-緑のルーペ「イマコシステム」茜新社 ISBN:9784863491786
話○ 抜○ 消小 総合○
めんどくさい性格の発育ひかえめ眼鏡っ娘をめぐる純愛/凌辱/現実/妄想のザッピング表題作オムニバス7本&描きおろし+独立短編2本。コンテンポラリーな絵柄を武器に描かれるキュートなキャラクターおよび二重三重に入り組んだ複雑なストーリーラインの妙との両取りを楽しめる作者初コミックスだ。
のっけから帯で「今年最注目のスゴイ単行本」と煽っているとおり、お値段据え置きで厚さ2割増しの重厚な装本とほおに白い液体をぶっかけられてほおを赤らめつつそのうつろな瞳をこちらに向ける主演女優・イマコさんの陶酔しきった表情とがいやが応にも股間と脳みそを期待で充たす。さっそく左手をちんこに添えて読書スタートすれば……なに書いてもネタバレになってしまうというレヴュワ殺しの1冊でございました。こういうのはひさしぶりだよ。
まずさほど支障のなさそうな読み切り2本から紹介すると、主人公の回想形式で高校時代の奇妙な3P関係を描く「カーテン」と幼なじみ女子への懸想を抑えきれず強姦に及ぶ「アスペルガァ」のいずれもディスコミュニケイションとそこからの恢復というテーマをそれぞれの形で変奏。刹那的な関係とそれゆえに露呈される身もフタもない肉欲の奔流がエロっちい前者と、主人公のつぶやく独白とヒロインが心中でつむぐモノローグとがいつしかシンクロして最後ようやく意思が疎通する瞬間が感動的な後者と、どちらもエロシーンにたっぷり尺を割きつつも科白の情報量を思いきり上げて物語の密度までも高く保持し続ける達者なテクに驚嘆。
さらなる作画/作劇のシフトアップが図られる表題作シリーズにおいては、途中いくつも時間軸が前後し語り手が交代することでヒロイン/ヒーローの関係性がどんどんブレてゆく。ことにクスリだの妄想だのといったランダム度を増すパラメータを投入することでどこまでがリアルな出来事なのかを読み手に把握させなくしいっそうの混沌をもたらすのだ。
かくして現世への担保を失った行為はとことんアモラルに進展し、薬物ファックから屋外露出に多人数プレイ、しまいには目隠し肉便器として見知らぬ男どもの性欲処理に奉仕する始末。交合が激しさを増すごとにおめめをグルグルにし機関銃のごとく淫語をばらまいてひたすら精液を受けとめ続けるイマコさんのその幼い肢体に似合わぬ痴態が破滅的にエロっちい。3ステップでちんこをディープスロートされてその都度百面相のように容貌を豹変させ快楽にもだえ苦しむイマコさんに勃起中枢を刺戟させられまくりだ。
無限に続くかと思えた性的饗宴はしかし思わぬ形で収束され、彼氏彼女はようやく互いの気持ちを確認し心も空間もシェアして生きてゆく幸せを手に入れるのだが、中盤以降の激しい展開がラストまで継続するのを望んでいた人は肩すかしを食らうかもしれない。個人的には納得しているのだけれどNTR路線貫徹を要求する方は回避で。
幾重にもフックが仕掛けられそこかしこにダブル/トリプルミーニングを持たせる込み入った構成は受け手に摩擦運動以外の負担を強いるワガママ仕様だが、それゆえに読者の謎解き欲を猛烈にプッシュする作品。たとえばミステリ小説を読みつけている人ならむしろ嬉々としてアナライズに没頭できるはずだ。単純にヴィジュアルだけ追いかけてもパワフルなセックスの応酬に使用感も良好で、スケール大きなニューカマーのお披露目に拍手喝采。
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