2018-06-21

本日の丸亀製麺。

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-稲戸せれれ「コイワズライ」ヒット出版社 ISBN:9784894657663
話○ 抜○ 消小 総合○

高校生カップル2組の甘やかかつ熱っぽいラヴ模様表題作前後編+独立短編8本。センス炸裂の鮮烈な筆致でもって恋する男子女子の揺れ動く感情をリリカルに描き出しつつようやく心通じあわせた2人のダイナミックな交合を余すところなく活写する作者これが記念すべき初単行本だ。なお筆名はとくにひねることなく「いなとせれれ」と読み下せばよいとのこと。
細分化が進みジャンル特化の雑誌ばかりになった昨今では貴重なエロの総合デパートが当版元の「COMIC阿呍」。およそあらゆるタイプの漫画家を取りそろえ毎月が百家争鳴だが、そんななか同誌にはめずらしくオサレ感いっぱいのシャープな作画で数年前に颯爽と登場したのがこの人。しかしながら執筆ペースが異様に遅くほとんどスポット参戦同様のこの作家がいきなり単行本?と最初は思ったのだけど後述する事情があったのですな。ともあれコミックス刊行となればむろん即座にチャレンジですよ。ちなみに作者pixivアカウントの発売告知エントリから一部書店の購入特典が確認できるので、これから買いに行く方々は先にそちらを参照しておくと吉。
ヒット出版社の単行本とは思えない(失礼)超絶スタイリッシュな表紙にまずは仰天。同社史上これほどまでに洗練された装幀ははじめてではなかろうか。むろんブックデザインに負けず劣らず稲戸せれれ本人の端整な作画も白眉で、適度なザックリ感を残しつつみごとに造形されたそれはエロ漫画というよりなにやら美大/芸大的アトモスフィアを感じさせる。そして収録作の初出一覧を見たとき当初の疑問はようやく解消された。すなわち阿呍に来る前にこの人は「COMIC快楽天BEAST」(ワニマガジン社刊)でかなりの数描いていて、この単行本はそれらとの合わせ技というわけ。2012-14年にかけてのBEAST掲載作7本+2015-18年の阿呍掲載作3本という2ピース構成で、さすがに原稿の新旧差はハッキリわかるものの絵柄のベースラインは当初から確立されており極端な違和感はない。版元提供の新刊情報ページにあるサンプル画像は阿呍掲載のオハナシのみだが、BEAST初出分もおおむね同じ雰囲気でジャケ買いも安心。
このたび登場の女性陣はハイティーン制服少女から妙齢の未亡人までと比較的ワイドレンジ。掲載誌のレギュレイションの関係か、阿呍分はJK固定なのにBEASTに載ったものはナースやOLなど社会人多め。とはいえ10代女子はむろんのこと年長さんたちもルックス的には若々しく制服を着ててもおかしくないキュートさで童顔ヒロインの方が好みな俺にはありがたい。一方で年齢を問わずおっぱいサイズはラージ寄りで、あと作者のポリシーなのかみなさんアンダーヘアがモサモサと生い茂っております。
そんな彼女らが乗っかる物語たちはきわめてオーソドックスな1on1の和姦エロスなのだが、阿呍/BEAST掲載分とではずいぶん異なるテイスト。前者はページをたっぷりと費やし少年少女の微妙に揺れ動く感情をセンシティヴにつむいでゆく心理劇となるのに対し、後者は比較的タイトな分量のなかポップで軽妙な味つけのラヴコメ仕立てとなっているのだ。当然より直近に執筆された阿呍物件の方がオハナシとしての読みごたえも細やかな心象描写も圧倒的にパワーアップしているのだけれどそのぶんヒロインの造形がヤンデレティックだったり重いオンナになっていたりもするので、とくに気負わずノーテンキに楽しめるBEAST分とで上手いことバランスしているのかなと思ったり。
前述したとおり初出媒体の違いによって1本あたりのページ数はずいぶん幅があるものの、お話の性質がおのおの異なるものだから濡れ場総量はだいたいどの作品も似た感じだったりする。ハイセンスかつ精緻な筆致でもって女子連中が艶めく肢体を躍動させ最愛の男子にドプドプ精液注がれて昇天へと至る一連のシークエンスをたいそうオサレに展開だ。特殊なギミックや奇抜なアイテムなどないシンプルな肉体言語の応酬に終始するとはいえ、卓越した画面構成の妙とそう饒舌でないながらも印象深く交わされるダイアローグとが効果的に情欲を盛り上げる。フィニッシュではヒロインの絶品トロけ顔のかたわらで子袋の奥へ勢いよく放出される射精断面図を大々的にフィーチャーし読者のティッシュ消費量もうなぎ登りだ。
ときに心すれ違い悲しい思いもしたけれど、ようやく本当の気持ちを確認し合ったのちは熱く激しくメイク・ラヴ。滑らかな体躯にゆっくりと指を這わせ敏感な部分を愛撫するうちやがて小刻みな嬌声が漏れはじめるのだ。すっかり濡れそぼち準備万端の秘密の花園へ屹立したシャフトをねじこみ性器どうしの真剣勝負をスタート。2人タイトに抱き合いながら四肢を絡めあい皮膚を密着させて抽送をくり返すたび彼女はビクビクとその身を震わせトロトロのイキ顔をさらけ出す。全身汗みずくで交合に没頭するうちいよいよ感極まりイクイク連呼するヒロインの子宮の許容量いっぱいに特濃ザーメンの奔流を流しこみカップルたちの熱愛模様もようやくフィナーレ。
商業エロ初登場からコミックス刊行までにはずいぶん時間がかかったけれど、これだけ才気あふれるお仕事ぶりを見せてもらえばノー文句。抜き的な観点から言うととくに性器結合/射精断面図の充実ぶりがすばらしく、これでいくつかの外出しフィニッシュがなければ私的実用性評価をもっとアップしていたところ。きわ立ってセンスのよいヴィジュアルとこれまた巧緻を極めた科白まわしはエロを抜きにしても上質のラヴストーリーとして通用しそうなだけに、速攻で一般誌へ引き抜かれそうなのが非常に不安ではあるけれど、もうしばらくは我々のちんこの慰安に貢献してもらえるとありがたい。今回収録のお話たちのなかでは、2組4名の男子女子それぞれの感情の交錯と愛情の行方をたっぷりスペースを割きシリアスに謳いあげる「コイワズライ」前後編と、幼なじみ年上男子の変態趣味に困惑しつつもヒロインがけなげにご要望にお応えの「レモンイエロー」がマイフェイヴァリット。

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