-三糸シド「ぽっぴんcherry」富士美出版 ISBN:9784799500576
話○ 抜◎-○ 消極小 総合○
自分そっくりなAV女優の噂に困惑するトップアイドルが陰謀に巻きこまれ輪姦強姦長編5話&描きおろし後日談+見せるだけで相手を堕とせる不思議な札を手に入れ好き放題オムニバス3本+双子の彼女&お母さまをまとめてご賞味フルカラー連作2本+独立短編1本。愛らしい笑顔のおっぱいっ娘が濡れ場ではだらしないアヘ顔さらしてよがりまくりのすばらしきギャップが読み手の勃起中枢にクリティカルヒットする作者初単行本だ。
この作家が主戦場にしている故・桃姫/ペンギンセレブはふだん読みつけていないので継続的にチェックしていたわけではないのだけれど、エロ雑誌レヴュウサイトや掲示板等ではちょくちょく話題に出されていたので気になっていた人。ことさらに描線を増やすことなくスッキリ仕上げられた独特のタッチは軽やかでありながらほんのりエロスのにじみ出る魅力的なもので、作者の造形センスのよさを感じさせる。
このポップな絵柄でものされるおにゃのこたちは大半がハイティーンから20代前半とおぼしき黄金世代で占められ、わずかな例外を除きプリンとまろび出た重量級おっぱいを装備。一方でキャラメイクではコテコテの萌え漫画みたく極端な属性付与などをしていないガール・ネクスト・ドア風の親しみやすくリアリティのある性格設定になっていてグッド。……ただし日常パートでは、だが。
すなわち、素朴なキュートさを見せてくれるヒロインたちが突如としてオンナの性をあからさまにし猛り狂う情欲のままよがりまくるエロシーンでの変貌ぶりが三糸シドのきわ立って特徴的な部分。瞳孔を思いっきり開きお口をはしたなく歪めながらマシンガンのように淫語をばらまくその痴態はとても平常時の彼女と同一人物とは思われない。この極端なスウィッチの切り替わりぶりについていけるかどうかがこの作家の受容におけるキーポイントとなる。
かような二面性を効果的に活かすべく練りに練られた作劇は処女作とは思えないほどに達者。オーソドックスなイチャラヴも描くのだが、やはりこの派手派手しいアクメ顔にはちょいとエキセントリックなお話の方が似つかわしい。いきなり発情する女子を欲望のおもむくまま乱暴に犯したり、最初はいやがっているのをよってたかってレイプして淫乱な本性を開花させたりの強要ティックな展開が読者の内なるケダモノを目覚めさせてくれるのだ。
この点でもっともよくできているのはメインコンテンツ扱いの長尺もの「サトミ・サトナ」シリーズで、売れっ子グラヴィア・アイドルたるヒロイン・片桐里菜と、彼女とうりふたつの新進AV嬢・サトミをめぐる波乱に満ちた物語は、容姿の類似をフックにした作者のスリリングな仕掛けもあってひりつくような感覚を終始味わえる。ネタバレになりかねないので詳細は読んでのお楽しみとしていただきたいが、彼女(ら)に対する愛憎入り乱れた感情を見せる主人公の心象描写とそれにともなう激しい交合ぶりには思わず感情移入させられた。さらに連載時最終話でいちおう大団円を迎えながら、描きおろしパートではあえてもう1回トゥイストをきかせてみせたりして心憎いばかり。このアイロニカルな単行本ラストにはまったく感服するほかなかった。
むろんセックスシーンにおいてはどのオハナシでも性器同士をハードに打ちつけあう肉食獣ファックが横溢していて、いやらしく秘肉を押し開いてはいきり立つ剛直をゴリゴリねじこむたび目ん玉にでっかくハートマークを浮き出させてアヘりまくるヒロインのえげつないお姿に圧倒されっぱなし。白目剥き/ベロ出しのファニーフェイスを恥ずかしげもなく晒しこみ上げる快楽に全身をのけぞらせる浅ましい媚態はもはやヒトならぬ一匹の動物だ。そんなはしたない彼女らにはお仕置きとして許容量オーヴァーの白濁液を際限なく膣内に噴射しフィニッシュ。
アヘ顔描写をさほど得手としていない自分はいくらかドン引きなコマもあり若干抜き評価をマイナスしたものの、女の子の痴呆スレスレな変顔をも臆することなく描き切る迷いのない姿勢は賞賛すべきものだ。個性の表出という点では新進漫画家のなかでも間違いなく突出しているので、今後どれほどエッジの効いた作品を生み出してくれるのかまことに楽しみ。収録作のなかでは前述の長編「サトミ・サトナ」連作は当然よかったし、短編連作形式の「おみっとさん」もまたつれない女子がアイテム1つで発情しまくる豹変ぶりがじつにエロっちくてso niceでございました。
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