2012-12-12

本日の桃華幻戯。

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-陸乃家鴨「戯姉弟」少年画報社 ISBN:9784785939786
話○ 抜○ 消大 総合○

生き別れの弟と同じ名前を持つ男に身体を許したヒロインは彼の素性を怪しみつつも激しい情事におぼれてゆき表題作長編全8話(第1-最終話、完結)。マークなし。実力派作家がひさしぶりに送り出す1冊まるごとの長尺ラヴ・アフェアは今年に入って初の抜き用単行本だ。
作品傾向によって複数のペンネームを使い分け多くの媒体を渡り歩く超ヴェテランだが、最近はすっかり陸乃名義ばかり。しかしながら本来は成年向けでしか使わない名前だったのに昨今はガチエロでないものまで陸乃家鴨印で出すものだから判別がめんどうだ。実際直近にこの筆名で1巻2巻と連荘で出したのは微エロ漫画で、本格抜き物件としては去年6月刊の「出戻り姫とニート王子」以来となる。
ともあれ古きよきマニア誌的な絵柄をベースにしつつそれなりにモダナイズされたタッチはいっそう円熟味を増して、キュートさと妖艶さのバランスがじつに絶妙だ。慎太郎シール誌ばかりで描くようになり以前得意としていたティーン女子が絶滅寸前なのは悲しいけれど、大人女性も変に老けさせずかわいい部分を大いに残した造形なのはありがたいところ。
ピュアエロ作品としてはひさしぶりのロングランストーリーとなったこちらだが、キャラクターは逆に最小限に絞りこんでおり濡れ場も主演女優たる婚期逸しかけ独身OL・未夏がほぼ出ずっぱり。同僚友人女子が1話のみエロを担当するがおおむね単独ヒロイン制と見なしていいだろう。よって未夏のルックスでちんこが勃つかどうかが購入の決め手となるのだが、妙にアーティスティックな表紙よりは少し力の抜けた裏表紙の方がモノクロ原稿の印象と近いので参照するとよい。
物語は未夏および突然転がりこんできた行きずりの男・マサヤとのタイマンラヴを全編にわたり展開だ。カヴァー下に隠れた著者あとがきで「普通重視・萌排除・心理サスペンス風味・ミスリードがんばるぞー!」と今回のテーマが述べられているとおりに、ストーリーはマサヤの謎めいた一挙手一投足に翻弄される未夏の心の動きを逐一追いかけてゆく。彼はもしかして本当の弟なのではなかろうか――禁忌への畏れと歓びに打ち震える肉体との狭間で彼女は苦悶するのだ。とはいえ全体的なトーンはけっこうコミカルなのでさほど身がまえる必要はない。最終話はこの作家の非エロ漫画にも通じるハートウォームな結末で締めくくられて読後感もさわやか。
ところがエロシーンは意外にも濃口で、コンビニ売り誌としては破格の高密度。伏線回収で忙しくなる最終話こそ若干濡れ場含有率が下がるものの、それ以外の回ではひたすら主人公カップルがベッドの上やら台所やらお風呂やらでギシアンしまくりだ。彫像のように均整の取れた肢体を大胆に駆使しながらなん度も膣内射精されその都度絶頂に達するヒロインの痴態てんこ盛りでぼくらも思わずエレクチオン。
出会ってすぐに愛を交わした彼らはその後も昼となく夜となく身体を重ね性をむさぼり合う。それなりに経験を重ねたはずの彼女がはしたなく発情しては服を脱ぐいとまさえ惜しんで自分から腰をたぎる怒張に沈めてゆきバストをブリブリ揺らしながら粘膜をこすり上げるさまがなんともいやらしい。性器どうしつながったままなん度も体位を変えながら摩擦運動に熱中する2人はあたかもセックスを覚えたてのサルのごとしだ。キュッと締めつける膣内に数えきれないほどの精を放ち続け、夜通し互いの肉体におぼれる淫靡な日々はどこまでも終わることなく続いてゆく。
not黄色い楕円本ゆえの白抜き修整ながら、ところどころ茂みを見せてくれたりアングルに気を遣い中田氏シーンを効果的に演出したりと抜き度を下げない配慮が光る。重すぎず軽すぎずの絶妙なストーリーテリングも冴えわたり完成度は近年随一だ。ここまでやってくれるとこんどはマークつき本格復帰をぜひお願いしたいのだけれど、作者サイトではむしろエロ仕事が減るみたいな発言をしていて心配このうえない。そんなこと言わず今後もぜひ陸乃家鴨ならではのウェルメイドなファックを見せてもらいたいところだ。

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