-くまのとおる「ホントはHしてみたい」富士美出版 ISBN:9784799504536
話○ 抜○-△ 消小 総合○
一見ガサツなボクっ娘も好きな男子のことを想うときはすっかり乙女モード本編&描きおろし後日談+独立短編8本。不器用でしばしば心すれ違う少年少女もいったん気持ちを確かめあえば熱く激しく燃え上がるさわやかでちょっと淫靡な性春グラフィティを清潔感あふれる筆致でお届けする作者これが黄色い楕円仕様ファーストコミックスだ。
この作家との出会いはたしか5年ほど前に別の漫画目当てでスポット買いした「コミックペンギンクラブ山賊版」でのことだったと記憶しているが、昨今のこのギョーカイ界隈のトレンドとは明らかに肌合いの違う雰囲気ながらその独特のキャラ造形やストーリーテリングが妙に気になって以後チェック対象に。しかしながらいくつかの短編をペンクラ本誌に投下したのち、この人はいつの間にか一般誌へと旅立っていたのだ。その後はごくたまに顔見世興行的に姿を現すもののすっかり向こうの連載へ注力している感じでエロの方はこのまま単行本化されずにお蔵入りするのだと思っていたら、先日なんの前触れもなくコミックス刊行の報を見て我が目を疑う。やはり俺以外にもこの作家の成年向け作品集のニーズは確実にあったのだよ!
表紙のカラー彩色はそれなりに艶っぽいアトモスフィアをかもし出してはいるものの、中身の白黒原稿はコッテリツヤツヤ特濃トーン爆盛り仕様がもはや標準のエロ漫画業界では希有な陰影控えめスッキリ系の筆致。それこそヤンマガだのヤンジャンだので連載していてもおかしくない非エロ的ノリの絵柄だ。収録作の初出明記はないが作者サイトやpixivの情報と照合するに5年前~直近にかけてのペンクラ/ペンクラ山賊版掲載分をおおむね時系列と逆順で収録の模様。立ち読みページへのリンクが付属した単行本詳細情報が版元サイトに用意されているので、店頭サンプル閲覧が不可能な環境の方はそちらを参照のうえ購入可否を判断すべし。
このプレーンで清楚な作画によりつむがれる女性陣は年のころハイティーン~20代前半あたりの黄金世代で占められる。顔立ちや髪型など細かく描き分けられ性格描写もいろんなタイプを取りそろえの全方位外交だ。そんな彼女らは基本スレンダーボディながら小さすぎず巨大すぎずのほどよく育ったおっぱいが標準装備なのもナイス。そして個人的にもっともうれしいのが、登場ヒロインズの圧倒的多数がショートヘアであること。ぶっちゃけ黒髪ロング大和撫子なんかどうでもいい派で短髪女子大好きっ漢の俺まさに大歓喜。それもベリーショートに近いのからセミロングの範疇に属するのまでカット具合も多彩で、短い髪の女の子にちんこ勃つすべての野郎どもへ熱烈にオススメ。
かくも魅力的なおにゃのこ連中とくり広げる物語はその大半がありふれた日常が舞台のオーソドックスなタイマンラヴ。赤の他人から血縁まで、同い年ペアあり年の差カップルありさまざまカタチのラヴをていねいに抽出だ。初出の古い数本は動物たちに子作り指南だの巫女さんがセックスに未練を残す地縛霊を解放だの少々特殊なシチュだが、それ以降は意図的に特殊ギミックの採用を避けどこにでもある現代日本の普遍的な恋愛プロセスを提示。疾風怒濤のイヴェントも波瀾万丈の大河ドラマも出てこないコンパクトな世界観だが、くまのとおるはそれを逆手に取り物語空間を男子女子の非常に細やかな感情/愛情のコミュニケイションに特化したミニマリズムの極致として我々の前に見せてくれる。初対面どうしから昔からの腐れ縁まで彼ら彼女らの相互距離は多種多様だが、いずれも2人安直にゴールインするのではなく最終的に結ばれるまで微妙に心が近づいたり離れたり一進一退するのがじつにリアルだ。もちろん娯楽作品なので人間存在の決定的に嫌ったらしい部分は隠蔽されるのだけど、無関心同然の会話を交わしてみたりヤなものはヤと拒否してみたり、単なる甘エロでは出てこない人間くさいやりとりがのちのハッピーなイチャつきぶりをきわ立たせるスパイスとして効果的に機能しているのですよ。
1作品あたりほとんどが20ページ固定で分量としてはふつうの部類だが、ストーリーテリング優先の造りで濡れ場支配率はやや控えめ。そのぶん彼氏彼女がゴールインするまでの機敏に飛んだダイアローグや状況に応じ細かく変化するヒロインの喜怒哀楽百面相など恋愛のプロセス重視になっている感じだ。とはいえそこはマークつき物件、いざ本番突入すれば元気いっぱいの怒張がジャングルをかき分け肉ヒダもめくれ上がるほどに内奥を貫いては女子どもトロトロのイキ顔さらして絶頂の光景をたっぷりお届け。濃密なキスを交わしながら体躯をピタッとくっつけ激しく交合にいそしみながら小刻みに嬌声を発しこみ上げる快感に歯を食いしばり耐えながらも最後はすっかり感情が決壊しはしたなく達する彼女らの艶姿で気持ちよく息子を摩擦。
ときとして彼の気持ちを測りかね反発してみせたりした少女もようやく互いに想いあう恋心を確認してきつく抱きあいお手々つないでベッドイン。ゆっくりと着衣を脱がせると出てくるのはスラリと伸びたスレンダーボディで、生まれたままの姿の彼女の美しい裸身に見ほれつつも指や舌先でじっくりと秘部を攻略開始だ。敏感な部分を執拗に責めたてるたび四肢をビクつかせ瞳をうるませて身もだえするさまが煽情的でたまらない。2人して名前を呼び合いスキスキ連呼しながら永遠に固着するみたくガッチリ抱きあい最後に子袋の奥底めがけたっぷりと白濁液をプレゼント。
下品なアヘ顔メガ盛りだとか性器結合断面大盤振る舞いなど直截的なエロ演出はほとんど出てこないけれど、カップルたちが交わす濃密きわまりないピロウ・トークと女の子の本当にかすかな表情変化まで見逃さず抽出する緻密な画面造りで周到に濡れ場を盛り上げてゆく独特の方法論が光る1冊。そう言いつつ一部ゴムつきフィニッシュがあったのでわずかながら抜き評価をマイナスしたのだけど(作者さますいません)。先ごろ一般誌での長期連載も無事フィナーレを迎えたことだし、またえっちな方の作品執筆もペースアップしてもらえれば重畳きわまりない。そしてむろんこれからも短髪女子's前面フィーチャーをずっと継続でお願いします。どのショートヘアっ娘も思わずギュッと抱きしめたくなるくらいキュートでエロエロでござったが、なかでもふだんは押しに弱く感情を表に出さないのに一大決意して自分からえっちをおねだりしハードに乱れる光景がたまらなさすぎる「ホントのキモチ」主演女優・川井紀子(かわいのりこ)さんと、ふだんは肉体言語にものを言わせ男勝り口調で君臨するのにおうちでは愛するアイツのことを考えふしだらな行為にひたる二面性がたまらなくキュートすぎる「オンナノコする?」/「ゴホウビタイム」ヒロインのボクっ娘・涼(りょう)クンが壮絶にマーヴェラスでしたね。
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