2018-09-23

今晩の帰化植物。

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-kanbe「痴戯のナカ」ワニマガジン社 ISBN:9784862695802
話◎-○ 抜○ 消小 総合○

大人たちの草むらのなかの情事を目撃した少年と少女は彼らに導かれ新たな肉欲の扉を開いて連作4本+独立短編5本+フルカラーショート1本。理性のタガを外し生身のオスとメスとして本能の営みに没頭してゆく男女の浅ましき行状をじっくりねっとり活写する作者最新刊は通算2冊めのコミックスだ。
まずまっ先におわびしなければならないが、自分は2014年に上梓されたこの人のデビュー単行本「いじりもん」を申しわけなくも購入していない。この作家の本拠地である「COMIC快楽天」を定期購読しているのだから当然いつもその作品には接してきていたのだけれど、かなりクセの強い造形が当初はどうも受容しにくくて敬遠していたのだ。それが本書にも収録のある作品が快楽天に掲載されたときそれを読み非常にグッときたものだから今回晴れて4年越しの初チャレンジとなった次第。
こちらに対し蠱惑的な視線を向けてくるドエロい女子がおっぱいまろび出しのナイスな表紙がぼくらをお出迎え。中身のモノクロ原稿も大まかにはその印象を踏襲するものだが、小綺麗さ重視の快楽天執筆陣にしては故意にザックリ感を強調したり小刻みに効果線を入れたりとそのパブリック・イメージから逸脱するような演出が目立つ。いわゆる「量産型ワニ作家」のくくりにとらわれないこの独特の画風は自分がスルーした初単行本のころからそうなのだけど、それでも強烈なクセは初期に比べ多少矯正された感じ(だからこそ今回購入に踏みきれたのだけど)。収録作すべて前作刊行後の快楽天掲載分でいくらかスパンは長いとはいえ作画の極端な新旧差はなくジャケ買いも安心。なお版元公式サイト内の新刊情報からサンプル画像や一部ショップ購入特典を参照できるので、万全を期すのなら書店へおもむく前に一瞥しておくのをオススメ。
今回我々の股間を慰安してくれる女性陣はハイティーン制服女子を中心にプラマイ数歳といったところ。伝統的におっぱい推しの快楽天系列物件ゆえ女の子も巨乳メインながら、当社にはめずらしくバストの大きくない人もそこそこ存在しているのが他の執筆陣との差別化要素ともなっている(もっとも表紙に抜擢予定の並乳さんは裏表紙に回されたそうだが)。kanbe特有のザラついた描線でつむがれる彼女らはつるんとした2次元的な造形からわずかにはみ出しそれが妙な生々しさ――彼女らの体躯の熱さや分泌物の匂いまでも伝わるかのような錯覚を励起せしめるのだ。
そして個人的にもっとも惹かれるのがそのストーリーテリング。底抜けのバカエロからずっしり重たい情欲の隘路までさまざまなタイプの物語を書きこなすが、kanbeならではの独自色がより明確になるのは後者の路線。なんでもない日常を送るヒロインがふとしたことからセックスの門戸を開かれ泥濘のような肉欲曼荼羅へと堕ちてゆくさまをカメラ・アイで冷徹にスケッチしてゆくのだ。ことにこの作家に開眼するきっかけとなった連作シリーズの1本め「茂みを覗いて」はウブな少年少女がカップルの情交をこっそり見ていたのをとがめられ壮年の男の手で女の子が処女を散らされその日のうちに覚えたてのセックスのとりこにさせられる一方、少年はすぐさま彼らの行為から疎外され1人立ち去るところでお話が閉じられる。連作2本めでは忘れられないスティグマを刻まれた彼とそこへ現れた別の少女とが同様の構図を反復し、それはさらに3本め以降の登場人物たちにも連鎖して……と、ひさしぶりに続きものならではの巧緻な仕掛けを目の当たりにして感服ですよ。
1本あたり16ページの掌編から24ページの標準的な分量のものまでいくらかヴォリュームに差異はあれど、kanbe特有のわずかにかすれた描線でザクザクつむがれる交合シーンはむやみに淫猥。エロ下着や言葉責めなど若干の変態プレイを除けばオーソドックスな肉体言語の応酬に終始するものの、勢いよく体液を飛び散らせながら妙にリアルな男性器/女性器がハードに絡みあうストロングファック絨毯爆撃が読み手の勃起中枢にハードヒット。ふだんの端整な表情をグズグズにゆがめケダモノじみた咆吼をまき散らしながらイキ狂うヒロインズのド派手な痴態に自慰表明もはかどりまくること必至。
純真無垢な少女の純潔は無残に汚されやがて彼女は一人前のメスとして強引に開花させられる。不意討ちのように足を開かれ強引に男根をねじこまれて征服の証に熱い白濁を注がれるのだ。引き続き執拗に体躯をなぶられくり返し内奥を貫かれるうちいつしか苦痛の表情は愉悦のそれへと変わり、ついには自分から腰を使い積極的に快楽を享受する。すっかり肉欲のとりことなり目玉グルグル回しつつだらしないアヘ顔さらして四方八方へ淫語マシンガン連射しながら膣内射精を懇願するヒロインのリクエストにお応えし、最後にたっぷりと白くねばつく体液の奔流をお見舞いだ。
これまで食わず嫌いだったのにとある時点から一気にひいきへと転じて購入のこちら、蒙が啓かれる前の作品もいまになって読むと良作ぞろいでこれまでのかたくなな敬遠ぶりはなんだったのかと自己嫌悪。とまれ優等生ぞろいの快楽天誌面では異質な独特のエグいエロスを今後ともモリモリくり広げていただきたい。このたび収録の物語たちのなかでは、自分にとってのkanbe再発見の契機となった「茂みを覗いて」/「茂みの翳り」/「繁った気持ち」/「繁みの群れ」連作がお話的に、父の知人の家庭教師に処女喪失からオンナとしての悦びまですべてを教わる短髪巨乳純真ヒロインの物語「オトナ合格」が抜き的に、それぞれベストバウト。

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