2013-05-30

今号のべるぜバブ。

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-月野定規「残念王子と毒舌メイド」コアマガジン ISBN:9784864364751
話○ 抜○ 消大 総合△

主人を屁とも思わず不遜な態度を取りまくる性欲処理メイドにお仕置き棒で怒りの反撃表題シリーズ連作3本(うち1本描きおろし)+両親の再婚でできた義兄に少女はセックスの気持ちよさを1から仕込まれ連作2.5本+独立短編6本。前後の穴のいちばん深いところをこじ開けられたっぷり種つけされて永遠の忠誠を誓うに至るヒロイン完堕ちストーリーを詳細中継の作者最新刊は新作単行本としての通算10冊めだ。
前作「アフタースクール」発売からわずか半年と驚異的なスピードでの刊行となったのだけれど、比較的長かったコミックス刊行の空白時期にも雑誌掲載は順調にこなしていたのでストックは充分あったわけでして。そのため収録作の執筆時期も2009-12年とけっこうワイドレンジだ。とはいえ作風はすでに固まり絵柄ももはや大きな変化はないので単行本トータルでの統一感はなんら損なわれていない。
そんなわけでコア物件としては2009年3月刊の「痴情の女」以来となるこちらは長編まるごと収録の前作から読み切りもしくは数話連続の短いシリーズでの構成に変化。もっとも後半部に収録のロリ巨乳ボクっ娘もの「しすた@ちゅーん」は途中で描けなくなり撤収というコメントが作者サイドから出されたのを記憶しているので、こちらは本来なら「アフタースクール」みたいなロングラン連載にするつもりだったのかも知れないけれど。
ともあれ結果としてヒロインは年齢も性格もヴァラエティ豊かで、もぎたての青い果実から熟しすぎのアダルトさんまでどんなニーズにもお応え。キャラ造形も無邪気系にちょいS系、ビッチ娘に貞淑な人妻と各種取りそろえだ。まあ最終的には全員ちんこパワーに屈して恥も外聞もなくアヘりまくるわザーメン受精してうっとり放心するわのはしたない痴態をさらすことになるんですけどね。
物語のトーンも多彩であり、明朗快活アホ話から戻れぬ情欲の隘路まで幅広く展開。結果として既刊より焦点が絞りにくくはなっているのだけれど、そんななか出色なのはやはりタイトル・チューン。表紙にも登場のどっかで見たことあるよな毒舌メイド・アサギリさんが誇大妄想風味のアホ坊ちゃま・京也とくり広げる漫才めいたテンポのよい掛けあいが快い。個人的には変に大上段に構えた長大作品よりは本作のようにキャラメイク優先でヴォリュームはそこそこの小シリーズの方がこの人ならではの味わいが出ていると思う。
ショタっ子やら青年やらの規格外ちんこをねじこまれ弱いところを徹底的に攻略されてては心身ともに陥落しアヘ顔連発のエロシーンはもはや一種の伝統芸能のごとし。セックスには徹底的に男根原理主義が貫かれており、すべての煩悶も葛藤もヒロインの蜜壷や玉門へ怒張をインサートすれば一発解決のわかりやすさが変わらぬ人気の秘訣だ。うねうねと肉襞がのたうつ膣内やザーメンが前立腺から亀頭にかけて駆けのぼってゆく瞬間を詳細にトレースする性器断面描写の冴えもさすがで、ザーメンを求め脈打つ子宮の奥底へ幾度となく射精し続ける光景をメスどもの恍惚の表情と交互に映し出されるのを目にした我々のエレクチオンもいっそう高らかに――なっていたのだ、これまでは。
先月に警察権力の介入があってからコミメガ廃刊/リニューアルばんがいちの消し強化という具合に悪影響が拡がっていたのだが、ついに単行本の修整にまで累が及ぶことに。性器描写のうち女性器側はビラビラの周囲すべて、男性器側は陰茎本体が真っ白に塗りつぶされている(そのくせ子宮断面やキンタマは無臭性というのがよくわからないのだが)。元来はコンビニ売りの「コミックホットミルク」に掲載された作品群なだけに雑誌初出時も基本は白抜きだったとはいえ、そのときと同水準かことによるとさらに消し面積が増えているのだから悪夢にほかならない。余人はいざ知らず、詳細ちんこまんこ描写がウリの月野定規作品でこんなに検閲が入ると抜き度が極度に低下するのは必定。
漫画作品のクオリティ自体は高値安定だし、なによりワニ移籍のゴタゴタでもしや置き去りになるのではと危惧した作品がみなサルベージされたのは本来喜ぶべきこと。しかしながらこのすさまじいホワイト消しの嵐に直面すると考えこまざるを得ない。個人的には雑誌掲載時の真っ白まんこがようやく解禁になるかとワクワクしていた月野定規ロリ巨乳エロの傑作「しすた@ちゅーん」がこの状態でリリースされたのがもう残念で残念で。せっかくの黄色い楕円仕様なのに本作のようなマークなしエロ同然の厳しい修整が今後も適用されるのなら、この版元の単行本はよほど熱烈に好きな作家かレア度が極端に高いものでないとしばらくはおっかなくて買えない。作者にはまったく責任のないことだし、コアマガジンとてむしろ被害者にほかならないのは百も承知のうえで、それでもなお一消費者としての率直な感想としてはこうだ、「ガッカリだよ!」と。

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