものな年の離れた妹ちゃんとラヴラヴファックの「熟れない果実」がとりわけマイフェイヴァリット。
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