-糸杉柾宏「ひめくり」少年画報社 ISBN:9784785939571
話△ 抜△ 消大 総合△
あこがれのお姉さんの甘い唇に誘われて少年は今夜大人への階段を上り……オムニバスシリーズ7本。マークなし。真摯な恋にもがく彼氏彼女の情景をリリカルなタッチで描き出す作者最新刊はほどよく肩の力を抜き年長女子×年少男子の甘々ラヴに徹した極上の癒しツールたる1冊だ。
この人の漫画を記事にするのは俺が前身ブログでまだレヴュウともいえない短文感想を描き散らしていたころのこと、2作めにしていまのところ成年向けとしての最後の単行本「お姉ちゃんのお願い」を取り上げて以来。もっともその間にはこの作家の代表作である近親長編「あきそら」をはじめとした一般誌での旺盛な執筆活動があったし、今年7月には本コミックスよりもずっとシリアス志向の長編作「うわこい」の1巻が出ているのだけれど、どうもそれらには食指が伸びなかったのだ。そんなわけでいにしえの記憶を引きずり出しながらの浦島太郎的レヴュウとなるけれどどうかご容赦を。
シンプルなラインなのにやたらと描線が色っぽい独特のタッチはキャリアの初期からもう完成形だと思っていたが、ひさしぶりに見たそれはさらなる洗練が加わり日常パートからもうバリバリに勃起中枢を刺戟する。このへんはガチ成年誌を離れて性器描写を封じられた代償としてよりキャッチーさを増したのではないかと推測。
巻末著者あとがきでみずから「100%趣味」と述べているとおり、今回はすべての物語がお姉さん×少年、いわゆるおねショタで統一されている。前述したとおり本来は血縁地縁入り乱れた息の詰まるような恋の隘路を得意とする作家なのだけれど、そうした重苦しい縛りを取っ払って身がまえずに1on1の甘々ラヴを楽しめるライトエロらしい仕上がりといえようか。
お話評価を△にしたのはイチャラヴ一辺倒でシチュの広がりに欠けるがゆえなのだが、くり広げられるストーリーそれ自体はむしろきわめて完成度が高く、ヴェルヴェットの生地みたくしなやかで心地よい夢空間へと心身ともに一直線。傷つきやすく繊細な美少年が凛とした年上女性の艶姿に視線を奪われているうちに、彼女の方から積極的にアプローチを仕掛けてきてはいつしかその胸に抱かれて初体験へと導かれる。男子サイドからなんらアクションを起こさなくても即座にちんこしごいてもらうわまんこまで誘導してもらうわのオートマティックなファックは全マグロ願望男子垂涎の光景だ。
はしたなく屹立した欲棒へしゃぶりつくヒロインの絶妙な舌技に純情チェリーボーイは辛抱たまらず熱いほとばしりをその口内へ放ってしまう。そんな情景を優しく見つめる彼女は自分からたわわな胸をあらわにし彼の震える腕をつかんで濡れそぼつ蜜壷へ優しくいざなっては挿入をおねだりだ。すぐさまヤングな情欲をむき出しにして激しく腰を振りはじめる少年の動きに合わせて身体をくねらせながら甘い吐息をもらしとろけた顔をさらけ出すお姉さんの痴態がなんともエロっちい。ハートマークを小刻みにばらまきながらショタちんこを年長女子ならではの熟練した性技でコントロールし続け、絶頂のタイミングを合わせるように彼の射精を引き出して2人同時にテクニカルノックアウト。
奇抜なプレイはいっさいなく性器どうしの真剣勝負に徹したそれはけっして濃口のファックとは言えないものの、オネーサマが教えてア・ゲ・ル系のラヴ・アフェアを希求するすべての男子諸君にとっての理想に限りなく近づいた黄金郷到来たる逸品だ。この作家にはデビュー当初のように黄色い楕円界での活躍を望む自分はやはり現状には一抹のさびしさを覚えはするのだけれど、読者へのホスピタリティという点ではときに悪意あるギャグやネタ的な暴走をもいとわなかった往時よりずっと取っつきやすく洗練されていて感慨を新たにした次第。今回のシリーズ中では清楚なおっぱいっ娘巫女さんと雨音をBGMにしっとり甘く結ばれる「美都波能 千歳」さん編がマイフェイヴァリットでございました。
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