2011-06-21

本日の落花流水。

このエントリーをブックマークに追加 このエントリーを含むはてなブックマーク
-尾野けぬじ「アイあるセカイ」蒼竜社 ISBN:9784883863952
話○ 抜○ 消中-大 総合○

年上彼女×年下彼氏のなんぎな初体験およびその後の顛末中編4話&番外編+新歓コンパで酔いつぶれたヒロインが目覚めるとそこは気になるアイツの部屋で前後編+仲間同士の気まぐれ旅行のはずが2人旅となりそのままカップル成立連作3本+独立短編1本。マークなし。どこにでもいそうな男子女子の不器用だけれども等身大の恋模様をヴィヴィッドに描き出す手腕には定評のあるこの作家2冊め(旧名義を含めれば4冊め)となる新刊だ。
PNを景えんじから尾野けぬじに変更しての初リリース「ラブでれ」が世に出たのが2008年のことだから、じつに3年以上の歳月が経過してのお待ちかね。順調に作品発表が続いていたにもかかわらず刊行が遅れたことや非成年扱いで出されたことへの不満はあるけれど、まずは発売されたことをことほぐとしよう。
大まかに分類すれば一般青年誌風のタッチということになるのだろうが、手足も胴体もすらりと長く筋肉の所在がはっきりわかるボディラインに瓜実型のお顔がプラスされる造形は他に比類すべきもののないワン・アンド・オンリー。昨今流行の萌え的なフレイヴァーはどこにも感じられないにもかかわらず凛とした相貌からギャグ顔まで表情の振幅をイキイキと描くことで独特のかわいらしさをかもし出すすぐれたデザインだ。
今作において舞台を務めるのは年のころ10代ラストから20代なかばあたりの、エロ漫画としてはやや高めの年齢設定がなされた女性陣。とはいえ社会人なのにずいぶんちみっこかったり勤め人になっても行動原理は学生相当だったりとみなどこか大人になりきれない要素が残されていて、そのぶん恋のアプローチも妙に奥手でぎこちない恋愛ビギナーばかり。でもそんな連中がつまずいたり立ち止まったりしながらも最終的には互いの気持ちを確かめあいささやかな幸福をつかむまでの奮闘ぶりが読み手の心をグッと惹きつけて放さない。ステディな男子の腕に抱かれたヒロインズの幸福そうな微笑みを目にして貴方のささくれ立った心もすっかり癒されることだろう。
いろいろ迂回しながらもようやく想いあう2人が結ばれるエロシーンでは、奇抜な趣向や特殊な器具などなんら介在させずにひたすら互いの身体や性器のみを使った濃密な交わりが展開される。ことに連作形式のお話では序盤おずおずと処女を捧げる女の子が徐々に大胆になり積極的にちんこをくわえ挿入をおねだりしたりと性の快楽に目覚めてゆくさまを無理なく進行させてゆき間然するところがない。覚えたてのセックスに耽溺しなんども膣内射精されていっちょ前にアクメったりする彼女らの痴態がほほえましかったりエロっちかったり。そうして乱れまくった女子どもだというのに、事後ふともらした男子のひと言に超反応して赤面したり慌てたりする光景がウブなネンネに戻ったみたいでまた好ましいのだ。
充分に歳を重ねたはずのおにゃのこが年甲斐もなくオロオロしては意味もなく強がってと、コケティッシュな面を我々にだけ見せてくれるほのかなシークレット感がいっそうラヴを盛り上げる尾野けぬじマジックにひさびさにひたってしまった。行為は意外とハードなのにせっかくの興奮を減殺させる無粋な白抜き消しはいただけないが、それをさっ引いてもきつく抱きあい快感が高揚していくたび表情を変えてゆくヒロインの媚態がなんとも扇情的でグッド。まだまだ未収録作品は多数存在するはずなので今後はぜひ短いインターヴァルでの新作リリースを期待したいものだ。今回収録分では短髪スレンダー純情後輩女子ヒロインがマイ経絡秘孔必中な「お願いミサキちゃん」連作と、本編ヒロインの妹さんが友達な男子と関係を持つに至り最後真っ赤にデレる「初めての×××番外編」が最愛。

0 件のコメント:

コメントを投稿