2017-04-08

今週のマウンテンデュー。

このエントリーをブックマークに追加 このエントリーを含むはてなブックマーク
-沢尻メロウ「近親痴漢白書」ティーアイネット ISBN:9784887746480
話○ 抜○ 消小 総合○

実姉と了解済みの痴漢プレイを楽しみつつ掲示板で同好の士をつのる主人公はある日人違いで妹に電車内本番を敢行してしまったがそれを契機に彼女の方も秘められた性癖を開花させ……表題作長編全6話。犯罪としてではない純粋な性的嗜好としての痴漢行為におぼれてゆく兄妹の心の葛藤とそこからの解放を緻密な構成と巧みな感情描写とでつむいでゆく作者最新刊は本名義での通算2冊めにあたるコミックスだ。
他社では「らくじん」の名で活動しすでに単行本4冊を上梓しているこの人がTIに限ってはこのPNを使って執筆しており、沢尻メロウ初見参である2015年5月刊行の「エロゲー彼女」から約2年ぶりにこの看板で登場とあいなった次第。なお両名義を合算して考えると同年10月にキルタイムコミュニケーションより上梓された「絶対服従カメラ」以来のニューリリースである。
オーソドックスなアニメ/ゲーム系の絵柄を基本としつつエロ漫画業界的な流行り要素をほどよくブレンドしたそのタッチはたいそう訴求力の高いもので、怪しげなデッサンや不安定な描線のまったくないきわめて洗練された出で立ちだ。単行本の方には残念ながら初出明記がないのだけど、ググったところ2015-17年にかけ「COMIC夢幻転生」での連載分ということで執筆時期は非常に新しく作画も安定。ティーアイ物件の例に漏れず版元公式サイト内の作者別ページから1話試し読みやサンプル画像を見ることができるので、沢尻メロウ/らくじん未体験の方は先にそちらを閲覧のうえ購入可否判断をオススメ。
当社前作と同様に1冊まるごとのロングランシリーズであるこちら、コミックス表題が示すとおりコンテンツ内容はエロ漫画/エロゲー的定番のひとつである痴漢もののヴァリアント。しかしながら沢尻メロウがこの長編でくり広げるのはそれら先行作品において一般的な電車内でのセックスそれ自体――本番からの調教だったり乱交だったり――にスポットを当てるタイプのものでなく、その行為に及ぶのを押しとどめることができない登場人物たちの心のありように着目し彼ら彼女らの意識の相克や変容へフォーカシングしているのが特徴だ。以下ネタバレになりかねない部分は意図的にボカしつつ物語の概要を紹介。
既婚の姉・奈々(なな)と電車内での痴漢プレイにいそしんでいる主人公・ヒロは、姉のほか痴漢相手募集サイトを利用し欲望を満たす日々だ。ある日掲示板で連絡を取ったJKと落ち合うはずがプレイ中に乗車ラッシュに巻きこまれる。落ちついたのち行為を再開し首尾よく挿入ナマ中田氏へと至るヒロ。しかし彼はその相手が入れ替わっていたことに気づかず、しかもそれは同じ電車に乗り合わせた実の妹・ちえりだったのだ……というのがオハナシの発端。その日の興奮が忘れられず自分から痴漢電車に乗りこみ他の男へ身をゆだねるちえり、本番に及んだのが妹だと知らないまでも明らかに態度の変わった彼女に対しよこしまな欲望を抱くヒロ、互い素知らぬふりをしながらも兄妹は禁断のプレイにおぼれ血縁のタブーを侵してゆく。これら一連のシークエンスを沢尻メロウは登場人物のモノローグとキャラたちの微妙な表情変化とを援用しながら着々とつづり、痴漢プレイが2人の道徳観念を揺さぶりいつしかその麻薬的な快感が心身に1滴1滴と浸透してゆくさまを的確にえぐり出すのだ。姉や同級生を巻きこみながら痴漢と近親相姦との二重の背徳を犯し性の深淵へと堕ちてゆくヒロとちえりが最終的に選択したのは……その結末についてはぜひみなさま自身でご確認を。
1話あたり優に30ページを超す大ヴォリュームを利して物語パートのみならず濡れ場も盛りだくさん。むろん車両内でのガチンコファックこそが主餐ではあるのだけど、好き者の姉に誘われてのスワッピングツアーやプールフェスでの水着青姦など変化球も交えながら衆人環視のなかでの破廉恥行為をたっぷりとお届け。この作家お得意のゴックンボディが欲望まみれの指先で蹂躙され人いきれにまぎれて牝臭を発する少女の生々しい痴態がなんとも煽情的なのだ。満員電車の熱気のなか布地のすき間から強引に陰茎を押しこまれ不自由な姿勢のまま大量の精を放たれて絶頂するヒロインズの背徳の営みを我々読者はあたかも出歯亀のごとく垣間見ながら自慰表明にいそしむ仕掛け。
行為が露見するリスクや不特定多数に恥部をさらすスリルを忌避するどころかその悪魔的な魅力に取りつかれ、モラルを冒涜することにさえ愉悦を覚えながら今日も彼らは乗車率200%の電車のなか危険なプレイに没頭。着衣をずらしたわわな双丘を揉みしだきスカートの下から覗くビッグヒップをわしづかみにしながらいちばん敏感な部分へと指先を伸ばすのだ。1本2本と奥へ差しこまれるその感触に身もだえし熱い吐息をもらす少女の艶姿に辛抱たまらず下腹部の暴れん棒をいきなりインサート。車両の振動へシンクロさせるように腰を使い激しく突き上げるたび瞳をうるませほおを紅潮させては押し殺すような嬌声を発するさまがエロティックでたまらない。いよいよ感極まりむしろ誇示するかのようにイクイク連呼し膣内をヒクつかせながら昇りつめてゆく彼女のドスケベまんこの許容量いっぱいに白くねばつく飛沫を叩きつけミッションコンプリート。
冒頭からラストに至るまで綿密に考え抜かれた構成とキャラクターたちの心の葛藤をその表情の微妙な変化でヴィヴィッドに描き出す巧みな手腕でもって、新しいタイプの痴漢漫画をみごと現出させた作者の力量にまずは乾杯。紆余曲折のすえ主人公たちがたどり着いた境地については、まあ2人が幸せならそれもまたよろしいのでは。登場人物たちの心理劇にかなりのスペースを割くぶんいくらか展開が迂遠に感じるかも知れないが、一読したあとの充実感はそれゆえ格別なものがある。また10代女子スキーの自分としては既刊より女の子の平均年齢が下がって私的実用度がさらにアップしたのがなによりうれしい点。メインヒロインのほかにも抜き担当はいるけれど、序盤は理想のデキた妹として、後半は隠し持つおのれの欲望に目覚めたひとりのオンナとして物語に君臨するちえりちゃんの存在感がやはり全編通じて圧倒的でございました。

0 件のコメント:

コメントを投稿