話◎ 抜△-× 消小 総合○
幼い娘を放置しSNSにかまけて夫に追い出された女は昔の男にすがりキメセクにおぼれて本編&育児放棄されたまま成長した娘は高校進学の資金を得るため母と同じ道をたどり……続編+独立短編6本。ゲスい行状の報いを受ける性悪ギャル共もなんの罪もないのに絶望の淵へ堕とされる純真無垢な少女もそろって顔面をタコ殴りにされ鼻血噴き出しながら阿鼻叫喚の強姦輪姦地獄絵図を体験させられる凄惨エロスてんこ盛りでお送りする作者これが記念すべきファーストコミックスだ。ちなみに某密林もビビって最初から書籍情報登録がハブられてるぞ!
平成ひとケタのころにはすでに創刊していた一水社のSM系漫画誌「comic Mate」が誌名を一部変更し執筆陣を大幅に入れ替えて装いも新たに「コミックMate L(Legend)」としてリニューアルしたのが一昨年末のこと。大昔に同誌を定期購読していた自分は新規創刊号を記念に買ってみたのだけど、よく見知った他の執筆陣を差し置き真っ先に刺さったのがこの得体の知れない新人作家だった。人を食ったペンネームもさることながらその衝撃的な作品内容に目は釘付けとなり、いやがうえにもその名が脳裡に刻みこまれた次第。以後は恐れをなして雑誌の購入は控えていたけども単行本の発売告知を受けてこのとんでもない漫画家の全容を知るべく再チャレンジである。ちなみに単行本版元のメディアックスでなく編集担当の一水社の方で作成の単行本紹介ページに各ショップの購入特典案内や通販ページへのリンクが用意されているので、書店へ向かう前にまずはそちらをチェックするのが吉。
意外にも……と言ったら失礼かも知れないが、この作家のベースの絵柄は少女漫画テイストの非常に愛らしいもの。ツイッターの書きこみなどを見る限り実際に女性作家であるようで、たしかに女の子のファンシィな出で立ちや着衣/ランジェリー類のリアルな感触は野郎のセンスではない。ただそうやって可愛く描いてもらえるのはメインヒロイン級だけであり、男キャラはこぞってキモメンブサメンで女子も年を食うと山姥のごとく醜悪なツラにされてなんとも無残。まあキュートな主役級少女たちだって結局数ページ経過すれば速攻顔面ボコられちゃうんですけどね。
掲載誌がロリメインの雑誌なので、よこしまな欲望の餌食となる女の子たちもランドセル世代のちびっ娘が中心。ただ作家本人の資質はオールラウンダーで、数人いるJKや大人女性も難なく描きこなしてみせる。年齢構成上つるぺたスレンダーさんが多数派でありおっぱい星人向きではないが、後述するように乳の有無とかほとんど関係ない作風ゆえある意味気にならないかと。
エロ漫画の造形としてはそんなに特殊ではない作画面に対し、思いっきり奇抜かつ人を選びまくるのがこの作家のストーリーテリング。話の流れとしてはだいたい2パターンで、ひとつは性格に裏表あり平気で弱者をいたぶるようなヒロインが因果応報的に逆襲を食らうタイプのもの。もう片方は劣悪な環境にめげず素直に生きる少女が悪辣な大人たちに食いものにされてゆく系統のそれ。おそらくは作者の現住所であろう関西圏を多くの作品の舞台に据え、物語のなかでネイティヴな上方弁が行き交うのも特徴だ。加えてロウワー・クラスの闇を映し出すようなシチュをあえて露悪的に描写するのがえげつなくも先鋭的。発達障害児の悪意なきレイプ/出来婚偽装/オタク騙して金儲け/ギャルの浮浪者狩り/小学生のイジメ現場/育児放棄……見るも無惨なこれらの光景をそのエッセンスだけサッとすくい上げる手法は皮相的とも取れるが、どのみち長文のルポをものするわけでもなし、むしろその鮮やかな切り口に感心しきりだ。
目をおおわんばかりの境遇のなかくり広げられるセックスもまた救いレスの凄惨なプレイばかり。帯コピーで「完全凌辱」と謳うとおりの人権蹂躙フルコースが延々と続くのもさることながら、他の本格凌辱作家たち――たとえばオイスターや氏賀Y太など――とひと味違うのは、攻撃がとくに顔面へ集中し鼻からダラダラ血を流す光景が頻出する点。女の子の命でもある顔を他のなによりも先に破壊し醜く変形させてしまうあたり、知るかバカうどんの壮絶なまでの業を感じさせる。なので四肢切断や人体改造など取り返しのつかない行為は意外と少なかったりもするのだが、真っ先にヒロインの誇りでもあるキュートフェイスが台無しにされるのはむしろ心理的にはキツい。むろんエロ漫画であるので最後は糞尿ゲロたれ流して苦悶する彼女の未成熟まんこに許容量オーヴァーのザーメンをお見舞いしフィニッシュ。
さんざん男を騙してきた悪女たちにはそれ相応の代償を払わせ、不幸な境遇にめげずがんばる少女をさらなる絶望のどん底へたたき落とし、そろって女子たちは髪の毛引っぱられ顔面ボコボコ腹パン炸裂の無限コンボ。泣き叫び救いを求めても谺するのは自分のわめき声だけだ。吐瀉物をたれ流し鼻血をしたたらせたまま華奢な体躯になおも打撃を加えられ幼いスリットめがけて強引に怒張がねじこまれる。未曾有の痛みに絶叫してもさらにタコ殴りにされるだけで彼女の苦悶は増すばかり。痛覚も鈍るほどいたぶられ息も絶え種のなか容赦なく白濁をぶちまけられ絶望に満ちた表情のままグッタリと横たわるヒロインだが彼女へ向けられる暴力の奔流はなお止まない。
射精するより女の子を殴りつけ心理的に追いつめて再起不能にすることが明らかに主目的であり、これを抜きツールとして援用できるのは相当なツワモノ。ヤワなボーヤである自分もまた大半の作品ではきんたまきゅーであり正直興奮するどころではなかった。しかしながら社会の暗部をえぐり出しいっさいの手心を加えず冷徹にそのシニカルな結末まで描ききる作劇のすさまじさはまさに白眉であり、いくらかでもリョナ耐性のあるエロ漫画読みにはぜひいちど体験してもらいたい逸材。それにしてもこうした作風を続けていくのは作者の心身にも相当なダメージになるはずで、編集サイドも細心の注意を払いケアしていただきたいもの。収録作のなかでは唯一の連作にして母娘2世代にわたる因果を訥々とつむいでゆく「はぴはぴ・ハピネス」/「あん・あん あんはっぴぃ」がその牧歌的なタイトルとは裏腹の壮絶な情景描写およびいっさいの救済を与えない無慈悲な決着に心底打ち震えた。
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