-みた森たつや「むくろのまちのなかまたち」実業之日本社 ISBN:9784408172859
話○ 抜○-△ 消大 総合○
犯罪者や人工人間のうごめく重層都市にある日降り立った男と彼を取り囲む女たちの、喧噪と陰謀とセックスに満ちた日々表題作長編全9話。マークなし。ときにコミカル/ときにファナティックな疾風怒濤大河ストーリーと熱帯果実のごとくねっとり甘い濃密エロスとの強力無比な両サイド攻撃にまいど圧倒されるこの作家最新単行本だ。
古きよき少年漫画の流れを汲む健康的なタッチは商業エロ進出当時からメインストリームと一線を画す独特のテイストだったが、そのぶん歳月の経過による陳腐化をまぬがれいささかも古びない。一見コメディ向きに見えるこの絵柄で息苦しいくらい真摯に謳いあげるド直球のラヴをやらせると意外にも絶妙にハマる。
歌舞伎町か九龍城かという趣の猥雑な街の情景からはじまる物語はサイバーパンク+東洋テイストのガジェットがそこかしこにちりばめられた露骨なくらいにSFティックな手触り。案内人なしではたどり着くことさえできない都市の下層部を舞台にベタな人情芝居をくり広げてみたり、あるいは一転エスピオナージ風に緊迫したやりとりが続いたりのごちゃ混ぜワールド。湯水のようにわき出てくる設定の奔流にページ数が追いつかずところどころ説明科白連発になったり展開が駆け足になったりとアラはあるものの、きょうびめずらしいくらい一直線にセンス・オヴ・ワンダーを追求する姿勢がかつて科学の子だったぼくらの弱いところを突きまくってくれる。
人類に機械や動物を交合させた「ミュータント」なる種族が住人の大半を占めるという設定のもと生み出されたヒロインたちは、肌や目の色のみならず構成器官までも人ならぬ異形のパーツが組み合わさった摩訶不思議な造形。もとよりこの作家は以前の連載作品「ご近所のもんすたあ」でも妖怪や獣との混血種を描いていたが、今回は登場人物の身体的特徴が生業と密接に連関することでさらなるおもしろさが引き出されている。規格外の空間把握能力を持つ「案内屋」、単体生殖の仲間同士で意識を共有する「伝言屋」などさまざまな適応種が跋扈する光景はまるでコードウェイナー・スミス作品のようだ。
ずいぶん浮気な主人公が彼の落ち着き先である娼館に集う売笑婦や仕事のつどの雇員といった女性陣とことあるごとに情交にいそしむ読者の妄想具現系な基本設定により濡れ場は毎回豪華絢爛。コンビニ売り誌ゆえの制約で修整はきついものの、白抜きをかき分け恥丘の盛り上がりを表現したり出したてザーメンが尿道を駆けのぼるさまをシルエットで展開したりの細やかなテクにより効果的に興奮を励起せしめる。豊満なバストをブリブリ振り回しながら激しく腰を上下させ快楽抽出にいそしむ女子どもの涙とよだれにまみれたイキ顔を存分に堪能しつつ2度3度と種つけし、抜かずに幾度となく膣内をこね回してはまた精を注ぐ執拗なファックをゲップが出るまで堪能できることだろう。
not黄色い楕円だけに正直使い勝手には期待せず読みはじめたのだが、想像以上に抜きオリエンテッドなつくりとそれでいてSFマインドに満ちあふれた作劇の妙にいい意味で裏切られた。この豊穣な作品世界を1冊で終わらせるのはじつにもったいないと思うので、続編もしくは世界観共有の別エピソード執筆を作者様には望む次第。
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