2018-06-18

今宵のスモークサーモン。

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-prhs「八百万嬲り(やおよろずなぶり)」ブラスト出版 ISBN:9784434245053
話○ 抜○-△ 消小 総合○

異界へ迷いこみ元の世界へ帰れなくなった少女は自分の処女を競り落とされ異形の神々に毎日身体を売る生活がはじまり表題作長編6話(以下続刊?)&巻末描きおろし漫画。ヒトならぬ眷属たちに犯され豊満な体躯を蹂躙され続けるヒロインの受難劇を本格派和風ファンタシー仕立てでお送りする作者これが記念すべきファーストコミックスだ。なおヘブライ語よろしく母音表記のない難読ペンネームは「ぺろはす」と発音する模様。
まいど述べていることだが、自分がエロ漫画を読むのはもっぱら紙ベースで電子書籍の世界にはいっさい触れていない。必然的に単行本購入の際は雑誌か同人誌で得た知識をもとにするわけで、電子オンリーの作家についてはそもそもその存在すら知り得ないという体たらく。これではいかんとせめて書店におもむいた際に見たことのない漫画家の新刊が出ていたらなるべく積極的にチャレンジしていこうと昨今は思っていて、今回評価の俎上に載せるこの人もガチで予備知識ゼロでの初挑戦だ。
漫画作品というよりは一幅の絵画を思わせる精緻な色遣いが印象的なカヴァーは俺に購入の最後のひと推しをさせたもの。中身のモノクロ原稿もグレイスケールを基調にした独特の画面処理で(初出時はカラーだったものを白黒に変換したようだ)、クッキリハッキリのアニメティックな絵柄を見慣れた目にはじつに新鮮。作者サイトのお仕事経歴を見ると漫画もそうだがイラスト畑の依頼を多く請け負ってきた人のようでなるほどと納得。残念ながら単行本のなかに初出の記載がないがググったところ2017年からweb上で連載された作品を単行本化したようで、直近執筆の原稿ばかりゆえ表紙だけ目にしての衝動買いも安心だ。なお出版社公式サイト内の単行本情報ページでサンプル画像が閲覧できるほか著者インタビューも参照できるので(こういうのは初めて見た)、絵柄の確認のほか作品の背景を知りたい向きもチェックすべし。
エロ漫画作品としては近ごろめずらしく、骨太な基本設定のもとスケール感のある作品世界が築かれている。それも日本神話を下敷きにした本格派のジャパニーズ・ドメスティック・ファンタシーだ。構想が雄大すぎてじつはこの1冊だけではお話が終わらず佳境にさしかかったところで以下続刊になるのだが、巻数表示がないところを見るとこのコミックスの売れ行き次第で続きが出るかどうか決まるのだろう。とりあえずネタバレにならない範囲で紹介をザックリと。
夏休みを利用し田舎へ遊びに来た女子大生・友里恵(ゆりえ)。ボールを追い裏山に入りこんだ彼女はふと現れた巫女と不思議な会話を交わしたのち単眼の鬼の操る渡し船に乗せられ乱暴されそうになる。スキを見て逃げ出し助けを求めた相手もまたヒトならぬ蛇男で、こんども囚われの身となった友里恵が連れて行かれたのは彼女自身を競り落とす人買いの場。衆人環視のなか体躯をまさぐられ屈辱のなか落札されたその先は異形の者=八百万の神々に「神招き」としてその身体を売る異界の遊郭、元の名前も奪われ「百合(ゆり)」の源氏名で春をひさぐ生活がスタートしたのだった……というのが物語の発端。おおまかに「千と千尋の神隠し」のエロありヴァージョンと初期設定をとらえると概要がつかみやすいかと。以下猪だの熊だの狐だの多種多様な姿の神様たちに滑らかな肢体をなぶり尽くされる百合の過酷な毎日がつづられるのだが、そんななかでも合間には風呂の掃除に精を出したり同じ境遇の娘たちとレジャーに興じたりの平穏な生活が営まれる描写が挿入されるのがおもしろい。このへんはお涙頂戴にとどまらない多層のレイヤーから物語をつむいでいこうという意欲的な姿勢がうかがえる。そのさなかにも元の世界へ戻るためさまざまな伝手を頼る百合は幾人かとの出会いを通じて少しずつ手がかりを得てゆくのだが……続きは読んでのお楽しみというか、ちょうどいいところでいったん終わってしまっているのでこれは気になりまくりですよ先を読ませろ畜生!
かくも壮大なストーリーをくり広げているなかでも抜き物件であるからにはエロもおこたりなく、1話あたり26ページのわりかし潤沢なヴォリュームが確保されていることもあり、女子連中のたわわな肢体が醜悪な神々どもに蹂躙され放題の光景を大いに堪能できる仕掛け。またメインヒロイン・百合のみならず同僚女子も餌食にかかっての3P投入などで読者を飽きさせない工夫がなされている。お話によっては物語完全優先で濡れ場のウェイトが下がることもあるけれど、prhs特有のシルキーな女体が液汁まみれになりドプドプ膣内射精されまくる光景が読み手の勃起中枢をダイレクトドライヴだ。
奇怪な容貌と巨大な体躯で迫り来る異形の神が身を前に少女は恐怖に打ち震え、乱暴に着衣を剥かれて羞恥に涙する。抵抗など許されずなすがまま全身を愛撫されやがて規格外のビックコックを蜜壷の奥深くねじこまれるのだ。無理やり肉の悦楽を開発され思いとは裏腹にこみ上げる衝動に身をよじらせてしまう彼女は執拗な抽送のすえ神々の放つ大量の白濁を子宮の奥深くで受け止め容赦なく絶頂させられ続ける。
事前のインフォメイション皆無でいどんでみたこちら、オーソドックスなエロ漫画とはずいぶん趣の異なるなかなかにチャレンジャブルな1冊で我が見聞も大いに広がった。物語オリエンテッドな姿勢が貫かれている分ときとして実用性が後景に退きがちなのと、なによりこれ単品では完結せずオハナシがいよいよおもしろくなりそうなところで中断されているのはちょっとイケズではあるけれど、本作が充分なセールスを記録し2巻以降の発売に無事こぎ着けるのを祈りたい。

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