-ヤマダユウヤ「溺れる白昼夢」文苑堂 ISBN:9784861172779
話○ 抜○-△ 消小 総合△
ひそかに姉へ懸想する妹は男とむつみ合う彼女の姿を目にしてハートも千々に乱れ前後編+独立短編7本。身体を重ねつつも完全には縮まらない心の距離に煩悶し思い悩む彼ら彼女らの真摯なラヴ模様を繊細な筆致でつむぎ出す作者これが記念すべきデビュー単行本だ。
ハプニング的に創刊したものの徐々に陣容を整えいまでは月刊エロ漫画誌として立派に独り立ちした「コミックバベル」は出自のさまざまな作家たちの集う混成軍。そんななか純粋培養のニューカマーもボチボチ輩出されてきていて、この人もそんななかのひとりだ。もっとも商業漫画家としては駆け出しでも作者ブログを見るとかなり早い時期からオリジナル同人で活動しているようで、そこらの新人とは違いクリエイターとしては相応の実績を持ついわばセミプロ。
オーソドックスな一般青年誌系のさわやかなタッチは派手さこそないものの非常に洗練された雰囲気。抜き漫画というよりは美大漫研だのコミティアだので非エロの創作系でも描いていそうな感じだ。収録作の初出は2015-17年にかけてのバベル掲載分で、いくらか作画の新旧差は見受けられるけれど総体としては早い時期から印象は固定されており、今回の表紙に惹かれてのジャケ買いでもファーストインプレッションを裏切られるようなことはない。なお試し読みページへのリンクが付属した単行本情報ページが用意されているので、ヤマダユウヤ初体験の方は事前に一瞥しておくのがベター。
このたび我々の股間にご奉仕してくれるのはロウティーンから20代なかば近辺までと比較的年齢のワイドな女性陣。そこそこおっぱいのデカい娘もいるけれど、近年のエロ漫画ではめずらしく全般的にバストサイズは控えめなのが特徴的だ。一方でまんこ方面は実写的リアリズムが貫かれており、付随してアンダーヘアも薄めながらかなり明確にその存在を主張する。こうしたディフォルメの少ない現実的な女体描写はコッテリツヤツヤお肌をテカらせボンキュッボンの特盛ボディにしがちな昨今のこの界隈においてはわりかしレアで、ふだんエロ漫画をガッツリ読みつけていない層に対しむしろアピールするかも知れない。
プレーンな作画の印象を引き継ぎ、物語の方も静謐な恋愛模様がしっとりとつむがれる。このへんは帯訴求コピーにある「純文学エロス」の惹句がまさにピッタリで、男子女子それぞれの微妙な感情の揺れやお互いのわずかにすれ違う心の交錯がヴィヴィッドに描写されているのだ。基本的には穏健な和姦ベースの作劇ながら安直なイチャラヴに堕することなく彼ら彼女らのままならぬ恋の葛藤をも正面から描くので、ときには修羅場にも遭遇し結末だって100%メデタシとはいかない。そのうえで多くの作品においてヤマダユウヤはメイク・ラヴののち心を通じあわせ関係を一歩前進させるカップルたちのありのままの姿を読者へ提示し、恋愛の甘い果実もそうでない部分もまとめておいしく味わわせてくれるのだ。
1本あたり20-22ページほどの平均的な分量のなかでストーリー主導のお話運びをするので、濡れ場支配率はそこまで高い方ではない。しかしながら前述したリアル志向のちんこまんこ描写や濃厚なキスだのねっとりフェラだのおもにお口方面の巧みな活用によりエロシーン自体はむやみに扇情的だ。華奢な体躯を打ち震わせ小刻みに嬌声を発しながらステディな男子の広い肩へギュッと抱きつきイキまくるヒロイン連中の痴態で君の息子も大喜び。
わだかまりやすれ違いを乗り越えて2人はハダカの自分をお互いにさらけ出しタイトに抱き合いながら口づける。褥へダイヴインののちゆっくり着衣を下ろし彼女の秘密の花園をまさぐればたちどころに甘い声。すでに準備万端の蜜壷へシャフトをねじこみ粘膜どうしの摩擦運動をスタート。ヌプヌプ音を立てながら呑みこまれるそれを突き動かすたびほおを紅潮させ瞳をうるませながら体躯をよじらせるさまがいとおしくもエロっちい。シメは全身汗みずくになりながら昇りつめてゆくヒロインの内へ外へと白くねばつく液体をドプドプお見舞いだ。
カヴァーの謳い文句どおりに端整な作画に誠実そのものの作劇が組み合わされたウェルメイドな処女単行本。にもかかわらず一部評定を落としたのは、ぶっかけフィニッシュの作品がやたらと多いせい。膣内射精大好きっ漢たる自分的にはここがものすごくハンディで外出しされるたび愚息がシオシオになったものだが、そのへんに特段こだわりのない方なら無問題かと。このあたりリアリティの追求なのか母体保護の精神からなのかはわからないけど、俺としてはせっかく漫画なんだからうそんこでもガッツリ子袋にザーメン斉射の方がうれしいなあ。とか言いつつも魅力的なヒロイン造形と彼女らのナイスな艶姿は大いに楽しませてもらい、なかでも三つ編みムッツリスケベ眼鏡っ娘がオナ現場へ踏みこまれ→本番突入の「妄想ストレンジLOVER」と、男友達同様につきあってきた幼なじみ女子と一線を越えて「変わらないもの」がともに中田氏エンドなのもありお気に入り。
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