今月のドーポラヴォーロ。

• サチ・サカナ「愛嬢とらぶる」久保書店 ISBN:476590959X

話△ 抜× 消小 総合×

ありがた迷惑な恋のキューピッド連作2話+短編9本。昨今まともに商業誌で見たことが

ないので購入を躊躇したが結局なつかしさに負けた。んで予想どおりコレクターズアイテムです。

表紙は完全に羊頭狗肉なので注意。中身はよくセットで活動している矢凪まさしの絵柄から

ちょっとクセを除去してそれプラス歳月を10年さかのぼる感じ。おおむねコメディ仕立てで

読後感がさわやかなのは美点。で、最大の問題はやはり2006年度の新刊単行本としては性交

描写の水準がかなり見劣りすること。せめて表紙の絵柄でやってくれればまだ許容できるの

だけれど、そこが古びるとてきめんにダメージだ。この人に限ったことでなくエロ漫画全般の

事象として、作劇は歳月が経過してもそれほど劣化しないがタッチの新旧は致命傷ですのう。

• むつきつとむ「快感温度n℃(1)」双葉社 ISBN:4575832901

話○ 抜△ 消大 総合△

都会に逃げてた旅館の跡継ぎ息子が突然家業を継ぐハメになってそこの従業員姉妹や

周囲の女性たちと……な表題作長編9話(以下続刊)。マークなし。こないだまでの連載が

エロ極薄だったその印象が強くて当初パスしていたが見本を立ち読みしたらよさげなので

購入。メインヒロインの旅館従業員3姉妹の次女(ちょっと天然ツインテ)のほかに主人公の

幼なじみや元カノが脇を固める。むつきつとむ独特のスウィート&ビターな恋愛模様を

ちょっとだけ控えめにしてそのぶんエロを増やした感じ。しょせんコンビニ売り誌掲載

だけに濃厚なプレイは期待できないが、ヒロインが主人公に積極的にアプローチをかけて

くるので性交描写に飢餓感を感じずにすむのがいい。近ごろこの作家に感じていたもの

足りなさをだいぶ補完できたけどできれば次はマークつきでも。