本日のお花摘み。

-Rico「甘えんぼ」コアマガジン ISBN:9784864361996
話○ 抜○ 消極小 総合○

幼なじみ同士からカップルへ昇格した2人の24時間365日ベタ甘ファック満漢全席連作12本+巻末おまけ漫画。萌えまっしぐらのタッチを武器に大活躍するこの作家最新刊は去年12月に刊行の前作「好きスキkiss」以来となる通算4冊めだ。
ひと目で女性作家の手になるものとわかる繊細な筆致とオタ男子の嗜好に対する深い理解がうかがえるキャッチーなキャラメイクとでここ数年グイグイのしてきている人。この魅力的な絵柄でもってハードコアとまではいかずとも充分すぎるほどのヴォリュームを備えた濡れ場をガシガシ描くのだから売れないはずがない。
今回はこれまでのように読み切りもしくは数話完結のショートシリーズの寄せ集めではなく、単行本を通してひと組のカップルがまるまる主演をつとめるロングランの連作。さらに掲載作の初出が商業/同人で半々という特殊な成り立ちだ。また頻出する季節ネタを正月の初夢から年末の大掃除まで通常話を交えつつ順序よく配列。同一カップル話とはいえ単品で読むとおのおのの方向性が散漫に感じかねないところをまとまりよくパッケージングすることに成功している。
これまでは短いのばかりでヒロインもょぅιﾞょから大人まで、つるぺたから爆乳まで多種多様だったのけれど、今作はそのあどけないフェイスにふさわしく未発達のおこちゃまボディを装備した主演女優・まいちゃんが冒頭からラストまで唯一の抜き担当として君臨。よってRicoの描く童顔巨乳っ娘を希求する方には不向きだが、華奢な手足につつましやかな胸のふくらみ、そしてつるつるすべすべのスリットという幼さを強調する造形の我らがまいちゃんになにやらいけない欲望がかき立てられること必定だ。
物語もまた既刊ではフォーリンラヴ寸前もしくは恋愛成就直後のステディな彼氏彼女がいよいよ次のステップを踏み出す儀式としてのセックスを描くことが主流だった。だからたとえば2つ前の「はちゅ・えち」のようにヒロインの初体験のみで構成されたコミックスが出たりもしている。しかしながらこの単行本においてそうしたシークエンスは導入部のせいぜい数話でカタがついているので、むしろヒロインがどんどんHに積極的になり多彩なクエストを自分からこなしてゆく性的経験の蓄積こそが行為の主体。コスプレや青姦に風邪ひきHなどエロ漫画的定番から恵方巻きプレイなんていう奇抜なものまで次々にチャレンジしては気持ちよさげにイキまくるまいちゃんの勉強熱心ぶりには頭が下がるしちんこは上がります。
そんなわけでエロシーンは明るく楽しくアホらしくのコミカルな交合がメインではあるのだが、そこは売れっ子だけあり実用性の確保にも抜かりはない。お口でのご奉仕からまんこくぱぁ→本番突入へのよどみない流れや、全身をビクつかせながら機関銃のようにハートマークをばらまき扇情的な淫語を連発する細やかな演出がぼくらの勃起中枢をハードヒット。羞恥と快楽でほおを真っ赤に染めお口をはわわしながらしきりに膣内射精をおねだりする彼女の痴態に辛抱たまらず子袋の奥へ白くねばつくザーメンをドプドプ注入し2人して絶頂だ。
これまでの作品のイメージからすると今回はいささか変則ではあるのだけれど、快楽の享受に積極的でときにヨゴレ的なシチュをこなすこともいとわない天然暴走系ヒロインまいちゃんの得がたい個性により新境地を開拓できていると思う。まあ巻末収録のH抜きおまけ漫画みたいなヤバネタ1歩手前の描写は賛否が分かれるところだろうが(個人的には大好物です!)、単なる萌えエロに安住しない作者のチャレンジャブルな姿勢に乾杯。