2015-07-27

本日の少女人形。

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-まきお「制服少女の取扱い方」茜新社 ISBN:9784863495159
話◎-○ 抜○ 消小 総合○

両親の離婚により生き別れとなった妹に母の葬儀で再会した主人公は見違えるほど成長した彼女の姿に忌まわしき面影を見て……前後編+独立短編6本。子供とも大人ともつかぬ微妙なお年ごろのイキモノたちの壊れそうな心と身体に触れよこしまな情欲を満たす背徳的な悦楽の淵へ堕ちてゆくさまを叙情的な筆致で描き出す作者初単行本にして記念すべきKOHレーベル第1弾コミックスだ。なお某密林への購入リンクが抹殺されているようなので、冒頭データのISBNコードリンク先をまんが王へ変更している。
女子高生専科を謳い先ごろ創刊された当版元の「コミック高」は第1号から既存作家のみならず積極的に新人起用を行っていて、俺もずいぶんファーストコンタクトとなる漫画家たちへの知見が拓かれ感謝。この人もそんな風に新しくデータを得た作家のひとりであり作品をおもしろく読ませてもらっていたのだけれど、まさかこんなに早く処女単行本リリースにこぎ着けるとは思いもよらず。ともあれ発売日をいまかいまかと待ちこがれておりましたよ。
さっそく書店へ向かうといきなり清楚なセーラーっ娘がご立派なおっぱいまろび出しの訴求力高すぎる表紙がお出迎え。比較的上品なカヴァーデザインをする茜新社にはめずらしく、帯でむやみに煽情的な宣伝コピーを散りばめているのはやはり大事なレーベル立ち上げということでまずは泥くさく実売を取りに行っているのだろうか。とはいえ色遣いだとか書体のセレクトなどはあいかわらずセンスよくまとまっているし、表紙さえ裏返せば女の子が手にとっても違和感ないデザイン。
まだコミック高は通算4号までしか出ていないのに(7月末には最新5号が発売になるとはいえ)収録作品をどこから持ってくるのだろうと思いながら初出を確認すると、なるほどこう来たか。すなわち、商業誌掲載作のほかに同人からの再録を載っけて単行本を構成。どうやらそちらは比較的執筆時期が古いらしく、ほぼ直近1年以内に発表の商業作品に比べ明確に作画の感触が違う。ロットリングで引いたみたく繊細な描線の風合いは共通なのだけれど、近作ではさらに細かくペンが入りトーンワークが緻密になってと画面の情報量がアップしているのだ。個人的には以前のリリカルなタッチも捨てがたいと感じるのだけれど、昨今主流の濃密な濡れ場を展開するうえではこの変化は不可避なのだろう。
この滑らかな筆致でものされる女性陣はむろんJK専門レーベルゆえハイスクールガール専科……と言いたいところだが、巻末短編のみLO掲載のJCヒロインものとなっている。どちらかというと頭身高めのリアル寄りなボディラインで表紙で見たとおりお胸も豊かで、これは前述のLO作品でもロリ巨乳ネタゆえ共通。現実世界ではおそらく絶滅危惧種であろう、石鹸の香りがただよってきそうな清楚生真面目女子がワラワラわき出る光景にJK幻想を夢見る諸君ハラハラと落涙必至。唯一存在のギャル女子も恋に落ちたとたんおさげ髪メガネっ娘に変身するのだから好事家にはたまりませんな!
表紙の宣伝文句でオーソドックスなJKガチファック漫画を想像した方は実際にページを手繰りはじめると思わず困惑するかも知れない。なんとなれば、くり広げられる女子高生たちの物語はけっして明朗快活学園ものの枠内に収まるようなシロモノではないからだ。むしろ昨今のエロ漫画では意識的に忌避されるようなタイプの恋のオブセッション――アモラルな愛憎のもつれだとか破滅するしかない切羽詰まった恋の隘路、はたまた痛々しくも清冽な純愛模様――が目白押し。もちろん読み口軽快な作品も存在しているのだけれど、まきお漫画においては明確に重たい系統のネタの方がジャストフィット。最新型のタッチでいながらいにしえの中島みゆきソングさながらのほの暗いアトモスフィアに身もだえしながらずっしりとした読後感を噛みしめる、そんな貴重な読書体験を堪能できる。
道ならぬ痴情やら刹那的な肉の交わりやら、どこかもの悲しくも執拗に肉体をぶつけ合うセンシティヴな濡れ場もまた独特の空気。直近の商業作品はともかく古めの同人誌物件ではそれほど濃口の描写ではないのだが、重苦しく進行するストーリーに乗っかって少女の思い詰めたような表情が情欲に彩られたそれへと変わる瞬間を印象的に切り取る画面構成が読み手の勃起中枢をチクチクと刺戟。また表題でそれと謳うだけに制服着用のままコトに及ぶシーンが非常に多いのも特徴で、学業にいそしむ未成熟なティーンズを身勝手な男の欲望で汚すひそやかな快感をヴァーチャルな世界でおおっぴらに実現だ。
ゆっくりと彼女のセーラー服をはだけ着衣の下からも隠しきれずに息づく豊かな双丘をオープンセサミ。たぎる怒張を谷間にうずめてご奉仕させつつまずは先走り汁を顔面にピュルピュル。休息など与えずこんどは10代女子の秘密の花園を強引に押し広げ欲望をねじこんで激しく摩擦運動を開始だ。射るような視線を投げかけながらどこか投げやりに肢体を男の手にゆだねハードに蜜壷を貫かれてまだしちゃいけないメスの顔で絶頂する彼女らの痴態に一抹のやましさを覚えながらもティーンエイジまんこの最深部めがけたっぷりと射精。
全編メイプルシロップがけのベタ甘和姦だとかスカッとさわやか洋ピンライクにフィジカルHなどを希求する向きには激しく不適格だが、この真夏なのに冬の空気みたく凜とした横顔を見せつつもウェッティで切なげな性愛の衝動に身を任せるJKヒロインズの変貌ぶりはきっと一部の男子諸君をとりこにすることだろう。数多くの先輩作家を差し置いて非常に重要な新規レーベル設立1発めとして抜擢されるだけのことはある凄玉(The Real McCoy)だ。作画の新旧差が大きめだったりヒロイン造形の幅がややナロウだったりの弱点もフェイタルなものではなく今後いくらでも改善がなされるはず。どの作品も鮮烈なストーリーにハッとさせられたが、なかでも淑やかな出で立ちのクラス委員長がほの見せる狂った痴情に平和な家庭を持つ男性教師の日常が徐々に揺るがせられ追いつめられてゆく「いろごと」と、容姿端麗な同級生の苦境になにもできなかった主人公男子が彼女と2人きりの無人駅で切なく激しくメイク・ラヴ「まなざし」がとくに強く印象に残った。

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