今年度のばんえいグランプリ。

-はなうな「大地にたどり着くまでに」ジーウォーク ISBN:9784862975140
話○ 抜○-△ 消小 総合○

環境悪化により狭隘なドームでの生活を余儀なくされた未来に生きる少女はいつか訪れる外界を夢見て勉学に励み刹那的なセックスに没頭し……表題作長編6.5話+魔法の力を授かり戦う少女はついにラスボスと遭遇するも屈辱的な敗北を喫し本編&描きおろしアナザーエピソード。壮大なスケールの風呂敷を拡げつつキュートなヒロインの凄惨なハードファックを展開するすさまじき光景に脳みそクラクラ欲望はメラメラの作者これが記念すべきファーストコミックスだ。
いつもながらに書店の新刊コーナーを物色しているうち、なにやらえらく大仰なタイトルが目に入り店頭見本をチラ見しているうちに気がついたらレジへ一直線。そんな事情なのでこの作家に関するインフォメイションはまったくなく、購入後ググったわずかの知識だけを動員しておそらくピント外れな記述もしてしまうであろうことをまずは先におわびしておく。
表紙/裏表紙で見られるようなカワイイ系の絵柄は中身のモノクロ原稿でもそのままの印象で、いくらかBL/TL風の匂いもする華やかな筆致だ。収録コンテンツはつい最近までこの版元で出していたガチ成年誌「QooPA」掲載分をメインに前身のアンソロや後継誌に載ったもので、直近執筆のものばかりゆえクオリティはきわめて安定。なお出版社より内容紹介&サンプルが提供されているので、見本閲覧が不可能な環境でもそちらを参照すれば購入可否の参考になるはずだ。
この滑らかなタッチでもって雄大な規模の近未来ファンタシーを堂々くり広げるダイナミックな作劇が特徴的。巻末収録のコミカルタッチな凌辱もの「魔法少女ゆーしゃちゃん」/「宇宙警察ゆーしゃちゃん」もじつは同人作品のパラレルでいろいろ深い背景があるようなのだけれど、なんといっても冒頭からのタイトル・チューン「大地にたどり着くまでに」のスケール感がすさまじい。地球全体が汚染され人類は「ドーム」と呼ばれる人工空間に逃れて暮らす世界で、ひとりの少女の凄惨きわまりない人生をその幼年期から成人後まで編年体の形式でじっくりと描き出す。カヴァーに登場するぺたっ娘/おっぱいっ娘こそが容姿端麗才色兼備ヒロイン・広井未来の成長前/成長後の姿にほかならない。
JS時代から他の誰よりも優秀な彼女の夢は、人類が細々と生き長らえるドームの外にある魑魅魍魎の世界へ調査員として訪れること。そのために日々勉学にはげみ芸能活動までこなす未来は同時に、担任教師やイケメン運動部員、留学先の住人と肉欲だけの行為におぼれる。愛のないセックスは過激さだけを増してゆき、全部の穴をフル活用しては屈辱的なプレイにわざと身をゆだね、ときには嘔吐しときには孕まされてなお己を傷つけるようなハードコアな行状に終始。男どもの前で土下座し腹部へ拳を叩きこまれては瞳にハートマークを浮かべだらしないアヘ顔さらけ出す彼女の倒錯的な快楽追求はどこまでも続く。そうまでして彼女が最終的に求めたものはなんなのか、それに出会うことはできたのか、詳細は実際に読んでのお楽しみ。
幼い口腔を駆使して大人の精をしぼり取るロウティーン時代の彼女も、グラマラスに育った肢体を乱暴にもてあそばれ好き勝手に種つけされるオトナな彼女も、妖艶なフェイスで男を誘い蜜壷深く怒張を飲みこんで白目剥き変顔を披露してみせる。上下のお口へ際限なくザーメン流しこまれて嗚咽しながらも発するのはひたすら悦びの声。肉体をいたぶられ執拗に辱めを受けるたびいっそう情欲を沸き立たせはしたなく絶頂する彼女の痴態を前にしてこちらも熱い飛沫を内へ外へとお見舞いだ。
このうえなくキュートな作画ではあるもののワニやコアの作家陣と比べればトーンワークの緻密さで見劣りするし、勇壮なストーリーは一方で細部に瑕疵もある(ずっとシンクロして成長が描かれる幼なじみ男子が物語のどこへ関わるのだろうと思っていたらいつの間にかフェイドアウトしてたり)。それでもヒロインの幼年時代から成人後までの一大クロニクルをキッチリ掻き切り、ヒロインが自らの意志でボロ雑巾のごとく犯されまくるストロングエロスが横溢するさまに感嘆しきり。チキンな自分はさすがに腹パンやらゲロ吐きでは股間がおっきせずいくらか実用度ダウンしたが、このご時世まだまだこんなドデカいネタを展開できるのだとエロ漫画の奥深さを改めて思い知らされた。とりあえず我が脳裡にその存在が強烈に刻みこまれたので次回作も楽しみに待っております。