-Zトン「こんな軆でいいのなら」ジーオーティー ISBN:9784860849771
話○ 抜○-△ 消小 総合○
幕末日本に突如現れた半人半馬の麗人たちと人間との愛憎入り交じる禁断の血縁ガチンコファック連作シリーズ6本+ともに忍びとして修行する人間男子×翼手族女子カップルに待ち受ける甘美で残酷な宿命前後編+独立短編7本。奇想あふれる人外女子たちのさまざまな痴態をシャープな作画と細やかな考察に乗っけてお送りする異種間エロスの旗手待望のファーストコミックスだ。
近年ではめずらしくジャンル限定ではない骨太の総合成年誌としてスタートした「comicアンスリウム」はそれだけに多彩な執筆陣が手がけた老若男女あらゆるタイプのヒロインが勢ぞろいするのだが、そんななかでも最先端を走り人類以外の女の子ばかりをもっぱら投入する男のなかの漢がこの人。モリモリ生み出された獣人さんたちをまとめて読み返せるこの日をいまかいまかと待ちこがれていたところにようやくこの新刊リリースの報を耳にして喚起雀躍。
単行本を手にしてまず真っ先に脳裡へ印象を刻まれるのは、繊細かつクールなある種エロ漫画離れしたその筆致。昨今この業界で支配的なアニメ/ゲーム系のそれとは一線を画す(もちろんそれらからも多大な影響を受けているのだろうが)、オサレ感きわ立つ独特のタッチだ。最初見たときは新堂エルあたりを想起したが、もう少し線が細くてエグさを減殺した雰囲気。それでいてまったく趣の異なるポップな脱力系の絵も描けるという、のっけからあふれんばかりに才能がきらめいていてちんこを握るより先に感心してしまった。
気を取りなおし中身を確認すると、今回収録の物件はアンスリウムおよび同社から電子&紙媒体で発行の人外娘アンソロジー「人間以外じゃダメですか?」に掲載のもの。本レーベルより同時発売のじょいとは異なり掲載号など作品個別の初出記載がないのは不満だが、雑誌の歴史を顧みるに直近数年以内に執筆のもののはずで作画の新旧差は少ない部類。なお例によって内容サンプル付属の単行本情報が版元から用意されているので、Zトンに関する予備知識ゼロの方はまずこちらを。
このたび登場のヒロインたちはむろん謳い文句に偽りなくnotヒューマン専科。なかには性別♂の方もおられるのでヒロインと言い切っていいのか悩むところだが、いずれもヒトならぬ半身をお持ちだったり見知らぬパーツが付属していたりと特徴的な外見を標準装備。もっとも大々的にフィーチャーされているケンタウロス(馬っ娘)から羊、牛などの家畜、コウモリだのイルカだのの一般哺乳類、さらには雪男やらイエティやらオークやらサキュバスやらファンタシー世界の住人までなんでもござれだ。少なくともお顔については完全人類互換なので濃厚なケモネタをお好みの方には向かないが、そのぶん人外初心者にも受容しやすいかと。またバストサイズは種族に関する一般的なイメージを敷衍してちっぱいから爆乳までよりどりみどりであらゆるニーズにお応え。
かくも蠱惑的な彼女(彼)らと人類男子諸君との種族を超えたピュアラヴが単行本全体を通じた一大テーマ。ベッタベタなイチャラヴからNTRティックな略奪愛までさまざまな形の恋模様を我々の前に提示する。いくらか不穏なネタはあれど紆余曲折ののち最終的には禁忌をものともせずハッピーに結ばれる系統の作品が主体で取っつきも悪くない。ことに分量的にメインの冒頭連作「幕末ブリード」シリーズのような少々古風の舞台装置で波瀾万丈のドラマティックな展開をやってのけるとそのバロキッシュな絵柄とのマッチングもきわめて良好で白眉。また登場する種族の特徴や習性に関し幕間でペダンティックな考察がはさみこまれるのが非常に興味深く(カヴァー下のモティーフ解説&ラフ設定と併読すればさらにgood)、学生時代に受けた文化人類学の講義や宗教学のゼミをふと思い出してしまった。
エロシーンはむろんヒトとヒトならぬものとの異種姦をこれでもかと画面いっぱいにメガ盛り。1作品あたりのページ数が少なめなせいで(10ページ未満の掌編から最大でも20ページ)お話展開ともども汲々とする濡れ場ではあるものの、ハッタリの利いた画面構成とマシンガンのように繰り出される睦言の応酬によりセックスの密度は充分だ。人外女子ならではの特殊パーツを前面に押し出してプレイにも反映させた性交シーンは好奇心と興奮を同時に満たしてくれるし、それでいてイキ狂いはしたなく絶頂するアヘ顔描写は妖艶な(人類の)オンナそのものであり、この奇妙奇天烈なコンビネイションが読者のちんこを未体験ゾーンへと導いてゆく。
民族どころか種類の違いも関係なしに恋する2人はもうただの男と女。いとおしげにステディな彼のイチモツを口に含み獣の掌でやさしく愛撫しながらケモっ娘たちは全力ご奉仕。最愛の男の精をゴクリと飲み干したのちこんどはすっかり臨戦態勢の熱い蜜壷をさらけ出して挿入をおねだりだ。ガッチリと体躯を抱えこみ激しく腰を使われるたびふだんの愛らしい笑顔をエロメスのそれへと変貌させてハートマークを四方八方にばらまき続けるヒロインの痴態に興奮もいや増す。愛しい人の子種を受け入れる準備万端の子宮を開き執拗に中田氏を懇願する彼女の願いどおり、人外まんこの最深部めがけヒューマン汁の奔流を大量にぶちまけ異種交配ミッション完了だ。
おそろしくセンスのよい美麗な作画とファンタジックな妄想とが化学反応し独特のアトモスフィアを生起せしめる、ワンダーの塊たる人外エロスの金字塔。この分野ではキルタイムコミュニケーションの一連のモンスター娘アンソロやその代表作家であるほりともがすでに確固たる地位を築いているが、ゲーム方面からの知見が中心なそれらとはまた趣向の違うアカデミックなノリの新しいケモっ娘異種っ娘漫画が誕生だ。性的嗜好が超保守的な自分は男の娘ネタだとさすがに実用度が急降下したが大半の方は特段の支障なく使えるかと。雑誌掲載時にあまりページ数がもらえなかったせいでお話運びが全体的に性急なのは必要な分量さえ与えれば解決するはずで、編集サイドにおかれましては今後そのへんを配慮お願いしたく。本作コンテンツのなかでは作者入魂のケンタウロス女子近親愛憎炸裂冒頭シリーズ「幕末ブリード」連作を楽しくおもしろく読んだのはむろんのこと、実録レポ漫→ほのぼのエロ漫画へと作中で雰囲気一変の褐色イエティ女子放尿孕ませ短編「SHISジオグラフィック イエティ探索編」と、種族の宿命に抗いつつもいつしかそれを受け入れ幸福を手にする爆乳きまじめ牛っ娘委員長がキュートな「搾乳学園」で大いにヌキヌキ。
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