2018-08-11

本日の定番レシピ。

このエントリーをブックマークに追加 このエントリーを含むはてなブックマーク
-瀬奈陽太郎「夏汁」富士美出版 ISBN:9784799505830
話◎-○ 抜○ 消小 総合○

都会から離島へ引っ越してきた熟女ラノベ作家と家事援助兼愛人として出入りする青年とのただれた性活は彼女の子供たちが突如押しかけてきたことで転機を迎え……表題作長編6話&フルカラープロローグ&後日談&描きおろしおまけ漫画+既刊収録作アフターエピソード3本+前単行本発売告知ショート漫画。うだる暑さとシンクロするように汗だく汁だくファックに没頭する男女の浅ましい情景を登場人物たちの心の葛藤やヒリつくようなやりとりとともにお送りする作者最新刊はおよそ4年半ぶりとなる待望の8thコミックスだ。
圧倒的な画力とあふれ出るアイディアの奔流とを武器にエロ漫画界へ華麗に降り立ちその新人離れした力量で見るものすべての度肝を抜いたのが2000年代初頭のこと。以後もその驚異的なクオリティは変わらないがときおり活動が長期間バッタリ止まる謎のブランクをはさむものだから単行本の数は意外に少ない。今回もじつは最初2015年にリリースが予告されていたものがなん度も延期をくり返し、このままお蔵入りになると誰もが思ったところで突如本当に発売されこうして現物をおがむことができ感無量だ。2014年刊行のドラマCDつき前単行本「魔女×ショタ」は申しわけなくも未購入なので、こちらで記事にするのは2012年に上梓された2冊前の「姉はショタを好きになる」以来じつに6年近くのごぶさたとなる。
登場したときからほとんど完成形だった優美な一般青年誌系の絵柄はひと目でその群を抜く高い画力がわかるマーヴェラスなもの。この出版社は伝統的に初出を明記してくれないが著者公式ブログを参照するといまは亡き「ペンギンセレブ」で2014年に連載の作品+αを収録の模様。幾たびも発売が延びたので描きおろし漫画がいつの執筆かわからないのだけど、それと雑誌初出部分との品質差はなくジャケ買いも安心。版元提供のコミックス情報から一部立ち読みもできるので、慎重派の諸兄はそちらを参照したのち購入するか否かを判断するのをオススメ。
このたび我々の股間を慰撫してくれる女性陣は年のころハイティーン~アラフォー附近とヴァラエティ豊か。もとよりお歳を問わず頭身高めグラマラス系の肢体描写をする人であり、ちんまりロリフェイス嗜好の自分は本来この手のは敬遠しがちなのだけど、瀬奈陽太郎の超絶画力で描かれる絶品美女たちなら話は別。今回はメインの長編作で熟女を大々的にフィーチャーしていると聞き当初は購入を躊躇したのだがどうにか受容でき安堵。とはいえ年齢設定だけおばちゃんなのにルックスはティーン同然とかいうこの業界にありがちなソレでなく目尻にはわずかにシワが寄り乳はほのかに重力に負けはじめてと明確に加齢の兆しが刻まれているのに、それでもなおキュートネスを失わないというのは本当にこの作家ならではの卓越した造形のたまものだろう。それとは別口にこの人が頻出させる女子顔負けに愛らしいショタ男子も随所にまぎれこんでいるので以前からの瀬奈陽太郎ファンも安心ですよ!
本作コンテンツは大まかに二分され、巻頭から中盤までがタイトル・チューンの長編連載、うしろには以前の単行本作品の番外エピソードを配置。後者は当然のごとくその前の本編を読んでいないと意味がわからないので既刊完読が前提条件となるいわば愛読者向けサーヴィス。てなわけで本稿ではもっぱら前半部の長尺大河ストーリー「夏汁」についてディスクリプトしてゆくつもり。
黙ってれば凜としたクールビューティなのに口は悪いわなんでもドイツ語の異名で呼ぶわ生活能力皆無だわの残念熟女ラノベ作家・夏子(なつこ/かこ)。最近になり離島に引っ越してきた彼女のヘルパーとして家事全般を担う調理師志望のバイト青年・タカヒコはそのかたわら愛人として性欲処理にも従事する。真夏の旧家でセミの鳴き声をBGMにひたすらまぐわい続け寝具を体液まみれにしながら身体を重ねる2人の前にある日突如現れた少女と少年。子供たちは夏子が前夫との間にもうけた娘・照美(てるみ/グレーテル)とその弟・里灯斗(リヒト)と身分を明かしそのまま母親と愛人の暮らす家へ居候を決めこむのだった……というのが物語の滑り出し。当初からバチバチ火花を散らす母娘の確執にやがてタカヒコも不可避的に巻きこまれ、交合にふけりオンナの顔をあらわにする母親に当てつけるかのごとく照美は自分から彼へ肉体関係を迫るのだ。それに抗えず彼女を美味しくいただいたタカヒコは期せずして親子丼三昧のうれしくもスリリングな毎日を迎えることとなったのですよ。ところ構わず情欲の炎を燃やしながら妊娠することだけは極度に恐れる夏子、覚えたてのセックスに没頭しつつ行為中の痴態のなにもかもが母に生き写しであることに自己嫌悪を覚える照美、親子それぞれの葛藤を抱きながらやがて奇妙な三角関係にも思わぬ形で決着がつくのだが――それについてはみなさま自身で本書を読んでのお楽しみ。従来の作品では豊富なアイディアをはさみつつ基本的にはコメディタッチの恋愛模様に終始していたこの人が一転重苦しい雰囲気のなか真摯な愛憎のやりとりを重ねるさまは新鮮で最後までじっくり読ませるのだが、そんな最中でもこっそりショタ要素をはさんだりスチャラカなオチを仕込むのはさすがですな。
1話あたり20ページ固定でヴォリュームは特段のものでないのだけれど、灼熱の季節を舞台にくり広げられるむせかえるようなファックの密度はおそろしく高い。瀬奈陽太郎ヒロイン特有の泰西彫像のごとき優美な女体がダイナミックに揺れ四方八方に汗だの愛液だのを振り散らかしながらガツガツ情交にいそしむさまがなんとも扇情的なのだ。性器結合部を上下左右あらゆるアングルから俯瞰する大胆な構図を多用し未曾有の快感にだらしなく表情トロけさす女たちの艶姿を随所でクローズアップする画面構成の妙が読み手の勃起中枢をダイレクトに刺戟。
妖艶なアプローチと熟達の性戯で幾たびも迫り来る母、もぎたてボディを大胆に駆使しどんどん行為に慣れてくる娘、異なる魅力の2人と代わる代わる抱き合い汗みずくの体躯を密着させながらセックスセックスセックスセックス。愛液でテラテラひかり不随意に収縮する秘部へゆっくりと屹立したシャフトをねじこみ粘膜どうしのハードな摩擦運動をスタートだ。蒸し暑い和室で布団を派手に乱しては執拗に抽送をくり返すたび彼女らはほおを紅潮させ呼吸を荒げながら法悦の態で全身を打ち震わせる。体位を変え角度を違えながら性器どうし干戈を交えるうち膣奥はいっそうキュッと締まりイキ声のトーンは上がりっぱなし。いよいよ感極まり派手に気をやりながら昇りつめてゆく母娘の内へ外へと白くねばつく液体をプレゼント。
作劇上の要請とはいえゴムつきや外出しフィニッシュがやたらと多いので膣内射精原理主義者たる自分はいささか評定を減じたものの、母娘の感情的摩擦を軸にしたシリアスな愛憎模様と真夏の舞台設定を存分に活かしたウェッティで執拗な性交描写とがみごとに結実した逸品。若い娘のみならずアダルトさんが大の苦手な自分ですら母親キャラをきちんと実用に供することができたのだから瀬奈陽太郎の傑出した描画能力には頭が上がらないですよ。これだけ難産ながらもようやくコミックスが刊行され、先ごろ発売されたペンクラ山賊版では発売宣伝漫画も載ったということで、次はいよいよ本格的な商業活動復帰を期待ですな。収録物件のなかでは短編群も悪くないけどやはり表題作の存在感が質量とも圧倒的で、自分はダブルヒロイン中の娘の方、意地っぱりなくせにデレっぷりも相当なグレーテルこと照美ちゃん推し。

0 件のコメント:

コメントを投稿