2015-07-23

今週のトナカイ牧場。

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-雛原えみ「女(あま)えんぼ」ワニマガジン社 ISBN:9784862693778
話○ 抜○-△ 消小 総合○

処女と童貞の幼なじみ同士が意地張り合いつつもしっぽりねっとり恋愛成就本編&フルカラーショート後日談+独立短編11本。キュートな作画と繊細な心理描写に乗っかりながら甘ったるいのからほろ苦いのまで多種多様なラヴ模様を展開する作者これが初の男性向けエロコミックスだ。なおカッコ書きで表記したとおりタイトル中の「女」は「あま」と読ませます。
ありとあらゆるルートから作画/作劇ともハイレヴェルの新人を青田買いしては続々とデビューさせる「COMIC快楽天」系列各誌は新陳代謝があまりにも激しくて、次々に刊行される単行本をとても全部は追いかけられないのが実情。高水準の作品をものしてくれるのはわかっていても自分の心に引っかかるものがなければそれらもスルーしがちだしこの人も当初は俺にとってその程度の存在だった。それがしばらく見ているうちにいくつかグッとくる作品を描いてくれたのでコミックス刊行を待ちこがれる作家にランクアップした次第。
書店店頭での訴求力抜群なむやみにエロっちい表紙/裏表紙にまずは息子をエレクチオンさせながらページを手繰り内容を確認すると、このたび収録の物件は2012-15年にかけ快楽天誌上に掲載されたもの。ペンネームが物語るとおり女性作家のようで、きらびやかなBL/TL系のタッチの痕跡がとくにイケメン風の野郎キャラ造形に残っている。一方で女の子は想定読者層たるオタ男子の欲望にほどよく媚びた感じのカワエロ風味なキャラメイクになっており、辣腕で知られるワニマガ編集の指導が大いにあったものと推測。いずれにせよ当初からかなり完成された絵柄であり新人ながら危なっかしい感じは皆無。カヴァーイラストと中身のモノクロ原稿との乖離はほとんどなくジャケ買いでとくに支障はないかと思うが、万全を期したい向きは試し読み/通販案内兼用の単行本情報ページが版元より提供されているので購入前にそちらを参照のこと。
この滑らかなタッチで描かれる女性陣は年のころ10代ラスト~20代なかば付近と推測される。トータルでは学生よりは職業女性や人妻設定の方が多いのだけれど、全般的にキュート寄りの造形をする人でありOLや奥さまでもアダルト感は希薄でティーン同然の外見ゆえ熟女スキーは回避で。一方ボディデザインはハッキリとグラマラス方面に振られており、雄大なおっぱいからキュッと締まりつつも適度にフニフニ感を残した腰、そして安産間違いなしのビッグヒップへとつながる女性らしい柔和なラインがなんとも情欲をそそりまくる。もちろん清楚なのからビッチまで、おっとりさんからツンツンさんまでとヒロインの属性附与も多彩で、多種多様な女の子にヴァーチャルで囲まれ読者のほおもゆるみっぱなしだ。
コンビニ売り誌初出物件なので物語のベースラインは和姦ラヴコメの範疇に属する。しかしながらその趣向はじつにヴァリエイション豊かで、糖度1000%のベタ甘リア充ラヴから背徳の香りがプンプンの乱交エロスまでなんでもござれ。またお話の感触も歯が浮くような初々しいのもあればビターテイストのせつない交合までどんな題材でもそれらしく描きこなしてみせる。このあたり巻末著者あとがきの「男性向け漫画仕事ははじめて」というコメントを裏返すならば、女性向け漫画仕事の経験を通じ豊富な色恋のアレコレを描くのはお手のもの、と受け取っていいのだろうか。たとえばポプリや昔のばんがいちみたく順風満帆スウィートなイチャつき模様だけ読みたい人には無理にオススメしないけれど、恋愛の酸いも甘いもリアルに描き出し登場人物たちの揺れ動く心情をダイレクトに読者の脳裡へ伝える雛原えみ漫画の滋味にシンパサイズするのも大人ならではのたしなみでまた一興。
1作品あたり16-20ページとものによってはかなり窮屈な構成ゆえ濡れ場分量はそう多くないものの、しっとり吸いつくような女体が縦横無尽に乱舞するヴィジュアルはかなり対ちんこ破壊力が高い。性器どうしガッツリ干戈を交わすファックシーンそれ自体もさることながら、女の子の細かな表情の入れ替わりや恋愛感情の起伏により微妙に変わる言葉遣いなどディテイルの描き方が卓越している。これによりヒロインの愛情の高まりやらセックス最中の興奮ぶりやらが読み手にもヴィヴィッドに伝わってきて自慰表明もいっそうはかどるのだ。
怒ったりスネたりしてみせたあの娘も濃密なキスを交わし合えばすっかり発情しトロけ顔。激しく自己主張するビッグな送球をねぶり倒し密やかな茂みをかき分けて暴れん棒をねじこめばスムーズに出迎えてくれる。ハードに腰を使うたびラージおっぱいをブリブリ揺らしながらほおを紅潮させ小刻みに嬌声を発する彼女の痴態に興奮しきり。2人してきつく抱きあい恥も外聞もなくラヴワードを連呼しながらタイトな子宮の奥底めがけ白濁の奔流を2度3度と流しこんだその刹那ヒロイン絶頂。
明らかにページ数の余裕がなくてファックがブツ切りになったりゴム付き射精でフィニッシュしたりの一部作品で私的抜き度が低下したものの、総体としては美味しくストーリーパートを摂取しつつ心地よく息子をしごけるきわめてユースフルなデビュー単行本。女の子の多彩な造形や細やかな心理描写などキモの部分はあらかた完成形なので、この人に対してはもう少しじっくり腰を据え長丁場の作品を描ける環境を与えてほしいもの。このたび収録の物語たちのなかでは、俺的に雛原えみ開眼の作品であり金髪碧眼温泉バイトガールさんの反則的な誘惑に見てるこっちも辛抱たまらんですたいな「Yukemuri Girl」と、単行本収録で改めてオハナシの真価に気づいたせつないひと晩の恋物語(友人関係の男女が関係の進展により名字呼びから名前になったりまた戻ったりの微妙な心象描写がすばらしい!)「女宿り」がことのほかfeel so good。

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