話○ 抜○ 消小 総合○
実家を出てひとり暮らしをエンジョイのはずが専属メイドに付いてこられて辟易の財閥ご令息は彼女を困らせようと理不尽なセクハラ命令を連発するもののいつしか行為は本物になって……表題作長編5話&描きおろし後日談/前日談+前単行本収録作アナザーエピソード1本。褐色銀髪無表情メイドとの壮絶なセックス攻防のかたわら熱烈甘ラヴ模様を同時展開のゴージャスきわまりない肉弾巨編は抜き物件としての通算9冊めにして当版元からの4thコミックスだ。
昨今はエロ漫画のみならずそれ以前から並行してお仕事していた一般誌での活動が非常に盛況で、つい最近も発売即重版のスマッシュヒットを放ったばかり。そんななかでも変わらぬペースで成年向けへの執筆を続けてくれているのだから感謝感激ですよ。そんなわけで前単行本「王様アプリ」刊行からもうすぐ2年経過といささかインターヴァルは空いたものの待望の新作リリースである。
健康的な少年漫画系のタッチをベースにエロ漫画らしい淫猥さを惜しみなく悪魔合体させた魅惑のヴィジュアルはますます洗練され、ことにエクストララージバストをこれでもかと見せつけなにやら白い液体をタラーリの今回のカヴァーイラストなどこれだけでもう1発抜けそうなできばえ。非成年向けですら大人キャラだと妖艶な雰囲気がただよいすぎてヤバいくらいだ。残念ながら初出の明記はないが描きおろしパートを除き当社の高年齢女性専門誌「COMIC MILF」にて2015-16年にかけ連載されたものを収録。したがってどこを見渡しても最新型高津の筆致であり作画のクオリティは高値安定であるものの、万全を期すのなら例によって出版社公式サイト内の作家別ページで1話まるごと試し読みをはじめ各種サンプル画像が閲覧できるので購入前にそちらのチェックを。なお後半部に掲載された前単行本表題作の別視点エピ「王様アプリ～杉野美保の秘密～」以外はすべてタイトル・チューンで占められているので、以降の記述はもっぱらそれについて費やすこととする。
本作のストーリーを概略するならば、エロ漫画界において比較的ポピュラーな、ご主人さま少年×年上メイドの身分を超えたラヴ・アフェアとなろう。ただしそこは従来もさまざまな趣向を持ちこみ物語に多様な彩りを添えてきたこの作家のこと、キャラメイクにせよお話の収束にせよひと筋縄ではいかない。基本はコミカルなエロコメながら随所に甘くせつないサムシングをはさみこみ胸をきゅんきゅんさせてしまうかと思えばスチャラカなオチをつけて読み手を脱力させるのも忘れない高津マジックが炸裂だ。
全編にわたる主演女優にしてタイトル・ロールたる褐色銀髪長身巨乳クーデレ年上メイド・ディアのミステリアスな人物造形がなんと言っても本作のキモ。彼女の最愛のご主人さまにしてちょっとイジワルなショタお坊ちゃん・伊集院玲一(いじゅういんれいいち)に甲斐甲斐しく仕えつつもときには威厳をもって彼をしつける使用人の鑑だ。そんな彼女の存在を煙たく思い屋敷へいびり帰そうとセクハラすることを思いついた玲一の理不尽な命令を淡々と受け入れるのみならずエスカレートする要求に応えてついにまんこを捧げてからはとめどなく2人情欲におぼれまくりってな次第。ストーリーの進行とともに玲一の婚約者・西園寺真紀(さいおんじまき)やひとり息子を溺愛する実家の女当主・美琴(みこと)など他の抜き担当キャラも参戦しててんやわんやの事態になるのだけれど、主体となるのはあくまでディアと玲一のラヴラヴ模様であり最終話までその構図は貫徹される。ときにアホらしくときに真摯な彼らの愛の進展を我々も見守りながら心はほっこりちんこはモッコリ。
1話あたり30ページ以上の大容量を活かしエロシーンもさまざまな要素をフル動員の特盛仕様。ベースとなるのはシンプルな肉体言語の応酬ながら、本番突入までことさらにじらしてみたり羞恥プレイを導入したり、サブヒロイン参戦ののちはハーレムティックな行為に興じてみたりと読者のちんこを飽きさせない配慮が満載。またこの手の身分差エロの場合はストレートにご主人さま主導になるか主従逆転の下克上かいずれに寄りがちなところ、本作においては玲一とディアの力関係がひんぱんに入れ替わりどちらもヒイヒイ言わされたりマスターして君臨したりとめまぐるしく攻守交代するのが特徴的だ。全体としてはディアの掌で踊らされている感じの玲一だってときにはまったき王としの威厳をもって彼女をメロメロに服従させ男らしい部分を見せる。もっともその直後にまるで彼の方が女の子みたくよがり狂わされ隷属を誓わされたりするのだけれど。
2人だけの褥に横たわった異国情緒豊かな褐色の肢体を前に少年は昂ぶりを抑えきれずその豊満な肉体に没入する。乱暴に愛撫されるたびふだんの鉄仮面の表情を羞恥で朱に染めかすかに体躯を震わせるさまがエロティックでたまらない。執拗にまさぐられすっかり火照った蜜壷めがけショタちんこをゴリゴリねじこみ彼女の内奥を突き上げるといつもの冷静さはどこへやらたちまちはしたない淫語がほとばしり大量の分泌物があたり一面へ拡散だ。瞳にハートを浮かべうわごとのように嬌声を発しながら昇りつめてゆく彼女のメイドまんこめがけ受胎確実の孕み汁を2度3度4度と放出し女体征服ミッションコンプリート。
いつもながらにスペクタクルな仕掛けが目白押しの楽しくドエロいワンダーランドを堪能してお腹いっぱい。明確にダーク寄りだった前作から物語のトーンはそれ以前のようなコミカル方向へ回帰して、従来からの高津ファンも受容しやすい1冊だ。男子受けのエグいプレイにあまり免疫のない自分はいくつかのシーンで若干息子が萎えはしたものの、褐色ボディをよじらせふだんとはまったく別のイキ顔さらし絶頂のディアさんの痴態にはお世話になりまくりですよ。神秘的な彼女の正体やらその後のアッと驚くサプライズなどについては本稿では伏せるので、ぜひみなさま自身の目でそれらをご確認いただきたい。いやあ素直クールメイドって本当にいいものですね(by 水野晴郎)。
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